
あがり症は改善できる?脳と自律神経から考える専門的なあがり症改善ガイド
人前で話そうとすると急に声が震える、頭が真っ白になる、汗が止まらない…。
「あがり症をなんとか改善したいのに、何をしても変わらない」と感じている方は少なくありません。
この記事では、あがり症の方を多数サポートしてきた臨床経験から、
- 「あがり症が起こる仕組み」
- 「改善のための具体的なステップ」
を、できるだけ分かりやすくまとめました。
先に結論をお伝えすると、
あがり症は「脳の反応パターン」と「自律神経のバランス」を整えることで、改善が期待できる状態です。
性格の問題でも、根性の問題でもありません。
あわせて、「なぜ自分はこんなに緊張してしまうのか?」というあがり症の原因を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
▶ あがり症の原因とは?脳と自律神経から専門家が解説
より詳しい専門ページはこちら:
あがり症専門ページ(石井堂クリニカルオフィス)
あがり症は性格ではなく「脳の反応パターン」の問題です
「あがり症=性格が弱い」「メンタルが弱い」と思われがちですが、
実際には、脳が特定の場面で過剰に反応してしまう“パターン(クセ)”が関係しています。
■ 意識ではなく「無意識」が先に反応してしまう
あがり症の方は、頭では「大丈夫、大丈夫」と思っていても、
いざ人前に立った瞬間、次のような反応が出やすくなります。
- 声が震える・かすれる
- 喉が詰まったような感じがする
- 頭が真っ白になり、話す内容が飛ぶ
- 心臓がバクバクして落ち着かない
- 顔が赤くなる・汗が止まらない
これは、「人前=危険」という信号が無意識レベルで脳に刻まれているためです。
■ 過去の経験や思い込みが「危険信号」として残る
あがり症の背景には、次のような出来事や感情が絡んでいることが多いです。
- 過去に人前で失敗した経験がある
- 周囲から笑われた・否定された記憶がある
- 完璧にやらないといけない、失敗してはいけないという強い思い
- 「人に迷惑をかけてはいけない」という過度な自己犠牲
- 「嫌われたくない」「評価を下げたくない」気持ちが強い
こうした経験や価値観が積み重なり
脳が「人前に立つ=命の危険に近いストレス」と誤解してしまうと、身体は自動的に「戦う・逃げるモード(交感神経優位)」に入り、あがり症として表に出てきます。
この「無意識の危険信号」にアプローチできるかどうかが、あがり症改善の大きな鍵になります。
あがり症改善の3つのポイント
あがり症を根本から改善していくためには、次の3つのポイントを押さえることが重要です。
- 脳の過敏な反応を落ち着かせる
- 自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを整える
- 無意識に刻まれた「反応パターン(クセ)」を書き換えていく
① 脳の過敏な反応を落ち着かせる(“誤作動ポイント”を減らす)
あがり症の方は、人前に立った瞬間に脳が「危険だ!」と判断し、心拍数・呼吸・筋肉の緊張・発汗などが一気に高まる“戦闘モード”に入りやすい傾向があります。
このとき、実は身体だけではなく、
- 小脳(動作の滑らかさ・発声の安定)
- 中脳(驚愕反応・瞬間的な緊張)
- 前頭前野(思考・判断)
- 自律神経中枢のバランス
といった脳の特定の部位の機能低下も同時に起こりやすくなります。
その結果として、
- 声が震える
- 頭が真っ白になる
- 手足が震える
- 呼吸が浅くなる
といった症状が、本人の意思とは関係なく自動的に出てしまいます。
さらにその場面に「恐怖・恥ずかしさ・焦り」などの感情が重なると、脳はその経験を“危険な出来事”として強く記憶します。
この誤作動を繰り返すほど、「また失敗したらどうしよう」という記憶が強化され、あがり症はより強く・長く続くようになります。
この悪循環を断ち切るためには、脳の興奮を日常的に落ち着かせていくことが必要です。
具体的には、
- 体幹の微細な揺れを整える運動
- 横隔膜を意識した呼吸トレーニング
- 目の動きや視野(周辺視)を使ったエクササイズ
- 頭と首・背骨のバランスを整える姿勢調整
といった方法が、脳の「興奮しやすい回路」を落ち着かせるのに役立ちます。
大切なのは、「緊張をゼロにすること」ではなく、脳が過敏になりすぎない状態を少しずつ増やしていくことです。
② 自律神経のバランスを整える(症状の“土台”を安定させる)
自律神経は、心拍・呼吸・発汗・消化・睡眠など、生命維持に関わる働きを自動で調整しているシステムです。
あがり症の方には、日常生活の中でも交感神経が優位になりやすく、副交感神経が働きにくいという共通点があります。
例えば、次のような状態が続いていませんか?
