無自覚のストレスによる体調不良 ― なぜ不調は続くのか

「ストレスなんて感じていないのに、体調が悪い」

「日によって体調に波がある」

「この時間帯になると症状が強くなる」

そんな経験はありませんか?

自分では普段と変わらないはずなのに、症状が強くなったり、体調が悪くなったりする…。

 

実は、そうした方の多くが「無自覚のストレス」を抱えています。

 

ストレスと聞くと「イライラしている」「落ち込んでいる」「心や体がスッキリしない」といった、わかりやすい感情を思い浮かべる方が多いかもしれません。

 

ですが、お悩みや体調不良の期間が長く続いている人ほど、実際にはストレスを感じているのに、「ストレスとして認識していない」

もっというと

 

「ストレスという枠組みで捉えていない」

 

ことがあります。

 

そのため、自分でも気づかないうちに、心と体の奥で負荷が積み重なり、少しずつ限界に近づいていきます。

 

そして、ストレス反応が長く続くことで、脳がその状態を「通常モード」と勘違いしていきます。

 

本人は平気なつもりでも、心と体には確実に負荷がかかっている状態になります。

 

私たちのところにも

「ストレスはないと思う」

「不調や症状の原因に思い当たることがないんですよね」

という方が多くいらっしゃいます。

 

けれど体は正直です。

自分では気づかなくても、体はあなたの代わりにSOSのサインを出しています。

 

今回は、この「ストレスを感じていないのに体調が悪い」という状態の裏にある、【無自覚のストレス】の仕組みを変わりやすく解説していきます。

 

そして、あなたの無意識のストレスを意識に引き上げ、解消していくためのヒントをお伝えしていきます。

 

無自覚ストレスとは ― “感じ取れなくなったストレス”

症状や不調があるのに、「そんなに大きなストレスは感じていません」とおっしゃる方ほど、心と体が強い緊張状態にあることがあります。

これは、ストレスを感じていない=ストレスがない、ということではありません。

結論からお伝えすると、ストレスに対して鈍感になっている、またはストレスという枠で認識していないだけで、実際にはストレスになっているということです。

どういうことか、それぞれの点について私の見解をお伝えしていきます。

ストレスに対して鈍感になっているケース

プレッシャーのかかる場面や、忙しくて心身に負荷がかかっているとき、心臓がドキドキしたり、肩がこわばったり、手のひらに汗をかいたり、急にお腹が痛くなったりした経験はありませんか?

これは、体が“危険に備えている”サインです。

脳が「頑張れ」「逃げろ」と指令を出し、心拍数を上げたり、筋肉を緊張させたりしている状態です。

基本的に、これらの反応は一過性であり、その状況を乗り越えればストレス反応は静まります。

そして、すべてのストレスが悪いわけではありません。


チャレンジしているからこそ生まれる“プレッシャー”としての負荷もあります。


適度なプレッシャーは、集中力を高めたり、やる気を引き出したりする要素にもなるのです。

実際、心理学では「ストレスや覚醒(アラウザル)が低すぎても高すぎてもパフォーマンスは落ち、中程度のストレスで最も能力が発揮される」といわれています。


これはヤーキーズ・ドッドソンの法則(Yerkes–Dodson law)と呼ばれ、ハーバード大学やバークレー大学などの研究でも再現されている、人間のパフォーマンス理論です。


また、ジョージア大学の研究でも「低〜中程度のストレスはワーキングメモリを活性化させ、認知能力を高める」という結果が報告されています。(参考:HealthlineBerkeley NewsUniversity of Georgia研究

つまり、ある程度のストレスは“必要な負荷”でもあります。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。

そのストレスの度合いが強くなったり、他のストレスが重なって負荷が上乗せされたり、それが長期間続いてしまうと、脳は「この状態を普通として維持しなければならない」と判断してしまいます。

