階段のイップス、階段恐怖症にお悩みのあなたへ。
- 降りるときに踏み外しそうになる。
- 階段を降りるのが遅い。
- 階段の境目がわからない。
- 手すりにつかまらないと階段を降りれない、または上れない。
- とにかく階段が恐い。
- 階段から落ちないか不安になる。
このように、階段に差し掛かると「足の位置がわからない」「踏み外しそうな感覚がある」といった症状にお悩みではないでしょうか。
今まで普通に出来た事が突然出来なくなり、とても不安になりますよね。
病院や治療院を受診しても、中々解決の糸口が見つからず、この記事を読まれているのではないでしょうか。
私たちは、脳と体、心と体の関係性の専門家であり、プロゴルファー、1軍プロ野球選手、男子サッカー日本代表選手、プロダーツプレイヤー、歌手や音楽家などのイップス治療やジストニア治療に携わっています。
もちろん、数々の階段イップス、階段恐怖症の患者様も診てきました。
施術のビフォーアフターが気になる方は、こちらも参考にしてみてください。
この記事を読む事によって、
・階段イップス・階段恐怖症の原因とメカニズム
・自分で克服するためのセルフケア
・その方法で実際に克服した患者様の例
について解説していきます。
施術を通じて培った情報を皆様にシェアすることによって、あなたの辛い階段イップス・階段恐怖症が1日でも早く克服できることを心から願っております。

イップス 階段・階段恐怖症
階段で踏み外しそうな感覚の正体とは?なぜ起きるのか?
結論からお伝えすると、階段で踏み外しそうな感覚は、「脳と体の動きのズレ」によって起きていることが多い状態です。
本来、階段を上り下りするときには、
・どこに足を置くのか
・どのくらいの力で踏み出すのか
・体のバランスをどう保つのか
といった動きが、無意識のうちにスムーズに行われています。
しかし、何らかのきっかけでこの連携にズレが生じると、
・足の位置がうまくつかめない
・階段の段差がはっきり認識できない
・一歩踏み出すときに不安になる
・降りるときだけ怖さが強くなる
・フワッと浮くような感覚がある
といった違和感として現れてきます。
実際に多いのが、平地では問題なく歩けるのに、階段になると急に動きづらくなるケースです。
これは「筋力が弱い」「運動神経が悪い」といった問題ではなく、体の使い方と感覚のズレによって起きています。
さらに、「また踏み外すのではないか」という不安が加わることで、無意識に体が緊張し、動きがぎこちなくなり、より違和感が強くなるという悪循環に陥ります。
このように、階段での不安や違和感は、単なる気のせいではなく、脳と体の連携の乱れによって起きているケースが多いです。
階段イップス・階段恐怖症の原因とメカニズム
では、こうした「脳と体の連携の乱れ」は、なぜ起きてしまうのでしょうか。
ここからは、脳と神経、そして筋肉のつながりという視点から、その仕組みについてもう少し詳しく見ていきます。
まず、「脳の機能」と言われてもイメージしづらいと思いますので、できるだけわかりやすく説明していきます。

人間の体(骨格)は筋肉によって支えられています。
またその筋肉は神経によって命令を受け働いています。
今この記事をお読み頂いているとき、多分座ってパソコンかスマホで見ていると思いますが、その瞬間も、無意識に神経が筋肉へ命令してくれるお陰で頭を支え、また背骨周辺の筋肉が働いてるお陰で座れてるまたは立っていられるのです。
もし神経が働かないと筋肉が働かないため、イカやタコの様にペチャっとなってしまい座っていることも立つことも歩くことも出来ません。
そして、この神経の王様が脳(のう)です。
もし、あなたの脳を今とってしまうと筋肉が働かないためパタンと倒れてしまいます。
心臓も筋肉によって動いているため、脳からの命令がうまく伝わらなければ、血液を全身に送り出すことができなくなります。そうなると、体に必要な酸素も十分に行き渡らなくなってしまいます。
そもそも、呼吸自体も脳からの命令を受けて行っていますので、呼吸そのものも出来なくなります。
このように体は脳にコントロールされているということはご理解いただけたでしょうか。