- 呼吸が浅く、胸や喉が詰まる感じがする
- 無意識に歯を食いしばっている・肩がガチガチにこっている
- 眠りが浅い・寝付きが悪い・夜中に目が覚める
- 常に頭の中で考えごとをしていて、リラックスできない
これらはすべて、自律神経が乱れやすい状態を示すサインです。
自律神経を整えるというのは、単に「リラックスしましょう」という表面的な話ではなく、脳 → 自律神経 → 体の連動を整えてあげることを意味します。
そのためには、
- 呼吸:胸だけでなく、お腹(横隔膜)がしっかり動く呼吸に整える
- 姿勢:頭の位置・背骨のカーブ・骨盤の傾きを整える
- 体の使い方:力みすぎず、必要なところだけに力を入れられるようにする
- 視野:一点を凝視しすぎず、周辺視野も使える状態を増やす
といった、「体の使い方」「姿勢」「呼吸」を整えることが、自律神経の土台作りになります。
この土台が安定してくると、同じ場面に直面しても、あがり症の症状が出にくい状態に変わっていきます。
③ 無意識の「反応パターン(クセ)」を書き換えていく
ここが、一般的なメンタルトレーニングや「気合い」「場数」だけでは届きにくい、あがり症の一番深い部分です。
同じ「人前で話す」という場面でも、
- ワクワクしながら話せる人
- 胃が締めつけられるほどの恐怖を感じる人
に分かれるのは、出来事の捉え方・価値観・信念(心のルール)が違うからです。
例えば、次のような無意識のルールは、あがり症を悪化させやすくなります。
- 「完璧でなければならない」
- 「ミスしてはいけない」
- 「人に迷惑をかけてはならない」
- 「弱い自分を見せてはならない」
- 「失敗した自分は価値がない」
こうした“〜べき”“〜ねばならない”という強いルールがあるほど、脳は人前の場面を「命が脅かされるほどの危険な状況」として扱いやすくなり、声の震え・動悸・頭が真っ白になるといった反応を繰り返すようになります。
あがり症を根本から改善していくためには、「何が自分の脳を不安定にしているのか?」を丁寧に整理し、そのうえで、少しずつ「捉え方のクセ」や「心のルール」を客観的に認識してあげることが大切です。
実際の症例でも、ご本人が自分の無意識のルールに気づき、「そうか、自分はこういう理由で人前が怖かったのか」と客観的に理解できた瞬間から、脳の過剰な反応が和らいでいくケースを多く経験しています。
脳は、「理解された」と感じた瞬間から、新しい反応パターンへと適応を始める性質があります。
あがり症の改善とは、まさにこの無意識の“反応パターンの更新作業”なのです。
【セルフチェック】あなたの脳は普段から不安定?それとも「人前だけ」?
