イップスを克服する練習法でお悩みのあなたへ。
このようなことでお悩みではないですか?
- イップスを克服するための練習法を知りたい。
- 練習中にできる克服方法を知りたい。
- 練習ではできるけど試合や本番になるとできない。
などでお悩みではないでしょうか。
石井堂クリニカルオフィスはイップスに特化した治療を行なっており、
- 1軍プロ野球選手
- ツアープロゴルファー
- 男子サッカー日本代表選手
- 陸上日本代表選手
- バレーボール日本代表選手
- プロバスケット選手
- プロダーツプレイヤー
- バドミントン選手
- テニスプレイヤー
- 卓球選手
などのスポーツ選手のイップス治療に携わっております。
また紅白に出場されたアーティストやアニメの声優、歌手など声のイップスといわれる発声障害の治療も行なっております。
このような経緯もあり、令和2年に【不調が消え去る脳バランス体操】という本を株式会社KADOKAWAから出版させて頂きこの本でもイップスを克服するための方法を簡易的ですが触れさせて頂いております。
そこでこの記事ではイップスの原因やメカニズム、イップスになりやすい人に共通すること、イップスを練習で克服する方法についてお伝えします。
あなたの辛いイップスが1日でも早く克服できることを心より願っております。
イップスとは
イップスとは広辞苑でこのように記載されています。
これまでできていた運動動作が心理的原因でできなくなる障害。もとはゴルフでパットが急に乱れることを指したが、現在は他のスポーツにもいう。
引用:広辞苑(第七版)岩波書店
またウィキペディアではこのように説明されています。
イップス (yips) は、精神的な原因などによりスポーツの動作に支障をきたし、突然自分の思い通りのプレー(動き)や意識が出来なくなる症状のことである。本来はゴルフの分野で用いられ始めた言葉だが、現在ではスポーツ全般で使われるようになっている。
このことからイップスとは精神的な問題により普通にできていたことが急にできなくなってしまった状態です。
スポーツ別に見たイップスの症状
イップスになるとどのような症状が現れるのでしょうか。
実際に当院へ来院された患者様の訴えも交えながらスポーツ別に症状をお伝えします。
野球イップス
- 短い距離になると腕が振れずショートバウンドしてしまうか、ボールが高めに浮いてしまう。
- 塁間の送球時に指に違和感を感じたり、指がひっかかりすぎたり、反対に指がかからない感じがする。
- ある特定の距離になるとボールを地面に叩きつけてしまい相手まで届かなくなる。
- キャッチボールのときにショートバウンドしてしまう。
- キャッチボールのときに肩や肘、手首が固まる。
- キャッチボールで投げ始めのときに指の感覚がない。
- 近い距離でのスナップスローでボールが指に引っかかる。
- 5〜10mの距離で
- 軽く投げることができない。
- 送球で暴投してしまう。
- 投げ方がわからなくなる。
- ピッチャーへ返球できない。
- ボールを投げても勢いがない。
- 力を抜いて投げようとすると体の開きが早くなり肩と肘が下がる。
- 右肩に痛みが出て投げれない。
- プレーの始めだけ安定しない。
- そもそも野球が楽しくできない。
などの症状が見られます。
さらに詳しく知りたい方はこちらになります。
テニスイップス
- フォアハンドで打つときに手首や肘、肩に違和感がでる。
- バックハンドのとき手首や肘、肩に違和感がある。
- 始まってすぐは手首を固めないと打てない。
- 両手のバックハンドが打てず片手打ちになってしまう。
- ボールを打つときの感覚がない。
- 自分の腕がいまどこにあるかわからなくなる。
- 思い通りのラインに打てなくなる。
- ネットにかかってしまう。
- 体が固まる感じでスムーズに動かせなくなる。
- 頭が真っ白になる。
- サーブのときにトスがぶれる。
- トスを上げるとき手がスムーズに動かない、固まる。
- トスを上げようとしてもあげられない。
- ラケットが振れなくなる。
- 球出しをしようとすると手が震えてしまう。
- どうしてもネットしまう。またはオーバーになる。
- 思ったところと違う方へボールが飛んでいってしまう。
- 手首が勝手に違う方へ向いてしまう。
などの症状があります。
詳しく知りたい方はこちらになります。
ゴルフイップス
- 練習ではしかっり打てるが、本番になると打てなくなる。
- アドレス時に違和感があり、本来のアドレスができない。
- 素振りは問題ないがゴールがあるとスウィングできなくなる。