すると、ストレスを感じるセンサーが鈍くなり、この緊張した状態が“当たり前”になっていきます。


そうなると、自分では「平気だ」「大丈夫」と思っていても、体はずっと力を入れ続けている――そんな状態に陥ってしまうのです。

このようにストレス反応が日常化してしまうと、本来なら「疲れた」「休みたい」「もう限界だ」というサインを感じ取れなくなります。

その結果、休むタイミングを逃してしまい、気づいたときには体調不良という形で現れてしまうのです。

ストレスという枠で認識していないケース

次に、ストレスという枠で認識していないだけで、実際にはストレスになっているケースについて解説します。

私が現場で多く感じている、もう一つの“無自覚ストレス”のパターンがあります。


それは、あなた自身の価値観や本当の想いにそぐわないことを、「やらなければならない」「こうあるべきだ」と頑張って続けているケースです。

たとえば、

  • 「家族なんだからやってあげて当然」

  • 「上司が言っていることだから従わなきゃ」

  • 「会社のために自分が我慢するのは当たり前」

そんなふうに、自分の気持ちよりも他人や環境を優先してしまうことがあります。

このようなとき、多くの人はそれを“ストレス”とは認識していません。

むしろ「私は頑張っている」「みんなのために動けている」という前向きな意識が表に出ていることが多いです。

ですがその裏側では、自分の想いを押し殺していることが、知らず知らずのうちに心と体への負荷となって蓄積しているケースが多いのです。

これが“無自覚ストレス”の本質のもうひとつのパターンです。

本人の中では“良いことをしている”という意識なのに、体だけが重く、疲れや不調を訴える――。

まるで、脳と心の意図がズレているような状態です。

私たちは、これらの要因が複雑に絡み合って、無自覚のストレスが形成されていると考えています。


そして、気づかないままその状態を続けてしまうことで、体は次第にバランスを崩していきます。

無自覚ストレスが体に出るメカニズム

ストレスというのは、目に見えないものです。
そのため、自分では「大丈夫」と思っていても、体は確実にその影響を受けています。

先ほどお伝えしたように、緊張したときに心臓がドキドキしたり、手のひらが汗ばむことがありますよね。


これは、脳が「危険」や「プレッシャー」を感じたときに、自律神経を通して体に“戦うか逃げるか”の指令を出しているからです。

一時的な反応であれば問題ありません。

しかし、その状態が続くと、脳と自律神経のバランスが崩れてしまいます。

ストレスが長く続くと何が起こるのか

ストレスを感じたとき、私たちの体では「交感神経」が優位になります。


これはアクセルのような役割で、体を動かしたり、集中力を高めたりするために必要な神経です。

ですが、休む時間がないままこの状態が続くと、“ブレーキ”の役割である「副交感神経」が働きにくくなってしまいます。


つまり、アクセルを踏みっぱなしで走り続けている状態です。

最初のうちは集中力も高く、仕事や家事をこなせますが、やがてエネルギーが枯渇し、体は次のようなサインを出し始めます。

  • 寝ても疲れが取れない

  • 胃が張る、食欲が落ちる

  • 呼吸が浅くなる

  • 肩や首が常に重い、こりを感じる

  • 動悸や息苦しさが出る

これらは「体がおかしい」のではなく、自律神経が休めていない状態の現れです。

「ストレスを感じない人」ほど体が反応する理由

無自覚ストレスの厄介な点は、本人がその状態を「普通」と感じてしまうことです。


たとえば、ずっと肩がこっている人は、それが日常になってしまい、「自分は肩こり体質だから」と思い込んでしまいます。

でも実際には、肩こりというよりも“交感神経が過剰に働いている”状態で、体がストレスに反応し続けているということです。

また「頑張り屋さん」や「責任感の強い人」ほど、自分の限界を感じにくい傾向があります。


脳がストレス信号を感知しても「まだ大丈夫」「もう少し頑張れる」と理性で打ち消してしまうことがあります。

その結果、体の方が先に悲鳴を上げてしまう。


これが“無自覚ストレスが体に出る”最も典型的なメカニズムです。

体が出す“静かなSOS”

