『痙性斜頸 完治』と検索されたあなた
自分または知人が痙性斜頸になったので完治する方法を知りたい!
あなたは今そうお考えではないでしょうか。
この記事を読めば一般の方でも①痙性斜頸を完治させる方法②病院での治療法③実際に克服した症例を医学本や医学文献を参考にし、また、当院に来院する痙性斜頸の患者様の内容を交えながら記事にします。
痙性斜頸の事を深く理解して、心身共に健康な身体を手に入れる為に、この記事がお役に立てば幸いです。
痙性斜頸とは?
痙性斜頸とは首周辺の筋肉が何らかの要因で異常運動を起こす事により、首が勝手に動く、首が痙攣する、常に右を向いた状態になる、首が痛い、首のツッパリ感を感じる、首や肩が凝る等の症状が出現します。
痙性斜頸の原因とは?
前述したように痙性斜頸の原因は脳の異常命令です。通常であれば脳は体を動かす為に正しい命令を神経を使い筋肉に伝えます。この時に脳が何らかの要因で不安定な状態になると正しい命令を送れなくなり、筋肉を過度に緊張させ過ぎたり、反対に筋肉を過度に緩めすぎたりします。
脳とストレスの関係性
脳の部位である大脳基底核は情動(感情)と関連する偏桃体との密な繊維連絡があり、心身のストレスにより大脳基底核の機能異常が生じるとされる。
参照元:公益社団法人 鳥取県医師会 HPより
大脳基底核は主に体の動きを制御する役割があります。つまり大脳基底核の機能異常になれば体の動きを正しく制御する事が行われず首が勝手に動く、首が痙攣する、常に右を向いた状態になる、首が痛い、首のツッパリ感を感じる、首や肩が凝る等の痙性斜頸が出現します。
続いて病院ではどのような治療をするのか解説していきます。
病院での治療法とは?
病院での痙性斜頸の治療は大きく分けて①ボツリヌス治療②内服薬③手術の3通りあります。それぞれ病型及び罹患範囲により治療法が選択されます。
ボツリヌス治療
ボツリヌス治療とはボツリヌス毒素により神経筋接合部で過剰となっている化学的伝導を阻害し、筋緊張を正常とします。
その結果、異常な姿位を正常へと改善させ後頚部痛を著名に低減させる事が出来ます。
効果の発現は通常2~6日後、ピークは1~2週間後であり、その持続期間は3~4カ月間とされています。ボツリヌス治療は対症療法と位置づけられていますが、継続する事で正常化された情報が中枢神経(脳と脊髄)へ伝えられ、異常なプログラムが正常へと切り替われば根治治療として期待できます。ただしボツリヌスA型毒素での治療は寛解率は30%とされており、他の治療と併用する場合が多くあります。
治療頻度として週2回程度で10回程度反復し行い、効果を確認します。最初は比較的短時間の効果しか無いが、有効だと効果が次第に延長していきます。
治療の効果があれば治療頻度は延長していきますが、確実に症状が改善される治療法ではありません。
副作用として長期的に使用すると筋組織の破壊、運動神経(筋肉を動かす神経)の障害、感覚神経(知覚や、痛みを感じる神経)の障害、さらには非可逆性(元に戻らない)の組織破壊を起こし、筋肉が索状に硬結する美容上の障害も考えられます。
内服薬
内服薬治療では、ボツリヌス治療での効果が不十分な場合に選択されます。第一選択とする場合もあるが、有効率が低く、補足的に使用される場合がほとんどです。
成人以降の痙性斜頸では有効率は低いが小児では有効性が報告されています。また成人でもクロナゼパム、メキシレチンは痙性斜頸での有効性が報告されています。
痙性斜頸の症状により有効性が高い内服薬は異なりますがあくまでも補足的役割が高い治療法となります。
副作用として薬剤性ジストニア(内服薬によるジストニア)、アカシジア(座っていられない、足のむずむず感、じっとしていられない)、うつ病など、また高齢者では知能機能の低下も考えられます。
手術
ボツリヌス治療などの保存療法で十分な効果が得られない場合や、ボツリヌス治療が困難な場合に用います。
外科的な神経遮断を行う選択的神経遮断術と、淡蒼球内節(脳の部位)に対する定位脳手術があります。
異常運動を起こしている筋肉が固定出来る場合は選択的神経遮断術を選択します。複雑に頸部の筋肉が異常収縮をきたしている場合や、頸部以外にもジストニアの症状がみられる場合は定位脳手術を選択します。
