野球のイップスの克服方法をお探しの方へ。
普段なら思い通りに動いた体が、急に思い通りに動かなくなるイップス、とても辛いですよね。
この記事を読む事によって、あなたの野球のイップスが克服できる様に作成しています。また、実際にイップスを克服した選手達の例も知る事が出来ます。
私たちは、1軍のプロ野球選手のイップス治療から、草野球、高校野球、中学野球の選手達のイップス治療まで行なっている専門家です。
そこで培った経験をこちらの記事でシェアする事によって、あなたのイップスが克服できる事を心から願っております。

イップス 野球 克服
イップスとは?
イップスとはウィキペディアでは、下記の様に紹介されています。
イップス (yips) は、精神的な原因などによりスポーツの動作に支障をきたし、突然自分の思い通りのプレー(動き)や意識が出来なくなる症状のことである。本来はゴルフの分野で用いられ始めた言葉だが、現在ではスポーツ全般で使われるようになっている。
引用:ウィキペディア イップス
野球のイップスの場合、精神的な原因などにより、キャッチボール、送球、返球、バッティングなどのプレーが突然思い通りに出来なくなる事を表します。
野球のイップスの具体的な症状
- 20mくらいの距離になると、腕が振れず、ショートバウンドしてしまう。または高めにボールが浮いてしまう。
- 塁間の送球時、指に違和感を感じる、指に引っかかりすぎる。またはひっかかる感じがしない。
- キャッチボールの時にショートバウンドしてしまう。肩が固まる。
- 送球で暴投してしまう。
- 投げ方自体を忘れてしまった。
- ピッチャーへ返球が出来ない。
などが挙げられます。
野球イップスの原因
野球のイップスの原因は、脳が上手く働かなくなった事です。
脳は筋肉や体のバランスなどを調節している司令塔です。
その脳が上手く働かなくなる事によって、筋肉へ異常な命令が出てしまうために、イップス症状が出現します。
なぜ脳が上手く働かなくなったのか?
それは、脳が何かに過敏に反応しているからです。
その何かとは、過去の出来事(記憶)、現在の出来事(状況)、未来への予想のいずれかに、脳が勝手に過敏に反応しています。
まとめると、
となります。
イップスになりやすい人の傾向とは?
イップスになりやすい人は、出来事や予想に対して、脳が過敏に反応しやすい傾向と言えます。
一般的にメンタルが弱い強いというのも、脳が過敏に反応しやすいのか、しにくいのか。という事です。
イップスの乗り越え方!自宅でできるイップスの克服方法
イップスになる原因がわかれば、今度は克服する方法がわかります。
克服方法は、2つに分けて説明します。
1つは、過敏に反応した脳を調節する方法。
もう一つは、過敏に反応しない様に、脳を教育する方法です。
過敏に反応した脳を調節する方法
調節するためには、必ず原因を特定する事が必要です。曖昧に調節しても時間の無駄になります。
過敏に反応した脳を、体を検査する事によって特定出来ます。
どうして体を検査する事で脳の状態がわかるの?と思われるかもしれません。
それは、体は脳の投影だからです。
脳の状態=体の状態
あなたの脳そのものが体に現れています。
ですから、体を検査すれば、今あなたの脳が混乱しているのか?緊張しているのか?リラックスしているのか?わかる事が出来ます。
ここでポイントとなるのは、何も考えない(頭でイメージしない)で、体を検査するのと、何かを考えながら体を検査するのでは、検査結果が異なるという事です。
なぜかと言うと、頭で何かを考えていると、その思考によって脳の働きの状態は瞬時に変わるからです。
イップスの方の場合でも、イップス状態を頭でイメージしながら体を検査した場合と、何もイメージしないで検査した場合では、検査結果が異なります。
イップスを克服するためには、イップス症状が出ている場面を頭でイメージしながら、体の検査をし、調節する事が大切です。
それでは、特に野球のイップスに繋がりやすい脳の働きの異常を厳選しましたので、しっかりと頭で症状のイメージをしながら検査および調節をしましょう。
筋肉、関節の検査と調節
首の検査と調節
ゆっくりと、あらゆる方向へ筋肉を伸ばす様にストレッチします。その際、左右差があったり、違和感、硬さ、痛みがある場合は異常です。
その異常の状態で2回大きく深呼吸する事が調節です。
調節後、もう一度同じ方向へ動かし、異常が正常に切り替わっているか確かめてください。
写真でどの様な方向へ動かすのかを載せておきますので参考にしてみてください。