脳は、五感(目・耳・味・におい・身体の感覚)からさまざまな情報を受け取り、その情報をもとに体へ指令を出しています。

たとえば、あなたの目の前に怖そうな人が現れて話しかけてきたとします。
そのとき、目や耳から「怖そうだ」という情報が脳に伝わります。
すると脳は、その情報に反応して体に命令を送り、さまざまな変化を起こします。
例えば、
・体に力が入る
・心拍数が上がる
・手足が震える
・手汗をかく
といった反応が出ることがあります。
このように脳は、常にさまざまな情報を受け取り、それに応じて体へ命令を出すという仕組みになっています。
ここまでの内容を踏まえると、階段イップス・階段恐怖症は、脳から体への命令がスムーズに行われていない状態であると考えられます。
具体的には、
1 階段という情報を目から受け取り、脳が過剰に反応してしまう
2 脳から筋肉への命令が安定しないため、足がうまく動かない、震える
3 その状態をさらに脳が察知し、不安や緊張が強くなる
4 結果として、頭が真っ白になる、階段の境目がわからなくなる
といった流れで、症状が現れていきます。
これが階段イップス・階段恐怖症のメカニズムです。
さらに、こうした状態の背景には、脳の中でも特に「小脳」や「中脳」といった部分の働きが関係しているケースが多く見られます。
小脳とは、運動の方向性を安定させたり、タイミングや力の強さ、平衡感覚など、体のバランスを調整している部分です。
この小脳の働きが低下すると、片足でバランスが取りづらくなったり、動きがスムーズに行えなくなります。階段の上り下りも、この機能が大きく関わっています。
一方で中脳は、自律神経や呼吸、姿勢を保つ筋肉のコントロールなどに関わっている部分です。
中脳の働きが低下すると、音や光に過敏になる、不眠、心拍数の上昇、めまい、耳鳴り、震え、片頭痛など、さまざまな不調が現れることがあります。また、驚きやすい、不安を感じやすいといった反応とも関係しています。
このように、脳の機能が不安定になることで、体の動きだけでなく、感覚や感情の部分にも影響が出てしまい、結果として階段での不安や違和感につながっていきます。
さらに、ここで重要なのが「記憶」の存在です。
脳は、ただ体を動かしているだけではなく、
「過去に危険だったこと」
「不安だったこと」
「怖かったこと」
を記憶し、それをもとに次の反応を決めています。
例えば、過去に駅の階段で人に押されるような形になり、転倒しそうになった経験があるとします。
その時、
「怖かった」
「危なかった」
「また落ちるかもしれない」
という体験が脳に強く記憶されると、
脳が、
「階段=危険」
という形で学習してしまうことがあります。
つまり、現在起きている症状だけではなく、「過去の記憶によって作られた脳の反応パターン」が影響している場合もあるということです。
実際に脳には、
・意味記憶
・エピソード記憶
・手続き記憶
など、さまざまな種類の記憶があります。
例えば、「階段は危険だ」という考え方が強く残っている場合は、【意味記憶】。
実際に階段から落ちそうになった体験などは、【エピソード記憶】。
そして、「怖い降り方そのもの」を脳が覚えてしまっている場合は、【手続き記憶】として学習されている可能性があります。
また、強い恐怖体験が残っている場合には、トラウマのような形で脳が警戒反応を起こしているケースもあります。
つまり階段イップス・階段恐怖症は、単純に筋肉や関節だけの問題ではなく、脳が、「階段=危険」と学習し、その反応パターンを繰り返している状態とも言えるんです。
これが、ランニングや歩行時に起きる場合を「ぬけぬけ病」と言われたり、状態によっては「ジストニア」と呼ばれる状態とも共通する部分があります。
どちらも、脳と体の連携がうまくいかず、無意識の動きにズレが生じてしまうことが特徴です。
ぬけぬけ病について詳しく知りたい方は、ランナーズジストニア(ぬけぬけ病)で走れない…でも改善は可能です|原因・治療・セルフケアガイドの記事で解説していますので、気になる方はそちらも参考にしてみてください。
階段イップス・階段恐怖症は病院を受診すべき?何科を受診すれば良い?
