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走っているときに、突然足が思うように動かなくなる。
短距離では特に力が抜けたようになり、前に進みたいのに体がついてこない…。
そんな違和感を感じたことはありませんか?
ランナーの間では「ぬけぬけ病」と呼ばれることもあるこの症状は、医学的には「ランナーズジストニア(局所性ジストニアの一種)」と考えられています。
単なる疲労や筋肉の張りではなく、脳と神経の誤作動によって動きが乱れる神経系のトラブルです。
初めて経験する方の多くは、「調子が悪いのかな?」「リズムが悪いのか?」と悩み、練習量を増やしてしまうことがあります。
しかし、実際には練習を重ねても改善せず、症状がむしろ悪化してしまうことも少なくありません。
この記事では、
・ランナーズジストニア(ぬけぬけ病)の症状やセルフチェック方法、
・原因、治療・セルフケア
・専門医の探し方
までをわかりやすく解説していきます。
もし今、「走りたいのに思うように走れない」と悩んでいるなら、本記事が改善への第一歩となるかもしれません。ぜひ最後までご覧ください。
ランナーズ ジストニア(ぬけぬけ病)とは

「ぬけぬけ病」という名前を耳にしたことがある方もいるかもしれません。これは医学的な正式名称ではなく、ランナーの間で使われてきた俗称です。
走っている最中に、足の動きが「ぬける」ように制御できなくなることから、この呼び名が広まりました。
医学的には、この状態は「局所性ジストニア」の一種と考えられています。(ジストニアとイップスについて知りたい方は、(イップスとジストニア、脳の誤作動が原因かも?症状・原因・改善ポイントを解説)も併せてお読みください。
ジストニアとは、脳から筋肉への運動指令が誤って伝わることで、筋肉が意図しない動きをしてしまう神経系の運動障害です。
ランナーズジストニアでは特に、
・走っているときに足が前に出にくい
・意識と違う方向に動いてしまう
・歩行時は問題ないのに、ランニングになると症状が出る
といった特徴が見られます。
このため、単なる「疲労」や「フォームの乱れ」と区別がつきにくく、発見や診断が遅れやすいのが実情です。
さらに、自分では「気のせい」や「一時的な不調」と思い込んで練習を続けてしまい、症状を悪化させるケースも少なくありません。
ランナーズジストニアは珍しい疾患ではありますが、世界的にも「ランニング中にだけ発症する特殊なジストニア」として研究が進められている分野です。
症状に気づいたら、早めに正しい理解を持つことが改善への第一歩となります。
症状の特徴とセルフチェック

典型的な症状
ランナーズジストニア(ぬけぬけ病)の大きな特徴は、「走るときにだけ症状が現れる」ことです。
普段の歩行や日常生活ではほとんど問題なく過ごせるのに、ランニングの動作に入った途端に足の動きが制御できなくなります。
代表的な症状には次のようなものがあります。
・足が前に出しにくく、引っかかるような感覚になる
・膝や股関節が意図通りに動かず、走りがぎこちなくなる
・足首やつま先が勝手に内側や外側にねじれてしまう
・足の指が丸まってきて、地面をけれなくなる
・着地がうまくできず、ブレーキをかけるような足の着き方になる
・短距離走などスピードを上げたときに特に顕著になる
・「抜ける」「もつれる」といった独特の感覚が出る
こうした症状は疲労や筋肉痛と混同されがちですが、毎回同じ場面で繰り返し出ることがジストニア特有のポイントです。
短距離で顕著に出るケース
特に短距離走では、瞬発的に強い力を必要とするため、脳と筋肉の誤作動が起きやすくなります。スタートダッシュの瞬間に「足が抜ける」「膝が崩れる」「力が入らない」と感じるランナーは少なくありません。
またランニング時に現れるジストニアには、足だけでなく、腕振りに違和感を感じるケースもあります。
さらに競技別に症状を知りたい方は、こちらの記事も併せてお読みください。
陸上日本代表選手を治療する専門家が教える陸上短距離のイップス克服法
陸上日本代表選手を治療する専門家が長距離イップス克服法を解説
原因

ランナーズジストニア(ぬけぬけ病)の原因は、単純な筋肉疲労やフォームの崩れではありません。根本的には脳と神経の「誤作動」が大きく関わっていると考えています。
人間の体は、脳から「走る」という指令が神経を通じて筋肉に伝わることでスムーズに動きます。
しかしジストニアでは、この指令がうまく伝わらず、必要ない筋肉に余計な力が入ったり、逆に必要な筋肉が働かなくなったりします。結果として「足が抜ける」「コントロールできない」という感覚が生まれます。
その発症の背景には、同じ動作の繰り返しや精神的な緊張・ストレスがあります。
・毎日同じ走り込みやトレーニングを続ける
・レースや記録へのプレッシャーが強い
・「正しいフォームで走らなければ」と意識しすぎる
こうした要素が重なると、脳が動きを誤学習してしまい、誤作動が慢性化するのです。
腸腰筋との関わり
そしてよく注目されるのが腸腰筋との関与です。腸腰筋は股関節の動きを担う重要な筋肉で、ランニング動作の「足を前に出す」動きに欠かせません。
腸腰筋が過緊張していると、股関節の可動が制限される
逆に働きが鈍ると、足を前に出す動作が抜ける
といったことも考えられます。
この腸腰筋と脳の連携が乱れることで、「足が抜ける」ような症状が出やすくなることもあります。
専門医の探し方