首の屈曲運動

首の伸展運動

首の右側屈

首の左側屈

首の右回旋

首の左回旋

首を右方向へ回す
※写真は右方向へ回すのみですが、左方向へ回すのもやりましょう。
肩の関節の検査と調節
肩関節も首と同様に、ゆっくりと、あらゆる方向へ筋肉を伸ばす様にストレッチします。その際、左右差があったり、違和感、硬さ、痛みがある場合は異常です。
その異常の状態で2回大きく深呼吸する事で調節されます。
調整後、もう一度同じ方向へ動かし、異常が正常に切り替わっているか確かめてください。
写真を見ながら行ってみましょう。

肩関節屈曲
※写真よりもしっかりと腕を挙げてください。

肩関節伸展

肩関節外転

肩関節水平屈曲

肩関節水平伸展

肩関節内旋

肩関節外旋
写真にはないですが、肩関節を内回し、外回しに大きく動かす検査も行いましょう。
肘関節の検査と調整
肘関節も首や肩関節と同様に、ゆっくりと、あらゆる方向へ筋肉を伸ばす様にストレッチします。その際、左右差があったり、違和感、硬さ、痛みがある場合は異常です。
その異常の状態で2回大きく深呼吸する事で調節されます。
調整後、もう一度同じ方向へ動かし、異常が正常に切り替わっているか確かめてください。
写真を見ながら行ってみましょう。

肘関節屈曲

肘関節伸展
次に前腕を捻って肘関節を屈伸しましょう。
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肘関節屈曲(前腕回内)
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肘関節伸展(前腕回内)
手首の検査と調節

手関節屈曲

手関節伸展

手関節橈屈

手関節尺屈
後、写真にはないですが、手首をグルグル回す運動も検査して異常がある場合調整してください。
指の検査と調節
指の関節も首や肩関節、肘関節と同様に、ゆっくりと、あらゆる方向へ筋肉、関節を伸ばす様にストレッチします。その際、左右差があったり、違和感、硬さ、痛みがある場合は異常です。
その異常の状態で2回大きく深呼吸する事で調節されます。
調整後、もう一度同じ方向へ動かし、異常が正常に切り替わっているか確かめてください。
具体的に、グーとパーをしっかり行い検査及び調整、それと、指を一本ずつ引っ張る、それから、パーの状態で指を長軸に押し検査及び調整をします。
その他、腰や背中、股関節、ひざ関節も、曲げたり、反らしたり、捻ったりして検査し調整してください。
前庭器官の検査と調節
前庭器官は平衡感覚などを司っている部分です。
検査の仕方は、とにかく、頭を急速に右、左、上、下などに動かします。気持ち悪さやふらつき、違和感などがあれば異常です。異常を引き出した後、通常時に戻し、2回深呼吸して調整しましょう。
調節後、もう一度検査し、異常が消失しているか確かめてみましょう。
小脳の検査と調節
小脳は、体のバランスを調節したり、目と顔の位置を把握したり、筋肉への運動プログラミングに関与する部分です。イップスの場合、比較的異常が出やすいです。
検査は目を瞑ったりするので、転倒する恐れがあります。一人で行わずに、周りの人に危ない場合すぐに支えてもらう様にしましょう。
片足立ち
片足で立って、目を瞑り、ふらつきやバランスを崩す場合は異常です。異常だった場合、普通に立ってすぐに2回深呼吸して調整しましょう。

小脳 片足立ち
※写真は右足のみですが、左足も行いましょう。
前腕回内回外(バイバイテスト)
両足をしっかりくっつけて、直立し、手を前へ差し出し、高速でバイバイを20秒程行います。両方とも動かしずらい、遅い、または右と左で左右差がある場合異常です。
異常だった場合、20秒程検査をしてからやめてすぐに2回深呼吸し調整しましょう。

小脳 前腕回内回外

小脳 前腕回内回外(2)
前方挙上テスト
両足をくっつけ、直立し、目を瞑ります。そこから手を高速で前に90度まで持ち上げます。
この時に腕の高さに左右差があった場合異常です。
異常だった場合、2回深呼吸し調節しましょう。その後もう一度行い、両手が平行(正常)になったか確かめてください。

小脳 前方挙上 正常

イップス 野球 克服 小脳 前方挙上 異常
脳神経系の検査と調節
脳神経は12本ありますが、その中でイップスに繋がりやすい異常を厳選してお伝えしますので、しっかりと検査し異常だった場合、調節しましょう。
副神経(胸鎖乳突筋・僧帽筋)
首周辺の筋肉がしっかり働いているか検査します。
胸鎖乳突筋は首の横の筋肉です。顔を右向いて、左手で左の頭を押し、頭は反らされない様に抵抗します。反対も同じ様に行います。
痛みや力の入りにくさ、筋肉に違和感を感じた場合は異常です。
異常だった場合、通常時に戻して2回深呼吸して調節しましょう。

