下記の内容を動画で知りたい方は、YouTubeをご覧ださい。
「痙性斜頸 鍼灸」で調べてこの記事にたどり着いた方は、
「病院での薬や注射以外の方法でなんとか改善できないか、、、」
「鍼灸は効果はあるのか?」
など痙性斜頸に対して、鍼灸が効果的か気になっているのではないでしょうか。
この記事では、鍼灸師としての視点から、特に“経絡”や“気の流れ”といった東洋医学的なアプローチにフォーカスして、
・痙性斜頸がなぜ起こるのか
・鍼灸での見立て方、改善方法
・セルフケアやツボ
についてお伝えしていきます。
痙性斜頸について、脳が筋肉に誤った命令を出してしまう“脳の誤作動”という視点からストレッチで改善する方法について書いた記事もありますので、気になる方は「痙性斜頸はストレッチで改善できる?脳バランス整体が提案する自然なケア方法」を併せてお読みください。

痙性斜頸の原因について、鍼灸師の視点から考察

痙性斜頸とは、首の筋肉が無意識に強く緊張し、自分の意思とは関係なく首が動いてしまう状態です。
この背景には、脳からの信号がうまく伝わらなくなる「脳や神経の誤作動」が関わっていると私たちは考えています。
これを東洋医学的な視点でお伝えすると、「ストレスや生活習慣による“気(エネルギー)”の滞り」が不調の原因になっていると言えます。
気の流れが乱れることで、身体のバランスが崩れ、筋肉に影響が及ぶというわけです。
「気」や「経絡」「チャクラ」「オーラ」といった言葉を聞くと、どうしても「スピリチュアル」でうさんくさい、というイメージを持たれる方も多いかもしれません。
ですが、実際に私たちの身体の中では神経の伝達やホルモンの分泌といった“目に見えない現象”が常に起きています。
神経伝達は「電気信号」として脳から全身に情報を送っていますし、ホルモンも血液に乗って必要な場所に届き、身体のさまざまな機能を調節しています。
これらは普段目に見えるものではありませんが、確かに私たちの“生命”を支える仕組みとして働いています。
このように、目には見えないけれど確かにその働きは存在しています。
「なんか体調を崩しそうだな」「何か嫌な予感がする」「ここの場所は居心地が良」など、何かはわからないですが、直感的に気を感じ取っている時もあるはずです。
「気の流れ」や「経絡」も、「エネルギーの巡りによる“体内の調和や情報伝達のネットワーク」と考えれば、エビデンスはないですが現代医学とまったく別物ではないと私は個人的に思っています。
このエネルギーの循環は、私たちが外部から受けるさまざまな刺激(ストレス)によって乱されることがあります。
ストレスとは、単なる精神的なプレッシャーだけではなく、「寒さ・暑さ・疲労・睡眠不足・人間関係・過去の記憶・生活リズムの乱れ」など、あらゆる外部の影響が“自分本来のエネルギーバランス”を崩す要因となります。
このエネルギー循環の不調=“気の滞り”や“経絡の不通”が、筋肉や神経、そして自律神経系にまで影響し、結果として首の異常な緊張や不随意運動(=痙性斜頸)という形で現れていると、東洋医学的な視点からでは見ています。
不調が消え去る脳のバランス体操の本の中でもご紹介しているお腹を叩いて刺激する場所も丹田という気が集まる場所になります。
こうした“気”や“エネルギー”の考え方は、人間の健康バランスを整える上では、重要なポイントになると思っています。
そこで「経絡」「チャクラ」「オーラ」について簡単に解説します。
経絡・チャクラ・オーラとは?

まず、“気”や“エネルギー”の巡りを考える際によく使われるのが「経絡」「チャクラ」「オーラ」といった言葉になります。
経絡(けいらく)
東洋医学の考え方で、体内を縦横無尽にめぐる“気”や“血”の通り道のことです。
経絡にはツボが点在し、ここを刺激することで全身のバランスや不調の改善を目指します。
チャクラ
主にインドやヨガの伝統に由来し、体の中心線上にある“エネルギーセンター”とされる部分です。
代表的なものは7つあり、それぞれが心や体、精神の状態と関わっていると考えられています。
オーラ
人体を包む“エネルギーフィールド”とも呼ばれ、感情や体調、気分などによって変化すると言われています。
オーラの状態を意識することで、ストレスやエネルギーの乱れをキャッチしやすくなるとされています。
こうした“目には見えないエネルギー”の概念は、どれも心身のバランスや不調と関わってきます。
実際の施術やセルフケアでも、経絡やチャクラ、オーラといった視点を活かすことで、より多角的に不調へアプローチすることが可能になると思っています。
現代における東洋医学には「現代的アプローチ」と「伝統的アプローチ」と違いがあるため、痙性斜頸の改善を目的としたそれぞれのアプローチの違いを把握していただいた上で、セルフケアに望んでいただければと思います。
セルフケアの前にして欲しい「現代的アプローチ」と「伝統的アプローチ」の違い