主な選択肢として、異常な命令を送っている神経を手術するか、異常な命令を出している脳を手術するかになります。
副作用として、選択的神経遮断術は後頭部の知覚麻痺、筋緊張感、頭部痛、嚥下障害などがあげられます。
また手術による頭蓋内出血は1~2%の頻度で生じるが、死亡を含めた重篤な転帰をとる例は極めてまれです。
病院での治療で効果が無い場合、手術を受けるか悩んでいる場合や病院での治療を考えている方は自宅でも痙性斜頸を克服する事が出来るので次の項目をお読み下さい。
自宅で出来る痙性斜頸の克服方法
ここまでお読み頂いて痙性斜頸の原因がストレスにより脳の異常命令が起こりその結果、筋肉の異常運動が起こってしまう事だと理解出来たと思います。ここから自宅でも出来る脳の異常命令を起こしている部位の見つけ方と調整方法、ストレスに対してどのように適応すれば痙性斜頸が治るのか解説していきます。
肉体的治療法とは?
脳の異常命令は精神的なストレスだけでなく、脳や身体の機能が低下している場合もストレスとなります。どの部位が機能低下しているのか検査し、調整する方法をお伝えします。
小脳の機能低下
痙性斜頸の患者様は特に小脳の機能低下がみられる方が多いのが特徴です。
小脳とは主に目的の運動をする為にはどの筋肉をどの順番で動かせばよいかというような実行指令を作成し、その指令が正しく行われたかフィードバックし補正をする役割があります。小脳が機能低下を起こすと脳内のバランスが崩れ、異常命令を起こす刺激となります。
自宅でも小脳の検査とリハビリが出来るので下記を参考にやってみて下さい。
ロンベルグ徴候
両足を揃えてつま先を閉じて立ち、身体が安定しているか確認します。安定していたら次に目を閉じて身体の動揺がないか確認します。この際に身体がふらふらと動揺してしまったら小脳の機能低下が疑われます。
※このテストではふらついた際に周りに物があると大変危険ですので、一人でやらないように注意してください。
片足立ち
目を閉じた状態で片足立ちをし10秒以上なら正常です。5秒以下なら小脳の機能低下が疑われます。
※このテストではふらついた際に周りに物があると大変危険ですので、一人でやらないように注意してください。
両腕前方挙上
立った状態で目を閉じ、両腕を前方に床と水平になるように挙上します。この際に腕の高さに左右差があれば小脳の機能低下が疑われます。
ピアノムーブメント
両腕を前に出してピアニストのように親指から小指にかけて順番に指をなめらかに動かします。この際に両手の指がなめらかに動かないもしくは左右差が出る場合は小脳の機能低下が疑われます。
手の回内回外検査
両腕を前に出して手を回内回外(バイバイする動作)します。この際にどちらかの手が遅れたり、動かしづらかった場合には小脳の機能低下が疑われます。
小脳は繰り返し使えば機能は回復していきます。出来なかった項目を反復してトレーニングする事で出来なかった項目が出来るようになり小脳の機能が正常に戻ります。ただし反復してトレーニングしても変化が無い、または余計に出来なくなる場合は脳の休息が必要なお知らせです。その場合は無理をせずに休む事が重要となります。
脳神経系の機能低下
副神経(僧帽筋)
僧帽筋(肩をすくめる)・・・右と左を行い、左右差を比較してください。動きが悪い方、ツッパリ、つまりを感じるなどの側に異常があります。その場合、その状態で2回深呼吸して調整してください。
副神経(胸鎖乳突筋)
胸鎖乳突筋(顔を横に向けて頭を曲げる)・・・これも右、左、どちらも検査しましょう。力が入りにくい、違和感などがあれば異常です。異常があればその場で2回深呼吸して調整しましょう。
筋肉を硬くする神経、柔らかくする神経の機能低下
脳から筋肉を硬くしたり柔らかくする神経が出ていますが、これに異常が起きていると、筋肉が硬くなりすぎていたり、柔らかくなりすぎていたりします。異常が起きている神経を正常に戻すやり方をお伝えするので下記を参考にやってみて下さい。
前屈
後屈
側屈(写真は右側屈ですが、反対も行い、左右差を比較してみてください。)
回旋(写真は左回旋ですが、反対も行い、左右差を比較してみてください。)
上記の動きをして、動きずらい動作で機能低下を表しています。
調整法は5秒間動かしずらい動作をして、深呼吸を2回行います。
精神的治療法とは?