階段イップス、階段恐怖症にお悩みの方は、これまでに様々な病院や治療院を受診されてきたのではないでしょうか。
しかし、心療内科や脳神経内科、脳神経外科、精神科でも、「階段恐怖症を診ています」と掲げている医療機関は、ほとんど見つからないと思います。
ご自身では階段恐怖症や階段イップスだと思っていても、まれに他の病気が隠れている可能性もゼロではありません。
そのため、まだ医師の診察を受けたことがない方は、まずは精神科、心療内科、脳神経内科などを受診し、他に原因となる病気がないかを確認しておくことをおすすめします。
そこで特に異常が見つからなかった場合には、この記事で後ほどお伝えする「自分で克服するための方法」をぜひ試してみてください。
自分で克服できる!階段イップス・階段恐怖症の治し方
まずは、自分の階段イップス・階段恐怖症が、次の2パターンのうちどちらに当てはまるのかを確認していきます。
その2パターンとは、
1.通常時から脳の機能が不安定になっていて、階段がうまく上れない、または降りられない
2.普段は問題ないが、階段という特定の条件に脳が反応し、その時だけ階段がうまく上れない、または降りられない
というものです。
これを見極める方法として、階段ではなく普通の床で脳の働きを検査してみます。
普通の床でも明らかな異常が出る場合は、【通常時から脳の機能が不安定になっているパターン】です。
反対に、普通の床では特に異常が出ないのに、階段になると症状が出る場合は、【階段という特定の条件に脳が反応しているパターン】と考えられます。
では、階段ではなく普通の床で脳の働きを確認する方法をお伝えします。
本来、私たちは臨床でさまざまな検査を行いますが、ここでは2つに限定して説明します。
片足立ちテスト
これは、原因とメカニズムのところでも説明した「小脳」という部分の働きを確認する方法です。
片足で立ち、目をつむったまま姿勢を保持します。
10秒以上保持できない場合は、バランス機能が不安定になっている可能性があります。
右足、左足、どちらもテストしてみてください。
片足で目をつむりバランスをとる。

バイバイテスト(前腕回内回外テスト)
これも小脳の働きを確認する検査になります。
足を閉じて立ち、手を前に出します。
その状態で、高速でバイバイをするように、手のひらを表裏に返す動きを30秒ほど行います。
両手とも動きが遅い場合や、左右で速さに差がある場合、または軸がブレる場合は、小脳の働きが不安定になっている可能性があります。


いかがでしたでしょうか。
ここで異常がない場合は、通常時の脳の機能は比較的安定していると考えられます。
つまり、普段は比較的安定しているものの、階段という刺激に対して脳が不安定になっている可能性があります。
一方で、ここで異常が出た場合は、通常時から脳の機能が不安定になっている可能性があります。
この場合、階段を上る・降りるという動作がうまくできなくなるのも、ある意味では自然な反応と言えます。
パターン2の方よりも、パターン1の方が状態としては重い傾向があるため、克服までに少し時間がかかる可能性があります。
では次に、なぜ通常時、または階段の場面で脳が不安定になるのかという原因を見ていきます。
脳の機能が不安定になる要因は、大きく分けると
・肉体的な刺激の偏り
・精神的なストレス
・記憶によって学習された反応パターン
の3つです。
まず、体を動かした刺激は、神経を通して脳へフィードバックされています。
そのため、
・行動の偏り
・姿勢の偏り
・運動の偏り
があると、脳に入る刺激も偏ってしまいます。
すると、その偏った刺激によって脳の働きにも偏りが生まれ、脳の機能が不安定になることがあります。
これが、「肉体的な刺激の偏り」という意味です。
次に、精神的なストレスです。
これは、
・現在の対人関係
・将来への不安
・過去のつらい出来事
などによって、脳が緊張し、不安定になっている状態を指します。
そして3つ目が、「記憶によって学習された反応パターン」です。
脳は、過去に危険だと感じた体験や、不安・恐怖を感じた場面を記憶しています。
例えば、
・階段で転びそうになった
・急いで階段を降りて怖い思いをした
・人混みの駅の階段で危険を感じた
こうした経験があると、脳が、「階段=危険」と学習してしまう場合があります。
すると、実際には危険ではない場面でも、階段という条件だけで脳が緊張し、足がスムーズに動かなくなることがあります。
つまり、現在の症状だけではなく、「過去の経験によって作られた脳の反応パターン」が影響しているケースもあるということです。
この3つのいずれか、または複数が重なることで、脳の働きが不安定になり、結果として階段イップス・階段恐怖症という症状につながっていきます。
あくまでも、階段イップス・階段恐怖症は「結果」です。
本当の原因は、