脳神経 胸鎖乳突筋 左

脳神経 胸鎖乳突筋 右
僧帽筋は肩をすくめる時に使う筋肉です。肩を持ち上げる動作を行い、力の入りにくさ、違和感、痛み、左右差などがあれば異常です。正常に戻し2回深呼吸して調節しましょう。

脳神経 僧帽筋 右
※写真は右だけですが、左も行いましょう。
眼球運動
目を右、左、上、下、右上、左上、左下、右上、右下にゆっくりとしっかりひとつずつ動かします。動きにくい方向性があった場合は異常です。異常を引き出した状態で2回深呼吸し、その後もう一度動きやすくなっているか確認しましょう。
過敏に反応しない様に、脳を教育する方法
過敏に反応してしまう脳の状態ですと、いくら脳の反応を調節していても、また過敏に反応してしまい、根治する事が難しくなります。
ですから、過敏に反応してしまう脳そのものを、過敏に反応しない様に教育する必要があります。
過敏に反応しない脳を手に入れるために必要な手順は、
- 脳が過敏に反応しやすい過去の記憶・現在の状況・未来への予想を認識する。
- なぜそれに反応したのかご自身の捉え方やその捉え方を脳が学習した経緯を認識する。
- その捉え方は今の自分にとって必要なのか?不必要なのか?それとも少し変えた方が良いのか?と自問自答し考える。
この3つが必要です。
少し難しい表現になってしまったので、簡単に説明します。
反応しやすい出来事を「雨」としましょう。
雨に過敏に反応しやすい人もいれば、過敏に反応しない人もいると思います。
過敏に反応しやすい人は、なぜ「雨」と言う現象に過敏に反応するのか?ご自身の捉え方を認識します。
捉え方の例として、雨は「嫌だな」と捉えたとしましょう。では、なぜ嫌と捉えてしまうのか?
その捉え方を形成した経緯を認識します。
その経緯は、過去に、雨が降っている時に濡れて風邪を引いた。という経験があった場合、過去の経験が「嫌だな」と捉える出所だったと言う事がわかります。
風邪を引かないため=ご自身の安心、安全のために、嫌だなと捉える様に脳は学習していた事がわかりました。
次に、その捉え方は必要かな?不必要かな?少し変えた方良いかな?と自問自答します。
過去に何十回も濡れた事はあるけど、実際に風邪を引いたのは、数回しかないかもしれない。そう考えると、そこまで過敏に「嫌だな」と思わなくても良いのかな?と思って、捉え方が少し変わるかもしれません。
この様な手順で、考えていくと、脳は「雨」に過敏に反応しなくなります。
『本当に捉え方一つで体への影響が変わるの?』と思われる方がいると思います。下記にウィキペディアのストレスに関係する記事を引用しましたのでお読みください。
アメリカ合衆国での、成人約30000人を対象とした8年間の追跡調査では、ストレスが健康に良くないと認識していない人の死亡率は低下していなかった。健康心理学者のケリー・マクゴニガルはこうした研究を紹介し、ストレスが多いと死亡するリスクが43%増加するが、それはストレスが健康に害があると認識している場合であると説明した。また科学的にはストレスの捉え方次第でストレスに対する体の反応が変わる研究を紹介している。例えば、ストレスを感じると心臓がどきどきするが、これを体に悪いとネガティブにとらえると実際に血管が収縮し心不全などの原因となる。ところが、心臓がどきどきするのは新鮮な血液を心臓にどんどん送り込んでくれているのだと肯定的にとらえると、血管が収縮しないことが分かった。すなわちストレスは捉え方により、健康に全く害がないと主張している。
これだけ大きな規模の科学的な研究で捉え方一つで体への影響が変わると証明されています。そして私たちも臨床を通じて、捉え方が変わっていく事でイップスの選手達が改善し活躍しているのを眼の当たりにし確信しています。
では実際に、どの様な過去の記憶・現在の状況・未来への予想と捉え方がイップスに繋がるのか例を挙げますので、例を参考にご自身と向き合ってみましょう。
過去の記憶・現在の状況・未来への予想
まずは、過去の記憶、現在の状況、未来への予想で、イップスにつながりやすい出来事列記します。
- エラー。
- 試合の負け。
- 監督やコーチの暴言。
- スタメン落ち。
- 2軍落ち。
- キャプテン
- エース
- 選手間のイジメ。
- 親の応援または無関心。
- 人にみられている。
- ファン・メディアに言われた言葉。
などが挙げられます。
捉え方(感情編)
感情とは、過去の記憶、現在の状況、未来への予想で脳が感じた事です。