- アドレスから固まって動けなくなる。
- アドレスからトップに挙げるとき、無理やり挙げないとあがらない。
- トップで体が固まりダウンスウィングが降りてこない。
- スウィングが思いっきり振れない。
- 感覚的にブレーキをかけている。
- ドライバーを持っただけで緊張し呼吸が安定しない。
- ドライバーで良いイメージができない。
- チーピンばかりなる。
- ピンに寄せようと意識するとオーバーしすぎたり、シュートしすぎになる。
- パターで弱く打ちたいのにカップを遥かにオーバーする強さで打ってしまう。
- パターで強く打ちたいに強くてない。
- 手が震えてしまう。
- どうしても引っかけてしまう。
- ある特定の距離になると打てなくなる。
- ロングパッドは平気なのに、1mほどのパッドになると症状がでる。
- ショートパットは平気だがロングパッドで明らかなショートになってしまう。
- パターのアドレス時に違和感や体の痛みを感じる。
- ゴルフをすると痛みを感じる。
などの症状が見られます。
さらに詳しく知りたい方はこちらになります。
陸上イップス(短距離走、長距離走)
- 自分の足でないような感覚にある。
- 思うように足が動かない。
- 足に力が入らない。
- 足に力が入りすぎる。
- 足が棒のような感覚になる。
- バランスが保てない。
- 本来のタイムがでない。
- 明らかに走れなくなった。
- スピードに乗って走れている感覚がない。
- スタート時に不安しかない。
- スター時の良いイメージができない。
- 走ると腰や股関節、膝の痛みがすくでる。
- 腕振り時に違和感やスムーズに動かせない。
などの症状が見られます。
さらに詳しく知りたい方はこちらになります。
卓球イップス
- 試合になるとサーブが入らない。
- 試合になると打てなくなる。
- フォアハンドの際、オーバーしてしまう。または短くなってしまう。
- フォア打ちが入らない。
- バックスウィングのときに固まる感じがし、スムーズに動かせなくなる。
- 肩や肘、手首が固まる。または痛みが出る。
- チームメイトにサーブのタイミングのズレやラケットのブレを指摘された。
- サーブのときに頭が真っ白になる。
- サーブのときなどに手が震えどうのように打っていいかわからなくなり、打ててもネットにかかる。
- ラケットの握り方がわからなくなる。
- 自信がなくなった。
- 卓球が楽しくなくなった。
などの症状が見られます。
さらに詳しく知りたい方はこちらになります。
サッカーイップス
- オフサイドになるのが怖くて走り出すことができない。
- 足の怪我が治ったのにボールを蹴るときに、また怪我をするのではないかと怖くなり蹴ることができない。
- PKでどこに蹴っていいかわからなくなる。
- フリーキックやPKでボールを蹴るとき歩幅がわからなくなりダフったり思ったところにボールが蹴れない。
- ボールを蹴るときに軸足の置き場がわからず蹴れなくなる。
- 足が固まるような感じで思うように蹴ることができない。
- 足が震えプレーできない。
- プレーをすると腰や股関節、恥骨、膝、足首の痛みが出て思うようにプレーできない。
などの症状が見られます。
さらに詳しく知りたい方はこちらになります。
バドミントンイップス
- シングルスで打っているときは問題ないが、ダブルスになると症状がでる。
- 試合になるとサーブが入らない。
- ダブルスになるとショートサーブが浮いてしまう。
- サーブのときに手が震え打てなくなる。
- バッグハンドサーブのときにグリップの持ち方がわからなくなる。
- 肩や肘、手首が固まり思い通りに動かせなくなる。
- サーブを打つのが怖くバドミントンが楽しくなくなった。
- スマッシュのときに思いっ切り打つが、強く打てない。
などの症状が見られます。
さらにバドミントンのサーブイップスを知りたい方はこちらになります。
バスケイップス
- シュートで腕を挙げ構えたとき、腕の位置がわからなくなる。
- 練習ではトラベリングしないのに、試合になるとどうしてもトラベリングしてしまう。
- ボードを使ったシュートしか打てない。
- 3Pシュートを打つときに力が入らずリングまでボールが届かない。
- フリースローのときに手が震えシュートが打てなくなる。
- シュートを打つときに顔が横を向いてしまう。
- レイアップシュートのときに肩や肘、手首が固まる感じで思うように打てない。
などの症状が見られます。
さらに詳しく知りたい方はこちらになります。