・肉体的な刺激の偏り
・精神的なストレス
・記憶によって学習された反応パターン
によって、脳と体の連携が乱れていることにあります。
では次に、自宅でできる克服方法についてお伝えしていきます。
階段イップス・階段恐怖症の克服方法-①-【脳の働きを不安定にする肉体的な刺激の偏りを整える。】
まずは、生活習慣や体の使い方の偏りを見直すことが大切です。
たとえば、
「いつもテレビを見るときは右を向いている」
「座るときに毎回同じ足を組む」
「片側ばかりに体重をかけて立っている」
など、自分では気づかないところで体の使い方が偏っていることがあります。
こうした偏りが続くと、脳に入る刺激も偏り、脳と体の連携が不安定になることがあります。
そのため、日常生活の中で、左右前後のバランスを意識した行動習慣を作ることが大切です。
また、階段の上り下りに関係する筋肉が硬くなっている場合もあります。
特に硬くなりやすい筋肉としては、
・大腿四頭筋
・前脛骨筋
・腓骨筋
・足裏の筋肉
などが挙げられます。
これらの筋肉が硬くなると、足の運びやバランス感覚に影響が出ることがあります。
そのため、太ももの前側、すねの前側、すねの外側、足裏などをやさしくほぐしてみてください。
強く押しすぎる必要はありません。
軽くさすったり、手でゆっくり圧をかけたり、軽く叩いて振動を加える程度でも大丈夫です。
さらに、関節の動きが制限されていないかも確認してみてください。
特に確認したいのは、
・膝関節
・足関節
・足趾の関節
です。
これらの関節の動きが硬くなっていると、階段で足を置く位置や、体重の乗せ方が不安定になりやすくなります。
無理のない範囲で、関節をゆっくり大きく動かしたり、やさしく引っ張ったり、軽く叩いて振動を入れたりしてみてください。
また、階段イップス・階段恐怖症では、先ほど検査で行った小脳の働きを整えることも大切です。
そのため、小脳へのリハビリとして、
・片足立ち
・目の動きと頭の動きを連動させる前庭眼反射のトレーニング
などを行うことも有効です。
片足立ちは、最初から目をつむって無理に行う必要はありません。
まずは壁や手すりの近くで、安全を確保した状態で行ってください。
前庭眼反射のトレーニングは、目で一点を見たまま、ゆっくり頭を左右に動かす方法です。
このとき、目線がブレないようにしながら、頭だけをゆっくり動かします。
無理に早く行う必要はありません。
このように、筋肉・関節・神経・小脳の働きを整えていくことで、脳と体の連携は少しずつ安定していきます。
それから、気づかないところで体の偏りを作っている原因として多いのが、「古傷」の記憶です。
例えば、
・過去に大きな捻挫をした
・交通事故で体を痛めた
・過去に骨折した
・ぎっくり腰をした
などです。
こうした経験があると、本人ではもう治っているつもりでも、脳がその時の「危険だった記憶」を覚えている場合があります。
すると、
「また痛めたら嫌だ」
「無意識にかばわないと危ない」
という反応が起き、気づかないうちに足をかばった歩き方や、偏った体の使い方になっていることがあります。
外傷そのものは時間とともに回復していても、脳の中では、「この足はまだ危ないかもしれない」という反応パターンが残っているケースもあるんです。
その結果、筋肉や関節への負担が偏ったり、脳へ入力される感覚情報にも偏りが生まれ、脳と体の連携が不安定になっている場合があります。
もちろん、現在も痛みやしびれ、明らかな異常がある場合は、まず医療機関で確認することが大切です。
しかし、検査では大きな問題がないにもかかわらず、「昔のケガがずっと気になっている」「なんとなく無意識にかばっている感じがする」という場合は、“古傷の記憶によって、今も脳が警戒している”可能性もあります。
なので、「もしかすると自分も、無意識にかばっているクセがあるのでは?」という視点で、
・左右の体重のかけ方
・歩き方
・筋肉の硬さ
・動かしづらい関節
などを一度観察してみてください。
そして、負担が偏っている筋肉や関節をケアしながら、「今の体はもう動かしても大丈夫かもしれない」という感覚を少しずつ脳に学習させていくことも大切です。
このような“記憶による脳の反応パターン”については、この後お伝えする「記憶の影響が関係している場合のセルフケア」の部分でも詳しく解説していきます。
階段イップス・階段恐怖症の克服方法-②-【脳の働きを不安定にする精神的ストレスに脳を適応させる。】
階段イップス・階段恐怖症とは、言い方を変えると「階段という状況に脳がうまく適応できていない状態」とも言えます。
階段を上る、降りるという動きは、脳がある程度安定した状態でなければスムーズに行えません。
では、なぜあなたが階段に適応できないか?というと、精神的なストレスによって脳の機能が安定していないからです。