無自覚ストレスは、突然「ドン」と大きな症状で現れるわけではありません。


最初はほんの小さなサインから始まります。

  • 朝起きてもスッキリしない

  • 休日なのに気持ちが落ち着かない

  • 胃腸の不調や肌荒れが続く

  • なんとなく気分が沈む

  • 集中力が続かない

こうした“静かなSOS”を見逃してしまうと、次第に脳と体のバランスが崩れ、症状が慢性化していきます。

そして、筋肉のコントロールに影響が出ることでジストニアのような運動症状が起こったり、気分や意欲の低下からうつ状態へと移行したり、全身のバランスが乱れることで慢性の自律神経失調症へ進んでしまうケースもあります。

(ジストニアとストレスの関係について気になる方は、ジストニアとストレスの関係を徹底解説!今すぐできるセルフケアの記事も併せてチェックしてみてください)

つまり、「ストレスを感じていないのに体が不調」というのは、ストレスがないのではなく、感じ取る力が鈍くなっているということ。


そして、体はその代わりにあなたの代弁者となり、サインを出しています。

ストレスに気づかない人の特徴

無自覚ストレスが起きやすい方には、いくつかの共通した傾向があります。


どれも「悪いこと」ではなく、むしろ責任感があり、人のために頑張れる優しい方ほど当てはまることが多かったりします。


しかし、その“良さ”が裏返しになって、ストレスを自覚しにくくしているケースがあります。

ご自身にも当てはまる一面がないかチャックしてみてください。

① 責任感が強く、頑張り続けてしまうタイプ

「自分がやらなきゃ」「最後までやり遂げなければ」と、常に頑張り続けてしまうタイプです。


責任感が強く、周囲からも信頼される存在である一方、体や心が疲れていても「ここで休んだら迷惑がかかる」と無意識に力を入れ続けてしまったり、それがかえってプレッシャーとなってしまう方です。