ではもし上記のような症状が見られた場合、どこの病院を受診すればイップスと判断されるのかついてお伝えします。
どこの病院へ行けばイップスは診てもらえるのか
イップスの原因は精神的な要因があると言われていますが、はじめは脳や体(神経系、筋肉系)に異常がないか、病気が隠れていないか検査をする必要があります。
なので脳神経内科を受診することをおすすめ致します。
脳神経内科では、
脳神経内科は脳や脊髄、神経、筋肉の病気をみる内科です。体を動かしたり、感じたりする事や、考えたり覚えたりすることが上手にできなくなったときにこのような病気を疑います。症状としてはしびれやめまい、うまく力がはいらない、歩きにくい、ふらつく、つっぱる、ひきつけ、むせ、しゃべりにくい、ものが二重にみえる、頭痛、かってに手足や体が動いてしまう、ものわすれ、意識障害などたくさんあります。まず、全身をみることが出来る脳神経内科でどこの病気であるかを見極めることが大切です。その上で骨や関節の病気がしびれや麻痺の原因なら整形外科に、手術などが必要なときは脳神経外科に、精神的なものは精神科にご紹介します。また、感じることの中には見たり聞いたりする能力も含まれますが、眼科や耳鼻科の病気の場合もあります。どの診療科に受診するのが一番ふさわしいかは、おかかりになる病院に前もって問い合わせるとよろしいでしょう。
と一般社団法人 日本神経学会は伝えています。
そこで検査の結果、異常がないのに症状がでる場合は精神的な要因がありますので心療内科を受診しましょう。
心療内科とは、精神的な要因により体に不調が起きているものを専門に扱う科になります。
ここで精神科でもいいの?と思われた方もいるはずです。
精神科でも問題ないのですが精神科は不安やイライラ、人間関係での悩みなどメンタル面を扱う専門科になります。
なのでイップスの場合は心療内科の方が良いかと思います。
しかし精神科と名前を挙げていても心療内科も含めて診ている病院もありますので、ホームページなどで一度確認していただければと思います。
イップスの診断とその後
検査の結果異常は診られず、問診や診察を通じて精神的な要因が考えられると判断された場合、イップスと診断されます。
イップスと診断された場合、カウンセリングやメンタルトレーニング、認知行動療法などを行うことで改善が見られます。
しかし当院へ来院された患者様の多くが診断は受けても「病院で特に治療する方法はない」と言われるケースが多くいます。
なのでイップスの悩みを改善するためメンタルトレーニングに通ったり、技術を見直すためスクルーなどに通っていますが中々改善しないケースが多いかと思われます。
後ほど自分でイップスを克服する方法をお伝えしていきます。
イップスになりやすい人に共通することとは
ではイップスになりやすい人に共通していることとはどのようなことでしょうか。
私たちが臨床を通して感じたものが、
- 真面目
- 完璧を求める
- 執着が強い
- 周りを気にしてしまう
- 理論的、構造的に考えてしまう
- 自分の本心に気づきたくない
という心の特徴です。
これらの心の性質について順番にお伝えしていきます。
何事も真面目に受け止めてしまう
- 練習で覚えたフォームの通りにやらないと上手くならない。
- 監督やコーチ、キャプテン、親が言ったことは絶対だ。
- ちゃんとやらないと怒られてしまう。または恥をかいてしまう。
何事も真面目に取り組めるのはすごいことです。
しかし人間なので時には手を抜いたり甘えたりしたいときがあります。
それは分かっていても中々受け入れることができず、何事も真面目に取り組もうとすることでいつの間にか生き辛さになっていることがあります。
なので真面目な人ほどイップスになりやすくなってしまいます。
完璧を求めすぎてしまう
- 自分は〜だからこうあるべきだ。
- 納得いくまでやらないと気になってしまう。
- フォームや姿勢はこうでなければならない。
など完璧にこなさなければならないという自分のルールがあることで、理想の自分と現実にギャップが生じ心と体の関係に問題が起きてきます。
そのため完璧を求めすぎることでイップスになりやすくなります。
執着が強い
- 勝負の勝ち負けや結果にこだわる。
- 長年してきたことだから〜でないとだめだ。
- 他人から色々言われても自分には自分のやり方がある。
こだわりを持っていることが悪いわけではありません。こだわりはあなたの個性です。
しかしこだわりが強すぎると柔軟に対応できなくなり、いつの間にか自分自身に対する制限になってしまうことがイップスになりやすくさせてしまいます。
