心因性発声障害は治る?声が出ない原因と改善法を専門家が解説

声が出ない。でも、喉には異常がないお悩みのあなたへ

 

「急に声が出なくなった」

「会議や接客中に段々と声がかすれて出ない」

「病院では異常がないと言われた。でもつらい」

 

こうしたお悩みを抱えていませんか?

 

もしかするとそれは、「心因性発声障害」かもしれません。

 

当院にも、「喉に異常がないのに声が出ない」という悩みで来院される方が多くいらっしゃいます。

 

そのご来院された方の中には、声を仕事している声優やアナウンサー、歌手、舞台俳優などのプロの方たちもいます。

 

その経験を用いてこの記事では、心因性発声障害の原因や対処法、改善事例まで、専門家の視点からわかりやすくご紹介します。

 

さらに発声障害について知りたい方は「ジストニアによる発声障害を克服する方法をメンタル面の専門家が解説」の記事も併せてお読みください。

心因性発声障害とは?——心と神経が引き起こす「声の不調」

心因性発声障害・心因性失声症の基礎知識

 

心因性発声障害とは、ストレスや心理的な要因によって声が出にくくなる状態を指します。

「心因性失声症」と呼ばれることもあります。

 

特徴的なのは、喉や声帯に器質的な異常(声帯が傷ついていること)が見られないことです。

つまり、体に「壊れている部分」はないのに、声が出しにくくなるという点です。

 

芸能人やアナウンサー、教師など「声を使う職業」の方が発症することも多く、その影響は日常や仕事に深刻な支障を及ぼします。

代表的な症状

・会話中、突然声が出なくなる

・声が震える、かすれる

・声が裏返ってしまう

・詰まるような感覚がある

・喉や首、肩のあたりに強張りを感じる

・朝は出るのに、仕事中になると声が出ない

・人前で話すことに強い不安や恐怖を感じる

簡易チェック:自分は心因性発声障害かも?

私たちのところへ訪れた方のカウンセリングをもとに、共通している点をまとめました。

 

以下の項目に当てはまるものが多ければ、心因性の影響が考えられます。

 

☑︎病院で検査しても、喉に異常が見つからなかった

☑︎特定の場面(職場・人前)でだけ声が出ない

☑︎人間関係や仕事に強いストレスがある

☑︎声を出そうとすると余計に出なくなる

☑︎特定のフレーズが出にくい(挨拶、名前、社名など)

☑︎裏声や囁くようにすると声は出る

☑︎違う言葉へ置き換えることがよくある

☑︎怒ったり感情的になったときは声が出る

☑︎過去にショック(嫌な、辛い、悲しい、苦しい)な出来事があった

☑︎心療内科をすすめられたことがある

 

当てはまる項目が多い場合は、心因性発声障害の可能性があります。

 

仕事上で声が出にくくなってしまう方は、「声が出ない|ストレスで仕事に支障がある人の原因と対策」も併せてお読みください。

心因性発声障害の原因について

声を出すための脳の指令がうまく働かず、声帯をはじめとする発声に関わる器官が正常に機能しなくなることにあります。

 

私たちが声を出すとき、脳はその場の状況に応じて「どんな声を出すか」を判断し、自動的に命令を出しています。

 

通常は、声の大きさや話す速さを意識することはほとんどありません。

 

しかし、緊張やプレッシャーなどの心理的な変化が生じると、それに伴って脳も過度に緊張してしまいます。

 

たとえば、重要な場面で「声が裏返ってしまって恥ずかしい思いをした」という経験があると、その記憶が強く脳に刻まれてしまいます。

 

このような体験があると、「また同じように失敗したらどうしよう」と脳が警戒し、再び緊張するようになります。

すると、体がこわばったり、言葉が詰まりやすくなったり、失敗を避けようと声を意識しすぎてしまいます。

 

その結果、これまでは無意識にできていた声の調整が、意識しないとできなくなり、かえって発声が不自然になるのです。

このように、心の変化によって脳の働きが本来の状態を保てなくなり、声が出にくくなる状態が続いてしまいます。

 

さらに、「声を意識する習慣」が定着してしまうと、日常生活の中でも違和感を覚えるようになり、「うまく話せるだろうか」「また失敗するかも」と不安がつきまとうようになります。

 

その結果、話すたびに緊張が高まり、思うように声が出せなくなるという悪循環に陥ってしまうのです。

実際の患者様の体験例を3つ紹介

実例①:初対面の人との電話応対で声が出ない(50代・男性・営業職)