その結果、気がつくと呼吸が浅くなっていたり、寝ても疲れが取れなかったりすることが積み重なっていきます。


このタイプの方は、ストレスを我慢ではなく“仕事”として処理してしまう傾向があるかもしれません。

② 感情を抑える・我慢するタイプ

怒りや悲しみ、不安といった感情をうまく出せず、「言っても仕方ない」「これを言ったら相手にどう思われるかな」と自分の中に溜め込んでしまうタイプです。

感情を抑え込むことで一時的にその場は落ち着きますが、体の方では緊張や負担としてそのエネルギーを抱え続けています。


そのため、いつの間にか体が固まったり、無意識に歯を食いしばったりしていることがあります。

感情を抑えることは“冷静でいること”に似ていますが、我慢が続くと、心が静かに疲弊していき、限界を迎えてしまうことがあります。

③ 人に頼るのが苦手・弱音を吐けないタイプ

「人に迷惑をかけたくない」「自分のことは自分で解決すべき」そんな思いが強い方は、ストレスを外に出す機会が少なくなりがちです。

本当は助けてほしい、聞いてほしい気持ちがあっても、「弱音を吐く自分を見たくない」と自分で押さえ込んでしまうケースです。


そうすると、心の中に緊張が溜まり続け、それを体が代わりに症状として表現し始めます。

体の不調は、「もう一人で抱え込まなくていいよ」というサインでもあります。

④ 思考で処理しがちなタイプ

「こういう理由でこうなったんだから仕方ない」

「こうすれば解決できるはず」

と、頭で整理して表層の感情のみを処理してしまうタイプです。

理性的で問題解決力が高い反面、【感じること】よりも【考えること】を優先してしまうため、
ストレスを心で感じる前に理屈で消してしまう傾向があります。

この状態が続くと、「自分の本音がわからない」「本当は自分がどうしたいかピンとこない」
という感覚に陥ることがあります。


ストレスに気づかないというより、“感じる感度が下がっている”状態です。

⑤ ストレスを感じないことに安心しているタイプ

「私はストレスに強い」

「どんなことにも動じない」

そんな自信を持っている方ほど、無自覚ストレスを抱えやすい傾向があります。

実際には、ストレスを感じにくくしているだけで、体の方がその分の負担を受け止めていることがあります。

たとえば、「いつも通りに仕事をこなしているのに、なぜか体調がずっと悪い」そんな場合は、心が感じていない代わりに、体がストレスを代弁しているのかもしれません。

このようにストレスを感じない人は、決して鈍感なのではありません。


むしろ、人よりも頑張り屋で、思いやりがあり、強い責任感を持っている方です。

だからこそ、体の方がその優しさや努力の“負荷”を受け止め、不調という形で「そろそろ休んで」とメッセージを出していると私は思っています。

体は、あなたの無意識を一番表現してくれています。


「ストレスなんて感じていない」と思うときこそ、一度立ち止まって、体の声に耳を傾けてみてください。

あなたのストレスはいつから来ている? ― 3つの時間軸で見る無自覚ストレス

ここまでお伝えしてきたように、ストレスは「感じていない=ない」ということではありません。

むしろ、気づかないうちに積み重なり、“今”の体調や気分に影響を与えていることがあります。

そして、そのストレスは必ずしも「今の出来事」だけが原因ではありません。
過去・現在・未来――この3つの時間軸のどこか、もしくは複数が重なっていることが多いのです。

まずは、あなたのストレスがどの時間に由来しているのかを知ることが、セルフケアの第一歩になります。


「自分の中にどんな緊張があるのか」を、少しずつ整理していくための視点として、この3つの方向から見つめてみてください。

また、無自覚のストレスになるので、「ストレスと思ってないけど、これが影響しているかも」という柔軟な考えでみることが、無自覚のストレスを発見するきっかけになります。

① 現在のストレス ― 今、起きていることへの反応

仕事、家庭、人間関係など、今まさに直面しているプレッシャーがある。

意識していなくても、日々の中で「気を張っている時間」はありませんか?

たとえば、

  • 職場で常に気を使っている

  • 家族や周囲を優先して自分の時間が取れていない

  • 失敗できない、期待に応えなければと感じている

こうした状態が続くと、心身が緊張し、交感神経が優位なままになります。
一見、ストレスに強いように見えても、実は「休む」スイッチが入らない状態です。

セルフチェックポイント:
「最近、深呼吸した記憶があるか?」
「自分のための時間を“何も考えずに”過ごせているか?」

もし即答できなければ、あなたの“今のストレス”は体に影響しているかもしれません。

② 過去のストレス ― “脳の記憶”として残っているもの

過去に強いストレスを感じた出来事があると、それが記憶として脳に残り、似たような状況に出会うと無意識に反応してしまうことがあります

たとえば、

  • 昔、失敗して叱られた経験があり、今も同じ状況で緊張する

  • 過去の人間関係のストレスが、今の対人関係に影響している

  • 病気やケガなどの「体験した不安」が、今も心に残っている

このようなストレスは、すでに“過ぎたこと”なのに、体は「また起きるかもしれない」と身構えてしまうのです。

意識の上では「もう気にしていない」と思っていても、脳や神経はまだ“警戒モード”を維持していることがあります。

セルフケアのヒント:
「過去の似たような状況を思い出すと、体のどこが反応するか」
呼吸、肩、喉、みぞおち――
少し意識を向けるだけで、“まだ緊張が残っている場所”に気づけることがあります。