あがり症のタイプを見極めるために、まずは「人前とは関係ない場面」で、脳の安定状態をチェックしてみましょう。
片足立ちテスト(小脳の働きチェック)
1. 片足で立つ(安全な場所で)
2. 目を閉じて、そのままキープする
3. 10秒以上ふらつかずに立っていられるか確認
左右ともにグラグラしてしまう場合、
普段から脳が疲れている/自律神経が乱れている可能性があります。
前腕回内回外(バイバイ)テスト
1. 足を揃えて立つ
2. 両腕を前に伸ばす
3. 手首を回しながら「バイバイ」の動きを30秒ほど続ける
・片方だけ動きが遅い
・軸が大きくブレる
といった場合、小脳の機能低下が疑われます。
こうしたテストで明らかな差や不安定さが出る方は「普段から脳・自律神経が不安定なタイプ」。
大きな問題が出ない方は、「人前という特定の場面だけで脳が不安定になるタイプ」と言えます。
どちらのタイプも、あがり症改善のポイントはありますが、
重ねてストレスがかかっている方ほど、専門的なサポートが必要になるケースも多いです。
【自分でできる】あがり症改善のセルフケア
ここからは、あがり症改善のためにご自宅で取り組めるセルフケアをご紹介します。
あくまでも「土台づくり」として行い、つらさが強い場合や長年続いている方は、専門家のサポートも併用してください。
1. 体の「偏り」に気づき、バランスを整える
脳は、体から上がってくる「動き・姿勢・感覚」の情報をもとに働いています。
いつも同じ姿勢・同じ側だけに負担がかかる動きが続くと、脳への情報も偏り、結果として不安定になりやすくなります。
例えば、次のような習慣がないか振り返ってみてください。
- デスクワークで、いつも同じ側だけに体を傾けている
- 片側の足に体重をかけて立つクセがある
- スマホを見る姿勢がいつも同じ方向に傾いている
意識的に左右を入れ替える、姿勢を整える、軽いストレッチを取り入れるだけでも、脳の情報バランスは少しずつ整っていきます。
2. 過去の「古傷に対する認識」を見直す
捻挫・骨折・ぎっくり腰・事故など、過去のケガそのものが問題になるというより、「ケガをしているから、自分は弱い・壊れやすい」という認識が、無意識に体の動きを制限し、脳を不安定にしていることがあります。
外傷自体は時間とともに回復します。
多少の変形や違和感があっても、
「今の自分の体は、思っているよりもちゃんと動ける」と理解し直すことで、無意識に力を入れすぎたり、体をかばうクセが減っていきます。
3. 自分の「ストレス源」を見つけて整理する
あがり症の背景には、気づいていない精神的ストレスが隠れていることが多くあります。
よくあるカテゴリーとしては、
- 仕事(業務量・人間関係・評価・責任)
- 家族(育児・介護・夫婦関係・親子関係)
- 過去の出来事(失敗経験・いじめ・離婚・裏切りなど)
- 将来への不安(お金・キャリア・健康・老後)
紙に書き出してみるだけでも、「何が自分の脳を不安定にしているのか」が、少しずつ見えてきます。
4. 感情と「捉え方(価値観・信念)」のクセを見つける
ストレスを感じる出来事が同じでも、感じる感情は人によって違います。
その違いを生み出しているのが捉え方(価値観・信念)です。
あがり症の方に多い捉え方の例:
- 「失敗してはいけない」「完璧でなければならない」
- 「迷惑をかけてはいけない」「ちゃんとしなければならない」
- 「周りから認められなければ価値がない」
これらを一気に変えようとする必要はありません。
まずは、「自分の中にこういうルール(捉え方)があったんだ」と気づくだけで、脳が自動的に起こしていた過剰反応は少しずつ緩んでいきます。
そして、ここからが最も重要なポイントです。
多くの方が「あがり症は性格の問題だ」と思い込んでいますが、実際には “無意識に刻まれた反応パターン” に脳が反応していただけ です。
この “反応パターン” を客観的に認識できた瞬間
脳はその情報を【危険ではない】と判断し直し、適応が始まります。
当院のあがり症の症例でも共通しているのは、
- 本人は上司に緊張していると思っていたが、無意識では「部下に失敗を見せたくない」に反応していた
- 本人は会議が苦手と思っていたが、無意識では「完璧でなければいけない」に反応していた
- 本人は人前が怖いと思っていたが、無意識では「恥をかいてはいけない」というルールが働いていた
というように、本当の原因は自分でも気づけない“無意識の捉え方”にあったということです。
つまり──