周りを気にしてしまう
- 他の人はできているのに自分は全くできていないからダメだ。
- 監督やコーチ、仲間の信頼を失ったら必要とされなくなる。
- ファンの期待に応えないとダメだ。
- 失敗して恥をかきたくない。
このように周りの目や評価は誰しもが気になる部分ではあります。
ですがあまりに意識しすぎると、本来の自分を見失ってしまい思うようにプレーできなくなってしまうことがイップスになりやすくします。
理論的、構造的に考えてしまう
- ボールを投げるとき、反対の手で壁を作り体の開きが早くならないように…。
- テニスボールを打ち返すときは、まず手首を固めフレームで打たないように先ほどより少し高めにラケット持ってきて…。
- 先ほどのゴルフスイングはトップでしっかり止めたことで安定したから、今度もそうしたらいいな。
このように体の位置や出来事に対して細かく理論や構造で考えてしまうことがイップスになりやすくさせています。
そもそもイップスはベテランの人しかなりません。
練習を幾度と繰り返してきたことで考えなくても無意識にプレーできるはずです。
しかしベテランになることで、修正点が見え改善しようと本来無意識にできるプレーを理論や構造で考えてしまい、感覚でプレーできる自分に命令し動きに制限をかけてしまいます。
自分の本心に気づきたくない
- 本来ならこうしたいけど、世間一般的な考えではこうだからできない。
- できるようになりたいけど、それを望んでない自分がいる。
- 受け入れられない自分がいる。
このように誰しもが自分の本心に対して気づきたくない、気づいてしまうのが怖いなどの葛藤が芽生える部分があります。
ですがそれ自体を変えないといけないわけではありません。
そのような葛藤があると自分の行動に制限をかけてしまいイップスになりやすくなってしまうと知ることが重要です。
このようにイップスになりやすい人には、心の特徴で共通する部分があります。
ではなぜこのような心の特徴が体に影響を及ぼすのか次章でお伝えしていきます。
イップスの原因とメカニズムを知ることで練習中に克服できるようになる
精神的な刺激を受けた脳が誤作動を起こすことで筋肉に異常な命令を送りイップスとなります。
脳が誤作動を起こすと言われてもピンとこないと思いますので、まずは脳の機能について簡単に説明します。
私たちの脳は常に様々な情報を処理し、体に命令を出しています。
例えばスポーツを行なっているとき、ボールや相手の動きを見たり、音など聞いて反応していると思います。
ですがそれらの動きのほとんどが意識せずに無意識(直感的)に行われているはずです。
「ボールを良く見て…」「音が鳴ったら足に力を入れて動こう」などと考えながらプレーしていないと思います。
私たちは五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)で情報を感じとり、その情報が神経を通して脳へ入力され、脳がその場面に適した命令を筋肉へ送ることで足を動かしたり強さや方向性を決めたり、タイミングの調節が行われています。
このように脳は膨大で複雑な情報を一瞬で処理し、その場面に適した情報だけを選択し体に命令を出すことで円滑に動けるようコントロールしています。
なので体の動きのほとんどが無意識のうちに脳が行なっているということです。
しかしこの脳の働きを混乱させてしまうのが感情(精神的な刺激)になります。
脳は感情の刺激に対して反射的に体に命令を出します。
例えば、ナイフなどの凶器を目の前に出されたら怖さで固まってしまったり、腰を抜かしてしまうといった光景を映画やドラマで見たことはないでしょうか。
あれは凶器を見たことで恐怖といった感情が湧き、その情報が脳へ入力されることで過度に力を入れてしまったり、力が抜けてしまうという反応が起きます。
なので小さい子にナイフを見せても、危ない=恐怖という認識がないので、同じような体の反応は起きません。
そしてこの感情も意識的に感じているのではなく、無意識的に湧いてくる心の反応になります。
このような反応がプレー中の特定の場面になると起きる状態がイップスです。
なのでイップスが現れているときは、無意識的に湧いている感情という情報が脳へ入力され、その情報に対して反射的に体に命令を出すことで、本来の動きが制限されるような感覚となります。
ここまでをまとめると、
プレー中に特定の場面になると無意識の感情が湧く
↓
感情という情報が脳へ入力される
↓
反射的に体に命令を出してしまう
↓