③ 未来のストレス ― 起きていないことへの不安や緊張

意外に見落とされがちなのが、「未来へのストレス」です。

まだ起きていない出来事に対して、無意識のうちに体が反応しているケースです。

たとえば、

  • 来週の会議、発表、出張などに向けて落ち着かない

  • 将来の仕事、家族、健康について考えると胸がざわつく

  • 「このままでいいのかな」とぼんやり不安を感じている

これは、脳が「これから起こるかもしれないこと」に備えて、すでに“防御反応”を起こしている状態です。

未来に対する準備は悪いことではありません。

でも、その不安や緊張が強すぎると、まだ起きてもいないことに体が疲れてしまいます。

セルフケアのヒント:
「未来のことを考えるとき、体はリラックスしているか?」

もし呼吸が浅くなったり、体に力が入ったりするなら、“未来のストレス”がすでに始まっているサインかもしれません。

過去の記憶が残り、未来への不安が芽生え、そして今の状況がそれを刺激して、複雑に絡み合っていきます。

つまり、無自覚ストレスを解消するためには、まず「自分のストレスがどの時間に根を持っているのか」を知ることが大切です。

今、過去、未来――
どの時間にも、あなたを支えてきた努力や想いがあります。

それを責める必要はありません。

ただ、「今の自分はどこで緊張しているのか」を知ることが、セルフケアの最初の一歩になります。

無自覚ストレスを解消する3段階のアプローチ

ここまで読んで、「自分も無自覚のストレスがあるかもしれない」と感じた方もいるかもしれません。


ここからは、そのストレスをやさしく解放し、体と心のバランスを整えるための3つのアプローチをお伝えします。

無自覚ストレスを解消するうえで大切なのは、“ストレスをなくす”ことではなく、“ストレスによるマイナスな影響を減らす”ことです。

気づけて、変えていけるようになると、体も心も自然と回復の方向へ動き始めます。

第1段階:自分の中にある「ストレスのタイミング」を見つける

無自覚ストレスを見つけていく第一歩は、「どんなタイミングで症状や不調が出ているのか」を把握することです。

実際に私の臨床の中でも、次のようなケースがあります。

  1. 夕方から夜にかけて症状が強くなる
     特に夜の時間、何もすることがなく「早く時間が過ぎないかな」と感じているときに症状が強くなる。

  2. 仕事の前日や出勤前になると、体調が悪くなる
     休日でも「明日が仕事」と思うと気分が沈んだり、息苦しさを感じる。
     「ゆっくり休もう」と思っても、なぜか体が休まらない。