【A】現代的アプローチ(西洋医学的な観点を取り入れた東洋医学)
近年の鍼灸では、西洋医学の知見を取り入れながら「筋肉・神経・トリガーポイント」に着目して施術する流れも広がっています。
たとえば痙性斜頸の場合、筋肉の緊張部位や、硬くなった“しこり(トリガーポイント)”を鍼で直接刺激し、血流や神経伝達を改善することを目的とします。
特徴としては
・筋肉の解剖学的位置を重視する
・筋緊張や血流、神経の興奮度など“身体の構造”を意識
・痛みや運動障害に対し、直接アプローチ
になります。
【B】伝統的アプローチ(The 東洋医学的アプローチ)
一方、伝統的な東洋医学では「気(エネルギー)」や「経絡(気の通り道)」のバランスを整えることを主眼に置きます。
痙性斜頸の場合は、ストレスや感情の抑圧、体全体の気の巡りが滞ったことで首・肩に症状が現れているととらえます。
そのため、症状の部位だけでなく、全身の経絡やツボを使い、気の流れや心身の調和を整えることを重視します。
特徴としては
・気血の巡り・陰陽バランスを診る
・全身状態や体質をふまえてツボを選択
・体調や季節、心の状態も治療方針に反映
になります。
痙性斜頸のセルフケア(おすすめのツボ)
【A】現代的アプローチに基づくセルフケア
これからご紹介するツボは、「首や肩周囲の筋肉の緊張や張りを緩め、血流・神経のバランスを改善」する目的で使われます。
肩井(けんせい)
位置:首を下に曲げたとき、首のつけ根と肩先の中間あたりになります。
効果:肩や首周囲のコリや張り、緊張を和らげる。頭痛や疲労感にも用いられます。

風池(ふうち)
位置:後頭部の髪の生え際、首の両側にあるくぼみになります。
効果:首・後頭部の緊張緩和、目の疲れや自律神経の調整に用いられます。

天柱(てんちゅう)
位置:首の後ろ、髪の生え際、首筋の両外側になります。
効果:首のこわばり、頭痛、ストレス性の不調に用いられます。

天牖(てんゆう)
位置:耳たぶの裏側にある出っ張った骨の斜め後ろ下にあります。顎を動かしたときに動く、関節の高さになります。
効果:胸鎖乳突筋を緩める効果があり、首コリや頭痛に用いられます。

【B】伝統的アプローチに基づく鍼灸セルフケア
次にご紹介するツボは、「気血の巡りを整え、全身や心のバランスを調和」させる目的で使われます。
合谷(ごうこく)
位置:手の甲、親指と人差し指の骨が交わる部分になります。
効果:気血の流れを良くし、全身のバランスを整えます。肩こりや頭痛、ストレス緩和にも用いられます。