前述したように痙性斜頸はストレスと密な関係があります。言い方を変えればストレスに適応出来れば痙性斜頸を克服する事が出来ます。
ストレスに適応する為に大切な事は、ストレスから逃げない事です。人間は誰しもストレスを遠ざけようとします。しかし現代社会で生きていればストレスを完全になくすことは不可能です。
ではどうすればいいのか?
答えはストレスを感じている時の自分の感情を認識し、その感情がなぜ起きたのか背景を考え理解する事です。
感情とは自分のこれまでの経験から生まれたルールや自分が求めている欲求から生じます。
例えば職場で上司に対して『毎日怒られてすごく不快だ』と感じている場合、自分のルールで『自分は今まで周りの人から認められてきたから、これからも認められ続けなければならない』または自分の欲求で『私は周りの人からの存在感を満たしたい、しかし上司に怒られている私は誰からも必要とされていないんだ』という様に、感情には必ず背景があります。大切な事は自分のルールや欲求を知り、その事でストレスとして感じているんだ。と客観的に自分を理解する事です。客観的に自分を理解する事で脳はストレスに対して適応する事が出来ます。
実際にジストニアを克服できた症例をご覧下さい。
痙性斜頸を克服した症例
痙性斜頸(首が常に右を向いてしまう)
当院での治療として関節と筋肉と脳の繋がりを整え、脳への刺激になっているストレスを検査した所、重要感や存在感を職場の人たちから求めており、その為、職場でコミュニケーションを取り、連帯感を高める事が脳への刺激となり、脳の異常命令が起こり、筋肉の異常運動が起こっていることがわかりました。そのストレスと症状の関係性を認識し調整した結果ジストニアを改善する事が出来ました。
痙性斜頸(首が勝手に動き首に痛みがある)
当院での治療として関節と筋肉と脳の繋がりを整え、脳への刺激になっているストレスを検査した所、自分が自立し子供を育てる事に対して義務感がありました。そこには母子家庭の子供は道を外れやすいという世間一般情報が関係していました。ほかにも経済的に安定して子供を助けてあげる事が脳への刺激となり、脳の異常命令が起こり、筋肉の異常運動が起こっていることがわかりました。そのストレスと症状の関係性を認識し調整した結果ジストニアを改善する事が出来ました。
まとめ
いかがでしたでしょうか
痙性斜頸を完治する為のポイントは
- どの機能が低下しているのか検査し調整する。
- ストレスを自覚し、自分の感情やルール、欲求を客観的に理解する。
以上の2つになります。
こちらの記事をお読み頂き、実践していただき、万が一解決出来ない場合は、「脳・心・体」の相関関係を理解している専門家へご相談される事をおすすめします。
この記事の参考文献
- ジストニア診療ガイドライン2018:日本神経学会
- ジストニアのすべて:梶 龍兒
- 体の不調は脳がつくり、脳が治す:保井志之
- 「こころ」はいかにして生まれるのか最新脳科学で解き明かす「情動」:櫻井武
- コーピングのやさしい教科書:伊藤絵美
- 記憶と情動の脳科学:ジェームズ・L.マッガウ, 久保田 競, 大石 高生