最初に説明した、小脳や中脳などは、精神的なストレスによって機能が低下することがあります。
ここで大切なのが、「自分ではストレスがないと思っている方が多い」という点です。
ストレスがないのではなく、ストレスに気づいていない。
こちらの方が正確かもしれません。
精神的ストレスに気づかない、または気づきにくい方ほど、改善までに時間がかかることがあります。
もし精神的なストレスが大きく関係していなければ、先ほどお伝えした筋肉や関節のケア、小脳のリハビリなどをすれば、どんどん脳は安定していき階段イップス・階段恐怖症を改善できます。
しかし、精神的ストレスが強く関係している場合、いくら体のリハビリをしても、脳を不安定にしている根本的な要因が残ったままとなり、改善できないのです。
そのため、体のケアと同時に、自分の内面の反応にも目を向けることが大切です。
では、この精神的ストレスに対して脳が不安定にならない方法を4つの手順でお伝えします。
- 何に自分の脳が不安定になっているのか特定する。
- その特定した事に対する素直なご自身の感情を把握する。
- その感情を湧かせるご自身の捉え方を把握する。
- 出来事、感情、捉え方を把握した後、そのパターンを変えた方が良い場合は変える。
という手順で脳が不安定にならない様にします。
①何に自分の脳が不安定になっているのか特定する。
まずは、ご自身の脳が不安定になっていそうな事を特定します。
このときに大切なのは、現在だけでなく、過去、未来という3つの時間軸で探すことです。
多い出来事としては、仕事、家族、友人、パートナーに関係するものがあります。
例を挙げますので、ご自身に向き合いながら、まずは白紙の紙に書いてみてください。
1、仕事
- 仕事で業務内容が上手く行かない。
- 仕事での人間関係で気にしている事がある。
- 過去、どうしても忘れらない程の嫌な体験を仕事でした。
- 仕事の次のプロジェクトが不安。
2、家族
- 離婚した経験がある。
- 特に嫌いな訳ではないが旦那に不満が溜まっている。
- 両親の介護と育児で大変。
- 義母に色々言われた。
- 子供の教育で迷いがある。
3、友人
- 団体のメンバーであるが、どうしても苦手な人がいる。
4、パートナー
- 結婚してくれない。
- 自分の事をわかってくれない。
②その特定した事に対する素直なご自身の感情を把握する。
次に、その出来事に対してどのような感情があるのかを把握してください。
大切なのは、「こんなことを思ってはいけない」と判断しないことです。
まずは素直に、自分の中にある感情を把握してみてください。
下記に脳を不安定にしやすい感情を書きますので当てはめてみてください。
【階段イップス・階段恐怖症を引き起こす可能性のある感情】
- 意欲・・・頑張る、一生懸命、達成、楽しみ
- 義務・・・しなければならない、やるべき、責任、務め、義理
- 期待・・・期待、可能性、当てにする、心待ちにする結果
- 喜び・・・満足、うれしい、楽しみ、達成感
- 連帯感・・・一体感、仲間意識、絆、チームワーク、団結
- 優越感・・・比べて優れている、満足、喜び
- 恐怖・・・怖い、恐い、嫌だな、不安、不満、納得できない
- 逃避・・・逃げたい、避けたい、一緒にいたくない、話したくない
- 劣等・・・他人より劣っている、過去の自分より劣っている、自分を卑下する、反省
などがあります。
③その感情を湧かせるご自身の捉え方を把握する。
感情は、ただ出来事によって起きているわけではありません。
同じ出来事でも、人によって湧いてくる感情は違います。
例えば、雨が降っているときに、ネガティブな感情が湧く人もいれば、ポジティブな感情が湧く人もいます。
同じ「雨」という事実は変わらないのに、なぜ感じ方が違うのでしょうか。
それは、その出来事への捉え方が違うからです。
雨に対して、
「濡れるから嫌だ」
「風邪を引くかもしれない」
と捉える方もいれば、
「空気がきれいになる」
「気持ちが落ち着く」
と捉える方もいます。
このように、捉え方によって湧いてくる感情は変わり、体に影響をする(しない)というのも変わってきます。
特に慢性的に様々な不調を招く方は、この捉え方が不調に繋がるようになっているとも言えます。
では、ご自身の脳が不安定になる出来事とその感情は上記で把握出来ていると思うので、ここでは、その感情を湧かせるあなたの捉え方を把握してみましょう。
④階段イップス・階段恐怖症に繋がる捉え方・価値観編
価値観とは・・・理屈ではなく、自分が自然と求めている理想のようなものです。
その理想と現実のギャップがあると、感情が湧きやすくなります。
あなたにはどの様な価値観があるのか?そして理想と現実のギャップを認識してみましょう。
下記に、脳が不安定になりやすい感情を湧かせる価値観を列記しますので、あなたはどの様な価値観があり、その理想と現実のギャップはどうなのかを把握してみてください。