この“無意識の反応パターン”を客観視できることが、あがり症改善の最大のカギです。
脳は「自分が何に反応していたのか」を正しく理解した瞬間、その反応を【危険ではない】と再学習します。
結果として、声が震える・頭が真っ白になるといった症状が自然と減少していきます。
これは、これまで数多くの患者様の改善に携わる中で、最も重要だと確信している点です。
臨床でのあがり症改善ケースの一例
ここでは、実際に当グループに来院された方のケースをもとに、どのように「あがり症 改善」に取り組んだのかを簡単にご紹介します。
※個人が特定されないよう一部内容を変えています。
ケース①:人前で頭が真っ白になる50代男性・会社経営者
部下の前で話すときに、
頭が真っ白になり、汗が止まらなくなるというお悩みで来院されました。
検査では、
・首~体幹の筋緊張の強さ
・小脳の機能低下(バランスの不安定さ)
・「部下の前で失敗したくない」という強い信念
などが見つかりました。
身体の機能(姿勢・自律神経)の調整と並行して、
「経営者は弱い姿を見せてはいけない」という思い込みがあがり症と関係していたと客観的に認識した結果
「多少緊張はするが、実務に支障なく話せる」状態まで変化していきました。
ケース②:ミーティングで声が震える30代女性・会社員
少人数の会議やオンラインミーティングになると、自分の番で声が震え、早く終わらせたい気持ちで苦しくなるというケースです。
詳しく伺うと、
・学生時代の発表で笑われた経験
・「ちゃんとしないと怒られる家庭環境」
・「周りからどう見られているか」を常に気にするクセ
などが背景にありました。
身体の緊張を緩める施術と、
「過去の経験が周りの評価を過剰に気にしている」という背景を理解し、それがあがり症と関係していたと客観的に認識した結果
「ミーティングで自分の意見を言える回数が増えた」と変化を感じられるようになりました。
ケース③:人前で声が震える40代男性・医療職
患者さんや同僚の前では問題なく話せるのに、
院内の勉強会や外部での講演になると、急に声が震え、喉が詰まるというケースです。
検査と対話から、
・「専門家として完璧な姿を見せなければならない」という強い信念
・過去の小さな失敗経験への強い後悔
・首~胸周りの筋緊張と浅い呼吸
が脳の不安定性につながっていました。
呼吸・姿勢・首周囲の緊張を整えつつ、
「理想の自分と現実の自分とのギャップ」があがり症と関係していたと客観的に認識した結果
徐々に声の震えが落ち着いていきました。
※いずれのケースも、変化の程度・スピードには個人差があります。
全ての方に同じ結果を保証するものではありません。
「脳バランス整体」を受けられた方の喜びの声
約20年間、試験の緊張で手が震えて文字が書けなかった方の体験談
約20年間、あがり症、痙性書痙(手のジストニア)による緊張に悩まれていた患者様。
特に会社で行われるクレペリン検査(筆記検査)では、強い緊張がかかると手が震えてしまい、左手で右手を支えないと文字が書けないほど状態がつらく、脳神経外科や心療内科で薬を処方されながら過ごされていたそうです。
しかし症状が思うように変わらず、ご相談いただきました。
施術後の試験では、緊張は残るものの、「手の震えが改善され、最後まで片手で書ききる事ができた」と仰っていただきました。
また後日、「無事に試験に合格できました」と大変嬉しいご報告をいただきました。
※結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。
動画一覧はこちら
あがり症 改善に向けて、今できる一歩
あがり症は、「性格だから仕方ない」「一生付き合うしかない」ものではありません。
脳・自律神経・無意識の反応パターンを正しく理解し、一つひとつ整えていくことで、改善が期待できる状態です。
・人前で話すことを避け続けてきた
・あがり症のせいで仕事のチャンスを逃してきた
・家族や同僚にも打ち明けられず、一人で抱えている
もしそんな思いがある場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談してみてください。
石井堂クリニカルオフィスでは、
脳の機能検査・自律神経の評価・無意識の反応パターンのチェックを通じて、
あなたのあがり症の背景にある原因を一緒に整理していきます。
詳しい内容や症例報告はこちら:
あがり症専門ページ・症例報告を見る
「緊張しても、自分らしく話せる自分」を取り戻す一歩として、
この記事が少しでも参考になれば幸いです。