落枕(らくちん)
位置:手の甲の人差し指と中指の付け根になります。
効果:よく寝違えの改善に用いられることが多いですが、首こりなどにも用いられます。

曲池(きょくち)
位置:肘を曲げたときにできる、しわの先端あたりになります。
効果:上半身の血行を促進させて、肩こりや消化器系に用いられます。

内関(ないかん)
位置:手首のしわから指3本分ひじ寄り、腕の真ん中になります。
効果:自律神経を整え、ストレスや不安感、動悸、吐き気などを和らげられます。

神門(しんもん)
位置:手首の小指側のくぼみになります。
効果:精神安定・安眠、心の緊張やイライラ、動悸にも有効とされています。

太衝(たいしょう)
位置:足の甲、親指と人差し指の骨が交わるくぼみになります。
効果:肝の気の巡りを整え、イライラや緊張をほぐす。全身の流れをサポートします。

足三里(あしさんり)
位置:膝のお皿の外側下から指4本分下のくぼみになります。
効果:胃腸を元気にし、体力回復・免疫力アップ・全身の気を補います。

1回のツボ刺激は5〜15秒程度、1〜3分間の刺激を複数回(5回程度)に分けて押してみてください。
また指で押す以外にもツボを刺激する方法として、円皮鍼やお灸といったものがあります。
円皮鍼とは、ごく短い鍼がシールに付いており、皮膚の上に貼るだけで軽い刺激を持続的に与えられるものです。
鍼がついているといってもすごく短いものになるので、痛みはほとんどなく、私の経験では初めての方でも、大丈夫という人が多い印象です。
また体に鍼が入ってしまうということもないので安心して使用できます。
鍼の長さも種類によって変わりますので気になる方は、一度使い方や注意点を調べてみてください。(URL:円皮鍼の貼り方や効果を1から徹底解説。自宅でできる鍼治療))
またお灸についてもドラッグストアで売っていると思いますし、最近では火を使わないお灸もあるそうなので、一番良さそうと思う刺激方法を試してみてください。
セルフケアにおける刺激の強さに関する注意点
セルフケアを行う際に「どのくらいの強さで刺激するか」がとても重要になります。
特に刺激が強すぎる場合、本来リラックスや症状の緩和を目的として行うセルフケアが、逆に体に負担をかけてしまうことがあります。
強すぎる刺激は、脳が「攻撃されている」とストレスに受け取ってしまうことがあります。
このとき、脳は防御反応として自律神経を緊張させたり、ストレスホルモン(コルチゾールなど)を分泌します。
そうすると
・だるさ
・倦怠感
・めまい
・頭痛
など感じるようになったり、逆に症状が悪化するといった場合があります。
本来、「優しい刺激」や「心地よい温かさ」は副交感神経(リラックス系)が働きやすくなり、体の回復力が高まりますが、痛みを伴う刺激や、刺激時間が長すぎるとかえって自律神経を乱しやすく、体が“戦闘モード”になってしまう可能性があります。
そのため「少し物足りない」くらいがセルフケアにはちょうどいいという気持ちで行うようにしてください。
安全で効果的なセルフケアのためには「リラックス」「心地よさ」を大切にして、さらなる不調や体調変化を感じたら、すぐに中止するようにしましょう。
その他に気の流れをよくする方法を調べてみると、グラウンディング(地面に直接触れる Earthing/Grounding)というもの効果があると海外の研究で示されているそうなのでご紹介します。
グラウンディング(地面に直接触れる Earthing/Grounding)
実践方法は
・草や土の上を裸足でゆっくり歩く
・公園や庭など自然の地面に、素足で立つ・座る
・屋内のグラウンディングマットやパッチ(接地具)を使用し、身体を地球の電気とつなげる
などです。
効果の概要としては次になります。
・ストレスや炎症の軽減、睡眠の質の向上、自律神経の整調、筋緊張の緩和などが報告されています。(引用元:接地は健康全般を改善できるか? 5つの潜在的なメリット)
・一部の研究では、8週間にわたり寝具を接地した群で、日中のコルチゾールリズムが正常化され、痛みやストレスが軽減したと報告されています。(引用元:炎症、免疫反応、創傷治癒、慢性炎症性疾患および自己免疫疾患の予防と治療に対する接地(アーシング)の効果)
注意点は
・怪我や虫さされのリスクを避けるために、安全な場所で行いましょう。
・アレルギーや皮膚トラブルがある人は医師に相談をしてください。
・医療的治療の代わりとせず、補完療法として取り入れるのがおすすめです。
まとめ
今回は、東洋医学的な視点から「痙性斜頸」という難しい症状に向き合う方法について、お伝えしました。
現代医学では「脳や神経の誤作動」が原因とされる痙性斜頸ですが、東洋医学では「気(エネルギー)の滞り」や「経絡の乱れ」も重要な要素と捉えています。
経絡やチャクラ、オーラといった“目には見えないエネルギー”の巡りを整えることで、心身のバランスを取り戻すヒントが見つかるかもしれません。
また、現代的アプローチ(筋肉やトリガーポイントを意識した施術)と、伝統的アプローチ(全身の気の巡りや体質・心の状態を重視した施術)、どちらにもそれぞれの良さがあります。
症状やご自身の感覚に合わせて、両方の視点をうまく活用することが大切です。
ご紹介したツボのセルフケアや、気の流れを整えるための生活習慣(グラウンディングや呼吸法、日常のリラックス習慣など)も、無理なく自分のペースで続けてみてください。
大切なのは、「気持ちいい」「心地よい」と感じる範囲でセルフケアを行い、無理や我慢をしないことです。
不調や違和感があるときはすぐに中止し、必要に応じて専門家にご相談ください。
病院や薬だけでは解決しきれない…と悩んでいる方に、東洋医学的な視点やセルフケアの方法が、少しでも希望につながれば幸いです。
あなたがご自身の体と向き合い、よりよい日々を送るためのヒントが見つかり、改善に向かうことを願っています。