- 安心・安定を求める。
- 新しい刺激や変化を求め挑戦したい。
- 自分の存在意義を満たし、特別感や重要感を満たしたい。
- 周囲との繋がりや愛情が欲しい。
- さらに成長をしたい。
- 貢献したい。
⑤階段イップス・階段恐怖症に繋がる捉え方・信念編
信念とは・・・自分の中にあるルールのようなもので、「〜すべき」「〜しなければならない」「こうでなければいけない」といった考え方です。
あなたのもつ信念の理想と現実のギャップがある出来事があると、脳が不安定になるほどの感情が湧くと言われています。
下記に、脳が不安定にないやすい感情を湧かせる信念を列記しますので、あなたはどの様な信念があるのか?そして理想と現実のギャップはどうなのかを把握してみてください。
- 尊心・・・自分を誇りに思うべき。プライドを持つべき。
- 自立心・・・自立するべき。
- 犠牲心・・・犠牲になるべき。我慢すべき。
- 利己心・・・他人を犠牲にしても自分の利益を守るべき。
- 警戒心・・・警戒すべき。気をつけるべき。
- 執着心・・・良くも悪くもこだわりを持つべき。
- 慈悲心・・・困っている人に手を差し伸べてあげるべき。助けるべき。
- 復讐心・・・やられたらやり返すべき。納得いかない。しっぺ返しするべき。負い目を感じるべき。
- 虚栄心・・・自分を良く見せるべき。実際よりも大きく見せるべき。
- 猜疑心・・・人には疑いを持つべき。自分のスキルや考え方を疑うべき。
- 団結心・・・仲間と協力するべき。
- 探求心・・・物事を追求するべき。追い求めるべき。
- 競争心・・・競うべき。負けてはならない。絶対に勝つべき。
- 忠誠心・・・尊敬する人に従うべき。
- 信仰心・・・大切にするべき。こうでなければならない。こうしなければならない。
- 自省心・・・反省するべき。
⑥出来事、感情、捉え方を把握した後、そのパターンを変えた方が良い場合は変える。変えない方が良い場合、理想と現実のギャップを受け入れる。
ここまでで、脳が不安定になる出来事、感情、捉え方が少し整理できたと思います。
ご自身の捉え方を把握したときに、「この捉え方は変えた方がいいかもしれない」と思うものもあれば、「これは自分にとって大切な考え方だから、変えたくない」と思うものもあるはずです。
変えた方が良いなと思う場合は徐々に変えてください。
変えたくいないと思われた捉え方に関しては変えないで大丈夫です。
しかし、脳が不安定になる場合はその捉え方に対する理想と現実のギャップがどこかにあるはずです。
その理想と現実のギャップを素直に認識していく事によって脳の不安定性がとれていきます。
その結果、階段に対する反応や体の動きも変化していく可能性があります。
階段イップス・階段恐怖症の克服方法-③-【記憶によって学習された脳の反応パターンを整える。】
先ほど、古傷の記憶によって無意識に体をかばう反応が残っている場合があるとお伝えしました。
それと同じように、脳は過去の記憶、体験、学習によって反応パターンを作っていることがあります。
そのため、階段イップス・階段恐怖症では、「階段=危険」という反応パターンが脳に学習されている場合があります。
だからこそ、その記憶や反応パターンを少しずつ書き換えていくことで、階段イップス・階段恐怖症の改善につながる可能性があります。
①そこでまず一つ目が、「意味記憶」の対するセルフケアです。
意味記憶とは、「言葉や知識、概念として脳に記憶されているもの」です。
例えば、
「急な階段は危険」
「狭い階段は危ない」
「駅の階段は怖い」
「階段は踏み外しやすい」
といった、“階段に対する意味づけ”も意味記憶の一つです。
この意味記憶が強くなっている場合、実際にはまだ危険なことが起きていなくても、階段を見ただけで脳が警戒しやすくなることがあります。
特に、
・階段を見るだけで不安になる
・まだ降りていないのに怖い
・特定のタイプの階段だけ苦手
・頭の中で危険なイメージが先に浮かぶ
という方は、この意味記憶が影響している可能性があります。
この場合に大切なのは、「なぜ自分はその階段を危険だと感じているのか?」を整理していくことです。
例えば、
「急な階段は危険」
と思っている方でも、
よく整理していくと、
「足を置くスペースが狭く感じる」
「つま先が引っかかりそう」
「前に転びそうで怖い」
など、その人なりの意味づけがあります。
つまり、ただ単に「階段が怖い」のではなく、脳の中で「急な階段=足を置く場所がない=危険」という形で意味がつながっている場合があるんです。
この場合は、
「本当に足を置くスペースはないのか?」
「思っているより足は乗せられているのではないか?」
「手すりを使えば安定できるのではないか?」