ランナーズジストニア(ぬけぬけ病)は一般的な整形外科や内科では理解されにくく、「原因不明」や「気のせい」とされてしまうことも少なくありません。そのため、適切な専門医を探すことが改善の第一歩になります。
受診すべき診療科
神経内科
ジストニアを含む神経系の運動障害を専門的に診断・治療できる科です。
脳神経外科
脳や神経の器質的な問題が疑われる場合に適しています。
スポーツ整形外科/リハビリ科
ランニング動作に特化して診てくれる場合もあり、動作分析とリハビリを組み合わせたアプローチが可能です。
専門医を探すポイント
「ジストニア外来」や「運動障害外来」がある病院を選ぶ
大学病院や大規模な医療機関では、ジストニアに特化した外来を設けていることがあります。
スポーツ選手の診療実績がある医師を探す
アスリートの特殊な動作障害に理解のある医師は、ランナーズジストニアにも柔軟に対応できることが多いです。
セカンドオピニオンをためらわない
「よく分からない」「異常なし」と言われても、他の専門医の意見を聞くことで正しい診断につながるケースがあります。
医師に伝えるべきポイント
・診察の際には、次の点を具体的に伝えると診断がスムーズになります。
・どの動作のときに症状が出るか(歩行では出ない/ランニング時に出る)
・症状が出る頻度や強さ
・発症のきっかけや練習量の変化
・自分で撮影したランニング動画(可能であれば)
こうした情報を共有することで、医師も脳と神経の誤作動による症状であると気づきやすくなります。
治療・改善方法(ぬけぬけ病 治し方・治るのか)

ランナーズジストニア(ぬけぬけ病)は「必ずしも治らない病気」ではありません。脳と神経の誤作動によって起きているため、正しいアプローチで脳の運動プログラムを整えることが改善へのカギとなります。
ここでは、医学的な治療法とセルフケアの両面からご紹介します。
医学的アプローチ
神経内科・整形外科での診断
ランニング時のみ症状が出るため、診断までに時間がかかることもあります。
先ほどもお伝えしましたが、まずは神経内科やスポーツ整形で相談し、器質的異常が隠れていないか検査し、ジストニアに詳しい医師を探すことが大切です。
具体的に医学的なアプローチとしては次のものがあります。
薬物療法
ボツリヌス毒素(ボトックス)注射:過剰に緊張している筋肉の動きを抑えることで症状を緩和する治療法になります。
ボトックス注射は、神経の命令をブロックして、筋肉の緊張を緩和させるため、打つ場所によっては違和感を感じさせてしまう可能性がありますので、しっかりと医師に相談して行うようにしましょう。
抗けいれん薬や抗不安薬:脳内の神経伝達を整える目的で処方される場合もあります。
リハビリテーション
トレーニングやストレッチなどを組み合わせた「運動療法」が行われることもあります。
代替療法
私たちのような整体院や鍼灸院などの、医療行為ではなく、筋肉や関節など体の働きを調整をする方法です。
セルフケア・リハビリ(ぬけぬけ病 セルフケア)