Aさんは長年営業職に就いており、電話でのやり取りも日常的に行っていました。

 

しかし、数年前にクレーム対応をした際、相手の強い口調に萎縮し、言葉が詰まってしまった経験をきっかけに、電話応対のたびに緊張が走るようになりました。

 

特に電話を受けるときに、不安感が強く声がうまく出ない。また初対面の相手に電話をかけるときには、喉が締めつけられるような感覚になり、第一声が出なくなってしまうことも。

 

「また詰まってしまったらどうしよう」と考えるだけで手汗が止まらず、ついメールで済ませてしまうようになり、仕事にも支障が出ていました。

 

当院の脳バランス整体で脳の「過剰警戒モード」を解除するアプローチを重ねた結果、最近では自然に会話を始められるようになり、仕事への自信も少しずつ戻ってきているということでした。

実例②:プレゼンの失敗がきっかけで声が出なくなった(40代・女性・事務職)

もともと内気な性格だったBさんは、部署での月例報告を任されるようになってから、徐々に声に違和感を覚えるようになりました。

 

ある日、10名ほどの前でプレゼンをしていた際、緊張のあまり声が裏返り、途中で言葉が詰まってしまいました。

 

その場の空気が一気に重くなり、「恥ずかしい」「申し訳ない」という思いで頭がいっぱいになったといいます。

 

それ以来、「また声が出なくなったらどうしよう」とプレゼンが近づくたびに不安が強まり、本番になると声がかすれたり、うまく出なかったりするように。

 

病院では異常なしと診断されましたが、心療内科では「ストレスによる発声障害」と言われました。

 

現在は脳の緊張パターンを見直す施術を受け、徐々に声を出すことへの恐怖心が軽減していきました。

実例③:子どもの前で叱ったときに声が出なくなった(30代・女性・主婦)

小学生のお子さんを持つCさんは、ある日、子どもに注意をしようとした際に突然声が出なくなりました。

 

もともと「怒ってはいけない」「周囲に迷惑をかけてはいけない」という思いが強く、感情を抑え込む癖がありました。

 

その日も周囲に人がいる中で、怒ることに強い罪悪感を抱いた結果、言葉が喉元で詰まり、そのまま声が出せなくなってしまったのです。

 

その後も、子どもと向き合う場面でだけ声が震える、詰まるという状態が続き、「自分の感情を言葉にするのが怖い」と感じるようになりました。

 

施術では、無意識に「感情を押さえなければならない」としていた脳の反応を丁寧にほどいていくことで、自然に声が出る感覚を少しずつ取り戻していきました。

 

心因性発声障害の治し方と対策—心だけでなく、脳と体も含めての三方向からのアプローチがカギ

心因性発声障害は、「気持ちの問題」と簡単に片づけられるものではありません。

 

実際には、脳の働き、身体の緊張、過去の記憶や心理的なブロックが複雑に絡み合い、「声が出ない」という状態を作り出しています。

 

このような症状を根本から改善するには、「体」「心」「記憶」の3つの方向からアプローチすることが重要です。

 

① まずは「体の緊張」から整える—声が出にくい状態の土台を緩める

 

心因性発声障害の方は、多くの場合、無意識のうちに体(特に首・肩・喉まわり)に力が入りやすくなっています。

 

たとえば、Aさん(営業職・50代)のように「声を出す場面=緊張する場面」と脳が認識すると、発声の直前から筋肉が固くなり、喉や口の動きがスムーズにいかなくなります。

 

当院ではまず、こうした肉体的な強張りや過緊張を丁寧に読み取り、リリースしていく施術を行うことが多いです。

 

これにより、脳と体のつながりがほぐれ、自然な発声をしやすい状態へと整えていきます。

 

② 心の状態をセッション形式で整理する—「なぜ声が出なくなったのか」を紐解く

 

Cさん(主婦・30代)のように、「怒ってはいけない」「感情を表現してはいけない」といった想いが脳に深く刷り込まれている場合、表面的なアドバイスや声の訓練だけでは十分な効果が得られにくいように感じます。

 

このようなケースでは、①の「体の緊張」と併せて、心理的な側面をセッション形式で丁寧に紐解いていくことが効果的です。

 

どうして「怒ってはいけない」という想いを強く持つようになったのか?

 

「感情を押さえなければならない」という部分は、どうすれば解放されていくのか?

 

どうすれば「自分の感情を言葉にする怖さ」が軽減していくか?