など、今までの意味づけを少しずつ見直していくことが大切です。
そして実際に、
・ゆっくり確認しながら降りる
・安全な場所で試してみる
・“意外と大丈夫だった”という経験を増やす
ことで、脳の中の、「急な階段=危険」という意味記憶が、「落ち着いて確認すれば降りられる」という新しい意味づけへ少しずつ切り替えていくことです。
②次に、「エピソード記憶」や「トラウマ」に対するセルフケアについてです。
エピソード記憶とは、「実際に体験した出来事の記憶」のことです。
例えば、
・階段で転んで数段落ちた
・駅の階段で人とぶつかってバランスを崩してヒヤッとした
・急いで降りてパニックになった
・急いでいるうちに下り方がわからなくなった
などの体験です。
そして、「階段」となると、その時の記憶が蘇ってきたり、なんとなく頭によぎるという方は、このエピソード記憶やトラウマ反応が影響している可能性があります。
この場合は、脳の中で繰り返されている怖いイメージを切り替えていくことが大切です。
方法としては、まず、怖かった場面を頭の中に思い浮かべてください。
この時のポイントして、白黒テレビが頭の中にあり、その怖かった場面を白黒テレビの中に映し出すようにイメージします。
白黒でイメージができたら、一度深呼吸をして、おへその下(丹田)をポンと軽く叩いて体に刺激を加えます。
そして次に、カラーテレビを頭の中に用意して、自分が安心して普通に階段を下りられている良いイメージをします。
例えば、
・落ち着いて階段を降りている
・足がスムーズに動いている
・(はじめは)手すりを使っているけど軽やかに下りられている
などです。
そしてその、良いイメージがカラー映像でしっかりイメージできたら、もう一度深呼吸をして、おへその下(丹田)をポンと軽く叩いて刺激を加えます。
そしてもう一度、白黒にした部分の悪いイメージを思い浮かべた時に、
・悪いイメージをするまでにさっきり時間がかかった。
・悪いイメージをするのが難しかった
・良いイメージが出てくる
という感じになっていれば、記憶の書き換えはうまくできています。
これを繰り返して、悪いイメージを払拭して良いイメージを定着させていきましょう。
脳は、現実とイメージの区別が得意ではありません。
そのため、安心して動けているイメージを繰り返すことで、脳の中の警戒反応がなくなり、現実でも問題なく下りられるようにパターンが切り替わっていきます。
「怖い記憶ばかりを繰り返す状態」から、「安心できるイメージも脳に覚えさせる状態」へ切り替えていくことがとても大切です。
③「手続き記憶」に対するセルフケアについてです。
手続き記憶とは、「体の動かし方そのものを脳が覚えている記憶」のことです。
例えば、
・自転車の乗り方
・箸の使い方
・歩き方
なども手続き記憶です。
つまり、一度覚えた動きを、無意識で行えるようにしている記憶とも言えます。
階段イップス・階段恐怖症では、この動きの記憶が、「怖い動き方」として脳に学習されている場合があります。
例えば、
・階段になると毎回体が固まる
・慎重になりすぎる
・足を必要以上に高く上げる
・手すりを強く握りしめる
・一段ずつしか降りられない
・足が変な軌道になる
などです。
最初は、「転ばないように気をつけよう」として行っていた動きでも、それを何度も繰り返しているうちに、脳が、【この降り方が正しい】と学習してしまう場合があります。
その結果、階段になると自動的に体が緊張し、ぎこちない動きが出やすくなってしまうことがあります。
この場合に大切なのは、安心して動けるパターンを脳に再学習させることです。
例えば、
・低い段差から始める
・手すりがある場所で行う
・人が少ない安心できる場所で練習する
など、まずは脳が警戒しすぎない環境で、無理をせずに行うことです。
そして、
・ゆっくり下りる
・深呼吸を意識しながら下りる
・足裏の感覚や動きよりも、テンポやリズムに気を向ける
ことを意識してみてください。
ポイントは、「怖がりながら繰り返す」のではなく、「リラックスした動き」を脳に覚えさせていくことです。
最初から完璧に下りようとする必要はありません。
少しでも、「前よりスムーズだった」「少し安心して下りられた」という経験を積み重ねることで、脳が新しい動きのパターンを少しずつ学習していきます。
実際に私たちの治療で階段イップス・階段恐怖症を克服した患者様の内容
上記で、階段イップス・階段恐怖症の原因とメカニズム、それから克服法をお伝えしましたが、あまり心の構造に向き合う習慣がないと、難しかったと思います。
そこで実際に私たちが施術をして克服した患者様の内容を下記に記載しますので、心の向き合い方のコツを掴んでみましょう。
階段の下りが上手くおりれない、パニックになる、踏み外しそうになる患者様
階段がある場所でパニックになり、右足が動かしずらくなり、動きがぎこちなくなるという患者様でした。