医学的な治療と並行して、自宅でのセルフケアを取り入れることで改善をサポートできます。
ここでは、体の部位ごとのケア、フォームの改善につながるイメージトレーニング、そしてメンタル面のケアについてご紹介します。
1. 筋肉・関節のケア
ランナーズジストニアでは「股関節から足先までの連携」が乱れやすいため、下記の部位を重点的にケアしましょう。
腸腰筋・股関節のストレッチ
股関節を大きく後方へ伸ばすストレッチ(片膝立ちで骨盤を前に押し出す動き)を行い、足を前に出す動作をスムーズにします。
大腿四頭筋(もも前)
立位で片足を後ろに持ち上げ、かかとをお尻に近づけるストレッチ。膝から股関節にかけての動きが改善されます。
前脛骨筋(すねの筋肉)
正座のように足の甲を伸ばす姿勢をとり、足首からすねにかけての柔軟性を高めます。
ふくらはぎ(下腿三頭筋)
壁に手をつき、片足を後ろに伸ばすストレッチ。走行時のバネのような動きをサポートします。
足の指のケア
足の指を一本ずつ前後・左右に軽く動かし、各関節の緊張を取り除くようにします。
2. フォーム改善:イメージトレーニングを活用
無理にフォームを修正しようとすると、かえって脳が「力むパターン」を強化してしまうことがあります。
そこでおすすめなのが、白黒とカラー映像で負のイメージを払拭するイメージトレーニングです。
脳の誤作動を上書きし、自然な走りを取り戻すサポートになります。
手順としては、
①白黒の映像で「うまく走れていない自分」をイメージする
・足がもつれる、抜ける、といった動きを白黒映像で思い浮かべます。
②深呼吸と丹田への刺激
・深く息を吸って吐き、下腹部(丹田のあたり)を軽くトントンと叩き、身体に刺激を入れます。
③カラー映像で「理想の走り」をイメージする
・足が自然に前に出て、リズムよく地面を蹴っているスムーズな走りを、鮮やかなカラー映像で思い描きます。
④イメージできたら、再び丹田を軽く叩いて「良い感覚」を身体に刻み込みます
⑤再度、白黒映像をイメージする
・もう一度最初にイメージした白黒の「うまく走れていない映像」を思い浮かべます。
・そうしたときに、「最初よりもイメージしにくくなっている」「イメージできるまで時間がかかった」などよく無いイメージ記憶が薄れてきていればイメージは書き変わってきています。
この方法は、ネガティブな走りの記憶を弱め、ポジティブな走りの感覚を脳に定着させるセルフケアです。練習の前や夜寝る前などに行い、ご自身の良いイメージを作っていきましょう。
イメージができない場合の工夫
「理想の走り」を自分で思い描くのが難しい場合は、トップランナーや理想的なフォームで走っている人の動画をYouTubeなどで観察する方法が効果的です。
その映像に自分を重ね合わせるようにしてイメージすることで、よりスムーズに脳内に「良い走りの記憶」を刷り込むことができます。
3. メンタル面のケア:自分の想いに気づき、切り替える方法
ランナーズジストニアは、単なる身体の問題ではなく、心の状態が脳の誤作動を強めているケースも少なくありません。特に「また症状が出るのでは」「結果を出さなければ」という思い込みが、無意識のうちに筋肉を緊張させてしまいます。
そこで大切なのは、自分の感情と向き合い、どんな想いが緊張を生み出しているのかを深掘りすることです。以下のステップを試してみてください。
①感情を書き出す
走る前や走った後に感じたことを、ノートにそのまま書き出します。
例:「うまく走れなかったら恥ずかしい」「みんなに遅れたくない」など。
②なぜそう感じるのか掘り下げる
書き出した感情に対して「なぜそう思うのか?」と問いかけ、さらに一段階深掘りします。
例:「恥ずかしい → 周りに評価されたい」「遅れたくない → 自分の価値を結果で証明したい」
③本当の想いに気づく
掘り下げていくと、自分でも気づいていなかった本音が見えてきます。
例:「本当は走ることを楽しみたいのに、周りの目を気にしていた」
④気持ちを切り替える言葉を決める
気づいた本音を大切にしながら、脳の誤作動を強めないように言葉を切り替えます。
例:「結果よりも、自分が走る喜びを感じよう」「今日は挑戦を楽しむ日だ」
⑤走る前に口に出して確認する
走る前にその言葉を実際に口に出すことで、脳に新しいプログラムを刷り込みます。
こうしたプロセスを繰り返すことで、無意識の不安や思い込みからくる緊張が減り、脳と体がより自然に連動しやすくなります。
まとめ

ランナーズジストニア(ぬけぬけ病)は、単なる疲労やフォームの問題ではなく、脳と神経の誤作動によって走る動作が乱れてしまう運動障害です。
・症状の特徴としては「走るときだけ足が抜ける・もつれる」といった違和感が繰り返し現れること。
・セルフチェックによって「ただの疲れ」や「筋肉痛」との違いを見極めることができます。
・原因には過度な反復練習や精神的ストレス、腸腰筋をはじめとした下肢の筋肉と脳の協調不良が関わっています。
・改善に向けては、医学的な治療と並行して、腸腰筋・股関節・足指までを含めたセルフケア、イメージトレーニングによるフォーム改善、そして自分の内面と向き合うメンタルケアが有効です。
・また、専門医を探す際は「神経内科」や「ジストニア外来」など、運動障害に理解のある医師を選ぶことが大切です。
ランナーズジストニアは「もう走れないのでは」と不安になる方が多い症状ですが、適切な理解とアプローチによって改善の可能性は十分にあります。
もし今、症状に悩んでいる方は、一人で抱え込まずに専門医や信頼できる施術者に相談しながら、一歩ずつ改善への道を歩んでいきましょう。
私たちも脳の誤作動という視点から改善へのサポートができますので、もし解決方法が見つからない時は、ご相談していただけますと幸いです。
あなたがまた思い通りに走れるように真剣に施術致します。
最後までお読みいただきありがとうございました。