本来の動きができなくなる=イップス
となります。
イップスを克服するための3つの練習方法について
ここではイップスを克服するための方法を3つお伝えしていきます。
- 練習中にできる感覚トリックを使った克服方法
- 動画や他の選手の実際のプレーを見て良いイメージを記憶に上書きする。
- イップスの引き金となる心の反応を脳へ慣れさせる。
それぞれ治るきっかけは異なると思いますので、自分に合うなと思う方法から試してみてください。
練習中にできる感覚トリックを使った克服方法
感覚トリックとは、今まで行なってきた動作に少し変化をつける方法です。
脳は学習し反復することで、意識せずとも当たり前にできるよう神経回路を作ります。
この出来上がった神経回路に誤作動が生じているとイップスになります。
なのでその神経回路を通らないように少し違う刺激を入れ別の神経回路を作ることでイップスを一過性に改善することができます。
そして別の刺激を反復して加えることで神経回路を書き換えていきます。
今までのフォームやテンポを変える
フォームを変えるとは、打ち方を変えるのもそうですが打つ前の動作を変えるのも有効です。
例えば軽くジャンプしたり、屈伸をしたり、体の一部をストレッチしてみたり、いつも行なっている動きに違う動きを組み合わせると別の神経回路を使うようになります。
またテンポを変えるだけでも刺激が変化するので有効です。
そしてフォームやテンポを変える方法は自己研究にもなり、より自分のベストが出せる方法を見つけることができます。
これはプロ選手を見ていても感じます。
年々少しずつフォームやテンポが変わっている選手は少なくありません。
自分のベストが出せるように自分と向き合い改善を重ね少しずつ変化していると思います。
なので自分のフォームやテンポを変えてみる方法を実践してみてください。
意識する場所を変える。
一度イップスが現れるとイップスのことが気になり、「またできなかったらどうしよう」といった不安やそのときの感覚を意識してしまいます。
そうすると脳はそこの情報だけをキャッチしようと神経を集中させてしまいます。
なのでそうならないように意識を別の方へ向けます。
たとえば、丸いものを連想したり、数字を数えたり、A〜Zを逆にいってみるなどまったく別のことを考えます。
それが難しいようであれば、相手選手になりきったつもりで相手の気持ち考えてみましょう。
こうすることで客観的にその場を見ることができ、神経が安定します。
イップスのときは自分自身に意識(神経)が向いているので、他のものや相手に意識を向けると効果的です。
動画や他の選手を見て良いイメージを記憶に上書きする
私たちの脳にはミラー細胞という神経細胞があり、物事を見て真似をする能力があります。
この真似をする能力を使ってイップスの記憶をそうでない記憶に上書きする方法です。
真似をするという動作には物事を観察し、一度頭の中でイメージをして、行動に移すといった手順を踏みます。
ここでポイントになるのがイメージをするということです。
イップスになっている方の中には悪いイメージはできるけど、良いイメージができないという方がいます。
これは悪いイメージが記憶されイップスを克服するための制限になっています。
なので動画や実際にうまいと思う選手のプレーを見て、頭の中でイメージし実際に真似をするという練習を繰り返し行うことで記憶が書き換わってきます。
そして人によっては記憶が書き変わるだけでもイップスを克服できます。
イップスを克服する練習の1つとして取り入れてみてください。
イップスの引き金となる心の反応を脳へ慣れさせる
上記の克服方法を試しても改善されない場合は、ご自身のイップスの引き金となっている心の反応(感情)や感情を湧かせるご自身の捉え方を認識し、脳へ慣れさせる必要があります。
原因やメカニズムの章でナイフの例を出しと思います。
ナイフを見たときに恐怖という感情が湧くことで脳が誤作動を起こし筋肉が上手く働かない状態となっていますが、特殊部隊や自衛隊員にナイフを見せても同じような反応は起きないと思います。
それは日々の訓練でナイフ=恐怖という感情を脳へ慣れさせることで、免疫がついているためです。
なのでイップスも同じように、イップスのときに湧いている無意識の感情を特定し、感情を生み出す心の構造を認識し脳へ慣れさせる必要があります。
この克服方法を行うにあたりポイントが1つあります。
それは紙に書き出し客観的に見るということです。
脳の学習には五感を刺激し、行動した方が記憶の定着に効率が良いためです。