この患者様は看護師という事もあり、様々な医師に相談をされたそうですが、5年間も症状は変わらず、最後に私たちの所へ相談されに来院されました。
検査をしてみると、右の小脳の働きが低下しており、その他、様々な検査をすると沢山の機能異常が見つかりました。(もちろん、西洋医学の画像検査による異常は見つかりません。)
階段イップス・階段恐怖症の根本的原因は、
・忠誠心→現在、仕事の上司3人に認めてもらえない。頑張っているのに、、、。部下としてまわりと上手くやってテキパキ仕事ができるようになりたい。
・同情心→自分に対する同情で、過去元旦那が浮気したり、借金したりしていた。
・犠牲心→仕事の同僚に言いたい事が言えない。
・競争心→本当はもっと子供に色々してあげたいんだけど(したい自分と出来ない自分との競争)、出来ない。仕事が忙しいから。
・つながり愛情→今のパートナーと再婚したいと思っているけど、相手にはその気がない。自分の求める理想と現実のギャップ。
・過去の記憶→20才頃、周りの友人は就職していたのに、私はアルバイト。劣等感がとてもあった。その時くらいに、結婚すると思っていた人と別れた。お金がなくて夜の仕事をした。とてもしんどい記憶。
・信仰心→私の母は育児と仕事を両立して完璧だった。今の私は疲れてて、家事が出来ず、子供の面倒が出来ていない。完璧な親像と現実のギャップ。
・利己心→パートナーは将来の話をとりあってくれない。でも今更別れられない。私はどうすれば良いのだろう。
・羞恥心→10年前離婚した事。寂しかったし、立場がまわりの女性より劣っている感覚、惨めな感覚があった。
これらが、脳を不安定にしている要因になっていました。
ご自身で認識していき、整理し、思考パターンと行動パターンが徐々に変わっていったことで階段イップス・階段恐怖症が変化していきました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事の内容をまとめると、階段イップス・階段恐怖症は、脳と体の連携が不安定になっていることで起こる現象です。
そして、脳が不安定になる主な理由は、
・体の使い方や行動の偏り(肉体的な刺激の偏り)
・精神的なストレス
・またはその両方
にあります。
まず、体の使い方の偏りに対しては、
・日常の姿勢や動作のクセを見直す
・筋肉や関節の動きを整える
・過去のケガなどによる「かばう動きの記憶」に気づき、認識を見直す
といったことが大切です。
次に、精神的なストレスに対しては、
・過去・現在・未来の時間軸で、自分が反応している出来事を整理する
・その出来事に対して湧いている感情に気づく
・その感情を生み出している「捉え方」や「価値観」「信念」を把握する
というステップで、自分の内面のパターンを理解していきます。
そのうえで、
・変えた方が楽になる捉え方は少しずつ見直していく
・大切にしたい価値観は無理に変えず、理想と現実のギャップを認識していく
ことが重要になります。
このように、体の使い方と心の反応パターンの両方に目を向けていくことで、脳の働きは少しずつ安定し、階段イップス・階段恐怖症の改善につながっていきます。
ご自身に向き合うことはとても大変だと思います。
しかし、根本的に階段イップス・階段恐怖症を克服するためには必要なことです。
この記事を読み終えたら、まずは状態を把握して、セルフケアをする、またはボールペンと紙を用意して、この記事の手順通りにご自身のペースで向き合ってみてください。
始めることで変化は起きていきます。
もし万が一こちらの記事を参考に向き合っても症状の改善が難しい場合は、脳と心と体の関係性の専門家にご相談されることをおすすめします。
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あなたの辛い階段イップス・階段恐怖症が1日でも早く改善できる事を心から願っております。
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の参考文献
- ジストニア診療ガイドライン2018:日本神経学会
- ジストニアのすべて:梶 龍兒
- 体の不調は脳がつくり、脳が治す:保井志之
- 「こころ」はいかにして生まれるのか最新脳科学で解き明かす「情動」:櫻井武
- コーピングのやさしい教科書:伊藤絵美
- 記憶と情動の脳科学:ジェームズ・L.マッガウ, 久保田 競, 大石 高生
- イップスの科学:田辺規充
- コーチング・クリニック:ベースボール・マガジン社
- イップス:澤宮優
- イップスは治る:飯島智則
- イップスかもしれないと思ったらまず読む本:河野昭典
- 薬に頼らず家庭で治せる発達障害との付き合い方:Dr.ロバート・メリロ
- 心身条件反射療法研究会資料