 

といったことを一緒に整理し、必要に応じて言語化・再解釈していくことで、**脳に刻まれた「緊張の感情パターン」**に変化を与えていきます。

③ 記憶そのものにアプローチし、反応パターンを解除する

Bさん(事務職・40代)のように、プレゼンのときに、緊張のあまり声が裏返り、途中で言葉が詰まってしまい、、「恥ずかしい」「申し訳ない」という思いが脳に深く刷り込まれている場合、表面的なアドバイスや声の訓練だけでは十分な効果が得られないことが多いです。

 

当院では、こうした**記憶と結びついた脳の過緊張パターンに対し、神経の反応そのものを調整する独自の手法(脳バランス整体)**を用います。

 

・過去の記憶に反応して起こる身体の反応を検出

 

・その反応をやさしく中和・解除

 

・脳が「今はもう大丈夫なんだ」と感じられる状態へと再調整し、記憶の影響を書き換える

 

このプロセスを繰り返すことで、「同じ状況でも緊張しない脳の状態」が定着していきます。

 

このように複合的なアプローチで、「声が出る状態」へと導きます

心因性発声障害の根本的な改善には、「体だけ」「心だけ」「思考だけ」という一方向からの対処だけでは不十分ではないかと臨床で感じます。

 

  1. 肉体の緊張をゆるめる
  2. 心理状態を整理し、理解する
  3. 記憶に働きかけ、反応パターンを書き換える

 

これらの体・心・記憶という3つの層に同時に働きかける複合的なアプローチを取ることで、無理なく、そして自然に声が出せる状態へと変化していくのです。

 

心因性発声障害のセルフケア|体・心・記憶を整える3つの方法

①【体】緊張をゆるめる意識を持つ

心因性発声障害では、喉・首・肩まわり、お腹の筋肉に無意識に緊張しているクセがついていることが多く、それが「声が出にくい」原因の1つになります。

 

そのため自分は話そうとすると、体のどこが緊張してくるのか観察して、無意識の体の緊張を把握しましょう。

 

人によっては呼吸を止めているような感じで、浅くなっていたりもします。

 

緊張しているかもしれない思う部分をマッサージしたり、深呼吸などして、脱力した状態を作るようにします。

 

話すとき以外の普段の生活の中で、首・肩・喉の「脱力」を心がけるようにします。

 

例えば、
・ゆっくりと首を左右してストレッチをする
・肩を持ち上げてストンと落とす
・あくびをするように口を大きく開けてリリースする
・顎やこめかみ、側頭部をマッサージする
・深呼吸をしてリラックスを意識する

などです。

 

②【心】感情を言語化する

声が出にくくなる原因のひとつに、「感情を抑え込みすぎている」ことがあります。

 

まずは、自分の感情や思考を見える形で整理することから始めましょう。

 

ノートに、「声がでないときに感じていること」を自由に書きます。

 

誰かに見せるものではないので、思ったことを思ったままの言葉、表現で書くようにすることがポイントです。

 

怒り・悲しみ・不安、不満などの“負の感情”も遠慮なく書いてみてください。

 

そして書き終えたら、その書いた内容に良し悪しをつけないようにしてください。

 

「〇〇と思っていることがダメなんだ」「〇〇のようにしないといけないんだ」などと書いたことに感情を入れないようにします。

 

書いたことを客観的にみつめて、私って〇〇と感じる部分もあるんだと受け入れることが、心の緊張がゆるむきっかになります。

 

③-1【記憶】“安心”を上書きしていくリフレーミング練習

 

過去の失敗やトラウマが強く記憶に残っていると、脳が「また同じことが起きる」と勘違いして緊張を繰り返してしまいます。

 

この反応をやさしく変えるには、記憶に対して「意味づけ」を変える作業が有効です。

 

🔸おすすめセルフケア:リフレーミングシート

 

少しずつでも「新しい意味づけ」で記憶を書き換えることで、脳が過剰に緊張しなくなっていきます。

③-2【記憶】“良いイメージ”を上書きしていくイメージ練習

 

心因性発声障害において、「また声が出なかったらどうしよう…」という不安は、単なる想像ではなく、**過去の失敗体験やショックな出来事の“映像記憶”**に起因していることが少なくありません。

 

たとえば、プレゼン中に声が裏返ってしまった、電話でうまく話せなかった、人前で恥ずかしい思いをした…

 

そのときの場面や表情、空気感、他人の視線などが、まるでビデオのように脳に残っていることが、影響していることがあります。

 