はじめにイップスになっているときに湧いている【感情】を特定する。
感情を特定するにあたりAさんの例を書きますので参考にしてみてください。
Aさんの場合ゴルフでラウンドを回っているときに後半のパターになると力加減がわからなくなり1mほどのパッドも外してしまうイップスでした。
このときに湧いていそうな感情が「このままの調子でできたら目標を達成できる」といった【意欲】や、なんとなく【劣等感】が湧いているんじゃないかということで書き出しました。
このようにイップスが起きている場面から書き出すと特定しやすくなります。
下記にイップスに繋がる無意識の感情を書き出しましたので参考にしてみてください。
- 意欲ー頑張る、楽しみ、達成する、積極的
- 義務ーやるべき、しなければいけない、責任、果たすべき
- 期待ー良い結果を望んでいる、可能性、期待
- 喜びー楽しい、嬉しい、満足
- 連帯感ー周りに迷惑をかけてはならない、一体感、団結心、仲間意識
- 優越感ー優れている、出来がいい、嬉しい、
- 恐怖ー恐い、怖い、不安、納得いかない、不満、嫌悪、
- 逃避ー逃げたい、避けたい、近寄りたくない、話したくない、関わりたくない
- 劣等ー他の人より劣っている、過去の自分より出来が悪い、反省
などがあります。
なぜその感情が湧いたか心の構造を知る
感情を特定できたら、なぜその感情が湧いたかを見ていきます。
感情は自分自身の「捉え方」が影響してきます。
同じ出来事が起きたときでも、人それぞれ思うことが違うのは「捉え方」の違いが関係しているためです。
そしてこの捉え方の基盤になるのが【価値観】と【信念】になります。
価値観とは、「人間が理屈抜きに求めるもの」、「自分が大切にする気持ち」のことを指します。
信念とは、「〜するべき」、「〜しなければならない」といった自分のルールになります。
先ほどのAさんの例で、価値観と信念をみていくと、意欲という感情が湧いた背景には「ゴルフの【上達】や目標に対して達成できたという自分自身の【成長】が得られる」という価値観を求めていました。
また、なんとなく湧いていた劣等感は「休みの日なのに家族との時間を作っていない自分自身に対してゴルフをしてる後ろめたさ」から反省すべきという【自省心】が感情を生み出していました。
このように感情がなぜ湧いたか把握することで、精神的な要因と言われるイップスを克服する方法になります。
下記に感情を生み出す価値観と信念を書き出したので参考にしてみてください。
【価値観】
- 安心、安定を求める。
- 刺激や変化を求めて挑戦する。
- 自分の存在価値を大切にし、特別な人、重要な人でありたい。
- 人とのつながりを大切にし愛情を満たしたい。
- さらに成長したい。
- 人や社会に貢献したい。
【信念】
- 自尊心ー自分に誇りを持つべき、プライドを持つべき。
- 自立心ー自立するべき、頼るべきではない。
- 犠牲心ー犠牲になるべき。我慢するべき。
- 利己心ー自分の利益を優先すべき。
- 警戒心ー気をつけるべき。慎重になるべき、避けるべき。
- 執着心ーこだわりをもつべき。固執しなければならない。
- 慈悲心ー悲しむべき。助けるべき。
- 復讐心ー仕返しをすべき。取り返すべき。反発すべき。
- 虚栄心ー自分を大きく見せるべき。見栄を張らなければならない。
- 猜疑心ー相手を疑うべきだ。自分の考えを疑うべきだ。
- 団結心ーチームで協力すべき。仲間とやるべき。
- 探究心ー追い求めるべき。物事の本質を見極めるべき。
- 競争心ー負けてはならない。勝つべきだ。
- 忠誠心ー尊敬できる人に従うべき。
- 信仰心ー守らなければならない。大切にすべき。
- 自省心ー反省すべき。
- 羞恥心ー恥じるべき。見せるべきではない。
- 同情心ー情けをかけるべき。
感情から価値観や信念までの一連の書き方を表にしたので、それをみながらでご自身で進めてみてください。
イップスの乗り越え方は自分と向き合い無意識の自分を知ること
イップスは無意識の自分を知ることで乗り越えることができます。
人間の活動のほとんが無意識的に行われている心と脳と体の反応になります。
どうしても意識できることに目がいってしまいます。
イップス自体も無意識の領域に問題が出たことにより引き起こっている結果になります。
なので原因は意識できない自分の無意識の部分にあります。
イップスというものは脳や神経、筋肉などの構造に問題があるのではなく、あくまで自分自身が作り出しているものになるので、絶対に乗り越えることができると私は思っております。