  3. 常に症状が出ているが、波がない
     仕事も家庭も忙しく、「どんなときも緊張が抜けない」と感じている。

まずはこのように、自分の“体が反応している時間や状況”を箇条書きで書き出してみてください。

ここでのポイントは、「ストレス」と決めつけないことです。

「気になっていること」「引っかかっていること」「心の中でざわつくこと」など、少しでも思い当たることがあれば、すべて書き出してみましょう。

書き出すことで、“意識の外”にあったものが“見える化”されていきます。

これが、無自覚ストレスを意識に引き上げるための第一のアプローチです。

第2段階:自分の心に「なぜ?」と問いかけて、深掘りする

次のステップは、“どうしてそれがストレスになっているのか”を探っていくことです。


つまり、自分の内側に「問い」を投げかける時間です。

ここで大切なのは、「分析」ではなく「気づき」です。
答えを出すことが目的ではなく、「そう感じていたんだ」と理解することがゴールです。

実際の例を見てみましょう。

例①:夜になると症状が強くなるケース

  • 「どうして夜になると症状が強くなるんだろう?」
     → やることがなくて、時間が過ぎるのが遅く感じるから。

  • 「どうして“やることがない”とつらく感じるんだろう?」
     → 以前は好きなドラマを見たり、人と会ったりしていたけど、それがなくなっている。

  • 「それがなくなってから、どんな気持ちがある?」
     → 楽しみが減ってしまって、毎日が単調に感じる。

このように、「どうして?」を3回ほど繰り返すだけで、“自分の中で起きている感情”に少しずつ気づけるようになります。

例②:仕事の前日になると体調が悪くなるケース

  • 「なぜ仕事の前日になると、体調が悪くなるのか?」
     → 接客業で、常に気を張っている。ミスをしないように緊張している。

  • 「いつもそうなのか?」
     → そうでもない。特定の仕事の日だけ強く出る。

  • 「その仕事の日に、どんな不安がある?」
     → 人前で話す仕事がある。もしミスをしたらお客様に迷惑がかかる。

  • 「迷惑をかけることに、どんな気持ちがある?」
     → 自分はダメだと感じてしまう。

このように深掘りしていくことで、“本当のストレスの源”が「恐れ」や「責任感」などの内面にあることに気づけます。

例③:常に症状が出ているケース

  • 「なぜ、常に症状が出ているのか?」
     → 仕事が忙しく、家族の体調も良くない。自分の時間がない。

  • 「自分の時間がないことで、何を感じている?」
     → 気が抜けない。常に追われている感じがする。

  • 「何に追われていると感じる?」
     → 自分がやらなきゃ、崩れちゃいけないというプレッシャー。

このように、“無意識に自分を縛っている考え方”に気づけると、心の中のストレスが「見える形」に変わっていきます。

これが、無自覚ストレスを意識化していく第二のアプローチです。

第3段階:無自覚ストレスを解消する方法を考え、実際にやってみる

無自覚ストレスの原因が見えてきたら、次は「どうすればそれを解消できるか」を考えていきましょう。

ここに“正解”はありません。

人によって背景や性格、置かれている環境はまったく違います。

大切なのは、自分が一番納得できる方法を見つけることです。

たとえば、次のようなケースがあります。

  • 夜になるとつらくなる場合
     → その時間を「耐える時間」ではなく、「楽しむ時間」に変えてみましょう。
     映画を観る、好きな音楽を聴く、ライブ映像を見て気分を上げるなど、
     小さくても「心が動くこと」を取り入れてみてください。

  • 「お客様に迷惑をかけたら自分はダメだ」と感じている場合
     → 「迷惑をかけないこと」よりも、「起きたときにどう対応できるか」に焦点を移してみましょう。
     誠実に対応できれば、それも信頼につながります。
     また、同じことが起きないように、先輩にコツを聞いたり、準備の仕方を変えたりすることも一つの方法です。

  • 「自分がやらなきゃ」と常に思ってしまう場合
     → 「自分がやる」中に“自分を休ませること”も含めてみましょう。
     誰かを支えるには、自分の体調を整えることも大切な「役割」です。
     思い切って休むことも、立派なストレス解消の一歩です。

このように、「こうすると良いかも」と納得できる方法を見つけて、実際にやってみることで、
無自覚ストレスは少しずつ解消の方向へ動き始めます。

大切なのは、「うまくいくかどうか」ではなく、「自分のために何かを選んで動いた」という事実です

その小さな一歩が、変化を与えて、症状が和らげていきます。

体のケアも同時に行う

無自覚ストレスは、心だけでなく体にも強く影響を与えています。


だからこそ、心のケアと並行して、体からのアプローチも行うことが大切です。

たとえば、

  • 深呼吸をする

  • こわばっている部分を軽くマッサージする

  • 体を温めてリラックスする

たったそれだけでも構いません。


心の中を言語化したあとに体を緩めることで、脳は「もう大丈夫」と判断し、リラックス反応(副交感神経の働き)が起こりやすくなります。

逆に、ストレスの根本を意識に上げないまま体だけをケアしても、その場ではラクになっても、本質的な改善にはつながりにくいと私は感じています。

当院で行っている「脳バランス整体」では、無自覚ストレスの“反応ポイント”を見つけ出し、脳と体の両面からバランスを整えていきます。

体の緊張が緩み、ストレスを正しく感じ取れる状態に戻ると、ストレスそのものが“問題”ではなく、“サイン”として受け止められるようになります。

まとめ ― 無自覚ストレスに気づくことが、回復のはじまり

ストレスを感じていないのに体調が悪い。

それは、無自覚のストレスが心と体に積み重なっているサインです。

ストレスを感じていない=ストレスがない、ではありません。

感じ取れなくなっているだけで、脳と体はずっと緊張し続けています。

無自覚ストレスの特徴は、本人が気づかないうちに「休む」「緩める」感覚を失ってしまうことです。


そして、優しさや責任感の強い人ほど、自分を後回しにしてしまいます。

ストレスは、今・過去・未来の3つの時間軸のどこかに潜んでいます。

「なぜこのタイミングでつらくなるのか?」を丁寧に見つめることで、無意識に抱えていたストレスが意識の上に浮かび上がってきます。

解消のステップは3つは

1️⃣ 自分の反応のタイミングを知る
2️⃣ 「どうして?」を深掘りして言語化する
3️⃣ 納得できる方法を考え、実際にやってみる

です。

そして、心と一緒に体のケアも忘れず行ってみてください。


深呼吸や軽いマッサージを取り入れるだけでも、脳が「もう大丈夫」と判断し、緊張が和らぎます。

不調ががなかなか改善しない方は、今回の無自覚のストレスという視点で、ご自身と向き合ってみてください。

その中で、うまくいかない、よくわからないと思う方は、私たちにご相談ください。

改善へ向けて全力でサポート致します。

最後までお読みいただきありがとうございました。