この“映像記憶”が強く刻まれていると、似た場面に遭遇したときに脳が「また同じことが起こる」と勘違いし、自動的に緊張反応を起こしてしまいます。

 

🔸おすすめセルフケア:イメージの「映像書き換えワーク」

①静かな場所で目を閉じて、頭の中にテレビを用意して、過去の「声が出なくなった場面」を思い出す

②そのときの様子を映像として頭の中で再生するときに、【白黒映像】で再生する

③白黒映像で再生したあとに、深呼吸を行う

④深呼吸の後に、軽く丹田(おへその下)を軽く叩く

⑤先ほどの過去の「声が出なくなった場面」のシーンと同じ状況で“理想的な良い状態”を【カラー映像】でイメージする

 

例:スムーズに話せて周囲がうなずいてくれている/堂々と自信を持って発言できて拍手されている など

 

カラー映像で再生したあとに、深呼吸を行う

⑦深呼吸の後に、軽く丹田(おへその下)を軽く叩く

ここまでが一連のイメージ書き換え手順となります。

 

この過程を繰り返して、最初に頭の中で再生した【過去の「声が出なくなった場面」を思い出す】ことをした際に、映像が薄れている、ぼやける、思い出すまでに時間がかかる、良い映像が出てくる、など、悪いイメージがしにくくなっていれば書き換えられてきています。

 

このように、過去の記憶そのものに対して「安心」「成功」の映像を上書きしていく作業を繰り返すことで、脳の「反応パターン」が少しずつ変わっていきます。

 

脳は「現実」と「想像」をはっきり区別できない性質を持っているため、ポジティブな映像を繰り返し思い描くことは、実際の神経反応にも良い影響を及ぼします。

 

続けることで、脳も体も変わっていく

セルフケアは「一度で劇的に変える」ものではなく、「繰り返し行うことで少しずつ脳のパターンを変えていく」ものです。

 

心因性発声障害は、決して「一生治らない症状」ではありません。

 

あなた自身の力で、その一歩を取り戻していくことができます。

 

そして、もし「どうしても自分だけでは難しい」と感じたときは、私たちが全力でサポートします。

 

この記事のまとめ

✅ 心因性発声障害とは?

・喉や声帯に異常がないのに、声が出なくなる症状

 

・原因はストレスやトラウマによる「脳の誤作動」や「神経の過緊張」

 

・プレッシャーや過去の失敗体験が引き金になることが多い

 

✅ よくある発症のきっかけ

・プレゼンや会議など人前で話す場面での失敗

 

・家庭や職場で感情を抑え込んでしまった経験

 

・クレーム対応や緊張場面での記憶が強く残っている

 

✅ 改善には“3つの方向”からのアプローチが有効

・体の緊張をゆるめる(喉・肩・首)

・心理状態を整理し、安心を取り戻す

・記憶のパターンを書き換え、脳の反応を変える

 

この3つを複合的に組み合わせることで、再び自然な声が出せる状態へ

 

✅ 自宅でできるセルフケアも有効

・腹式呼吸・ストレッチで体の緊張をゆるめる

 

・ジャーナリングで感情を整理し、心のブレーキを外す

 

・リフレーミングで過去の記憶に新たな意味づけをする

 

・イメージの切り替えで、悪いイメージを払拭する

 

✅ 声が出ないのは「あなたのせい」ではありません

・脳があなたを守るために働いた“反応”である可能性が高いです

 

・無理に声を出そうとせず、脳と神経を整えることで改善が可能です

 

・薬に頼らず、自然なアプローチで回復した方も多くいます

 

「どこへ行っても改善しなかった」
「薬に頼りたくない」

そんな声の悩みに、私たちは“脳から整える”という新しいアプローチで向き合っています。

最後に、私たちからのメッセージ

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。

 

最後まで読み進めてくださったあなたなら、きっと声のお悩みも解決できると、私は心から思っています。

 

まずは、この記事でご紹介したセルフケアをできることから日常に取り入れてみてください。

小さな一歩でも「行動する」ことで、今の状態は少しずつ変わっていきます。

繰り返すことで、脳も少しずつ反応を変え、良い方向に進み始めます。

 

最初は「これで合っているのかな?」「本当に効いているのかな?」と感じることもあるかもしれません。

それでも、ご自身の“治る力”を信じて、ぜひ続けてみてください。

 

もし途中で「やっぱり一人では難しい」と感じたときは、私たちが全力でサポートいたします。

 

そのときは遠慮なくご相談ください。

 

あなたの声が自然に出せる日常が戻ることを、心より願っております。

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