そしてその無意識の領域である脳や神経などにエラーが起きていないか特定し改善できる脳バランス体操をお伝えします。
パフォーマンスを向上させる脳バランス体操
脳や神経系にエラーが起きている場合でも、筋肉の活動に影響を与えます。
そのためご自身の脳や神経系にエラーが起きていないか特定し、調整する必要があります。
ここでは3つの脳バランス体操をお伝えします。
バイバイテスト
- まずはじめ両足を揃えてたちます。
- 次に両手を前に出した状態で出来るだけ早くバイバイします。
- このときに両手とも上手くバイバイすることができない、またはどちらかの手が遅い場合は脳の機能が低下していています。
- 脳の機能を安定させるに30秒同じ動きをした後、深呼吸を2回行います。
片足立ちテスト
- 転んでも危なくない場所か手すりなど安全をとれる場所で目を瞑り片足立ちになります。
- その状態でフラつきがある場合やバランスがとれないときは脳が機能低下しているサインになります。
- なので10〜20秒ほどふらつきが起きる方の足でリハビリした後、深呼吸を2回します。
VORテスト
- まず両足を揃えて立ち、左腕を前方に出し左手の親指を立てます。
- 次に立てた親指を見つめたまま顔を左に振り戻します。これをできるだけ早く行います。
- このときに顔を横に振りながらも目線は左手の親指を離さないように注意して下さい。
- そして右側も同様に行います。
- 以上の動作をした時にスムーズにできない、または目線が指から離れてしまうと脳の機能が低下した状態です。
- 上手くできない側を10回リハビリした後、深呼吸を2回します。
無意識の状態を知ることがさらなる成長に繋がる鍵になります。
実際に当院でイップスが治った患者様の声
また、当院はプロスポーツ選手やプロの歌手・声優の方だけでなく、高校や大学で部活をやられている選手や大人になってからも趣味でやられている選手の方にも数多くご来院頂いております。
一部ですが、患者様の声を頂いておりますので、ご覧ください。
◆卓球のサーブ、フォアドライブイップスで悩む患者様からの感想文◆
■どの様な症状、お悩みで施術を受けられましたか?
卓球イップス(サーブ、ファアドライブ)
■数ある治療院から当院を選ばれた動機は何ですか?
ネットの評価が高かったから
■石井堂クリニカルオフィスの施術を受けてのご感想や施術の結果をお聞かせください。
まずはイップスとはどういうものか分かっていない自分に丁寧に教えてくださりました。
施術方法も特殊で興味深い感じでした。私は数回の施術では余り改善がみられなかったのですが、根気強く施術を受けた結果、サーブやファアドライブをやろうとした時の不安感みたいなものや、身体が硬直してしまうなどの症状が改善されていきました。
一度は卓球をやめようとまで考えました。石井堂クリニカルオフィスの施術を受けて本当によかったです。
■今、身体の不調でお悩みを抱えている方で当院へまだご来院されていない方へメッセージをお願いします。
イップスは脳の病気です。イップスについて詳しくない我々が自力で改善するにはかなりの時間とセンスがいると思います。友人にも相談しづらいと思うし、精神的に追い込まれている人もいると思います。
改善したいと悩んでいる時間があるなら勇気を出して行動に移しましょう。
名前:M
年代:20代
性別:男性
職業:学生
HP掲載OK
住所:埼玉県越谷市
※個人のご感想であり、結果を保証するものではございません。
◆野球イップスで悩む患者様からの感想文◆
・どのような症状、お悩みを解決する為に当院(石井堂クリニカルオフィス)にご来院されましたか?
野球イップス
・体験しての感想、他院との違いなど、書き方は自由です。ご感想をお聞かせください。
他院ではメンタルカウンセリングだけで結果がなかったですが、メンタルカウンセリングと物理的な刺激による神経の調整がうまく効いたと思われ、昔のように投げられるようになりました。
・今、お身体の症状でお悩みを抱えている方で当院へまだご来院されていない方へメッセージをお願い致します。
イップスを治すには練習だけではダメなことが分かりました。
いろんなアプローチを試すと良いことが分かりました。
お名前 H,J 30代 男性 会社員 東京都在住
※結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。
◆ゴルフのイップス・ジストニアにお悩みの患者様からの感想文◆
・どのような症状、お悩みを解決する為に当院(石井堂クリニカルオフィス)にご来院されましたか?
ゴルフをする際のイップス・ジストニア・体験しての感想、他院との違いなど、書き方は自由です。ご感想をお聞かせください。
それまでに体験したことがない治療方法だった為、不安が全くなかったと言えば嘘になりますが、一度目の治療ですぐに効果を実感できさらに自分にあっている治療法と感じた為、その後、不安はなくなりました。先生の治療法に関する説明がわかりやすかった事も大きかったです。
個人差はもちろんあると思いますが、自分の場合は一回の施術ごとに、はっきりと症状が改善されていくのを実感できました。
一般的には改善が難しいとされている症状で、ゴルフを続ける事を諦めかけていた状態で、石井堂さんでの治療を受け始めた為、改善されていく喜びは非常に大きかったです。
ここで治療を受けて良かったと強く思いました。
・今、お身体の不調でお悩みを抱えているかたで当院へまだ来院されていない方へメッセージをお願いします。
自分のように、現在一般的とされている治療法では、改善が難しいと考えられている症状で悩んでいる方は、ぜひ一度、石井堂さんで施術を受ける事を検討してみてほしいと思います。
自分の内面(無意識化に抑圧された感情など)を認識する治療法の為、何も考えずに完全に受け身の姿勢で治療を受けたいという方には向かないと思いますが、先生のサポートもありますし、決して難しい事を求められる治療法ではないです。
本気で症状を治したいと思い、今まで色んな治療を受けてきたけど、効果を感じられず、諦めかけている、という方には強くお勧めできる治療院であると思います。
イニシャル K.A 30代 男性 自営業 東京都在住
※結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。
◆踊りのイップスにお悩みの患者様からの感想文◆
・どのような症状、お悩みで施術をうけられましたか?
踊ろうとすると脱力とかで踊れない・体験しての感想、他院との違いなど、書き方は自由です。ご感想をお聞かせください。
こういった方法の治療を受けたことがありませんでした。自分の無意識な部分と先生が会話してるみたいで、自分を否定されることなく、良い方向に進めて頂きました。
・今、身体の不調でお悩みを抱えている方で当院へまだ来院されていない方へメッセージをお願いします。
4年間本当に悩み続けていたことが解消されました。
ぜひ一度受けられるのも選択肢の一つだと思います。
名前 二宮 30代 女性 踊り 東京都在住
※結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。
◆楽器(ギター)イップスで悩む患者様からの感想文◆
・どのような症状、お悩みを解決する為に当院(石井堂クリニカルオフィス)にご来院されましたか?
楽器(ギター)演奏中の手や足の「つり」を治すため
・体験しての感想、他院との違いなど、書き方は自由です。ご感想をお聞かせください。
メンタルの問題を、メンタルだけの問題ととらえず、脳の機能低下ととらえることで、とても気持ちが楽になり、改善に向けて大きなモチベーションになった。
また悪く(症状が)なったら来院すればよいと思うことが安心にもつながっていると思うので、とても助かっています。
・今、お身体の症状でお悩みを抱えている方で当院へまだご来院されていない方へメッセージをお願い致します。
治療を受けてみて違うなと思うこともあるかもしれませんが、行動すること自体が症状改善の第一歩だと思います。
お名前 k.n 30代 男性 音楽家 神奈川県在住
※結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
最後にまとめると、イップスの原因は無意識の感情が脳の機能に誤作動を生じさせ、筋肉に異常な命令を送り起きていました。
またイップスを克服する方法として
- 感覚トリックを使ってイップスの神経回路とは別の神経回路を使い一過性に改善する状態を繰り返し行い、イップスを引き起こさなくする。
- 人間が持つミラー細胞を使って動画や他の選手のプレーを観察し頭でイメージした後、真似をすることでイップスで上手くできない記憶をできる記憶へと上書きする。
- イップスを引き起こす無意識の感情や感情を湧かせる価値観や信念を客観的に認識し、脳が誤作動を引き起こさないように慣れさせる。
- 無意識の領域である脳や神経系を安定させる脳バランス体操を行うことでパフォーマンスの向上に繋がる。
となります。
イップスを克服するためには自分自身と向き合い無意識の領域をコントロールする必要があります。
はじめは慣れず難しいと思いますが、継続し気づきを得ることが克服につながります。
もし万が一こちらの記事を参考に向き合ってもイップスの改善が難しい場合は、脳と心と体の関係性の専門家にご相談されることをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事の参考文献
- SEKI神経学勉強会配布資料
- ジストニア診療ガイドライン2018:日本神経学会
- ジストニアのすべて:梶 龍兒
- 体の不調は脳がつくり、脳が治す:保井志之
- 「こころ」はいかにして生まれるのか最新脳科学で解き明かす「情動」:櫻井武
- コーピングのやさしい教科書:伊藤絵美
- 記憶と情動の脳科学:ジェームズ・L.マッガウ, 久保田 競, 大石 高生
- イップスの科学:田辺規充
- コーチング・クリニック:ベースボール・マガジン社
- イップス:澤宮優
- イップスは治る:飯島智則
- イップスかもしれないと思ったらまず読む本:河野昭典
- 不調が消え去る脳バランス体操:石井克昇
- 薬に頼らず家庭で治せる発達障害との付き合い方:Dr.ロバート・メリロ
- 心身条件反射療法研究会資料