嫌だな、逃げたいな、劣っていると感じる、頑張ろう、喜ぶ、などが挙げられます。
深い捉え方(価値観編)
深い捉え方とは、感情を作る心の根底にあるものです。
実は、感情はこの価値観や後に説明する信念がないと湧かないと言われています。
説明すると、
『エラーをして大事な試合に負けた。』これが過去の出来事でイップス症状に繋がる記憶だったとします。
捉え方(感情)は、『嫌』『逃げたい』と言う感情の捉え方の方が多いでしょう。
この「嫌」や「逃げたい」と言う感情を作り上げる土台になるのが深い捉え方(価値観)です。
価値観は大まかに6つに分類されます。
⒈安心・安定
エラーをして大会に負けた。2軍に落ちたらどうしよう。生活ができなくなる。
⒉刺激・変化・挑戦
一流の選手になり、さらに上の世界に挑戦したい。しかし今の実力だと挑戦出来ていない。
⒊存在感・重要感・特別感
エラーをして大会に負けてしまった。監督に必要とされなくなったらどうしよう。
自分はなんて無価値な人間なんだ。
⒋つながり・愛情
他の選手に嫌われたどうしよう。
⒌成長
本当はもっと上手くなりたいのに、こんなミスをしてしまった。
⒍貢献
本当はもっとチームに貢献したかったのに、大会に負けてしまった。
以上の様に、本来求めているものが価値観であり、その価値観の理想と現実のギャップがあると、感情が沸き、その感情が脳の働きに異常を引き起こし、イップス症状が発動します。
この場合、自分の心の奥底にある、価値観の理想を10として現実はいくつなのか、数値化し、深呼吸すると、エラーで負けた記憶に脳は徐々に慣れていき、過敏に反応しなくなります。
結果としてイップス症状を克服出来ます!
深い捉え方(信念編)
価値観は、ご自身の心の底から求める事でした。
信念とは、「〜すべき。」「〜ねばならない。」という、ご自身のルールを表します。
価値観と同様、感情を引き起こす心の根底にあるものです。基本的に、イップス症状に繋がる場合、自分の求める信念の理想と現実にギャップがある場合です。
野球のイップスに繋がりやすい信念は17あります。
⒈自尊心
プライドや誇りを持つべき。
プライドを持つべき、誇りを持つべきというルールがある場合、自分の失敗などに過敏に反応する場合があります。
⒉自立心
自立すべき。人の手を借りないべき。
本当はもっと、人の手を借りないでいたいという理想と現実にギャップがあると脳が過敏に反応する場合があります。
⒊犠牲心
犠牲にすべき。我慢しなければならない。
この様なルールがあると、本当の心の奥底では望んでない事も、表向きは望んだように振る舞います。監督のいうことを我慢していたり、チームのために自分の本心を押し殺したりしていると、その理想と現実のギャップに脳が過敏に反応する場合があります。
⒋利己心
厄介な事を避けるべき。面倒な事から自分を守るべき。
⒌警戒心
警戒すべき。警戒しなければならない。
2軍に落ちる事を警戒すべき。監督に怒られる事を警戒すべき。親に落胆されない様に警戒すべき。
これらも、本来ご自身の求める理想と現実のギャップに警戒しています。
⒍執着心
こだわるべき。こだわらなければならない。
- 指の引っかかりにこだわらなければならない。
- 投げる際の肘の角度にこだわっている。
- コントロールにこだわっている。
- 綺麗なフォームにこだわっている。
- かっこいい投げ方にこだわっている。
これらのこだわりは悪いとは言いません。しかし、そのこだわりが細かくなればなるほど、イップスに繋がりやすくなる傾向があります。
また、その際も、基本的に自分の理想とするこだわりと現実のご自身のギャップがあると、イップスに繋がります。
⒎慈悲心
かわいそうだと思うべき。誰かを守ってあげるべき。
これは、自分に対してと、誰かに対してがあります。
- エラーをした。
- 2軍に落ちた。
- スタメンに落ちた。
- 選手間でイジメられた。
これらに対して、自分が自分に対してかわいそうと思い、イップスに繋がっている場合があります。
また、自分がスタメンに入った事によって、仲の良い友人選手がスタメンに落ちた場合、その友人に慈悲心が働き、イップス症状に繋がる場合もあります。
⒏復讐心
許してはならない。納得してはいけない。しっぺ返しするべき。
- イジメられた。
- ファンに暴言をはかれた。
- 監督・コーチに怒られた。
- 友人に文句を言われた。
- 不公平な選考でスタメンに落ちた。
- ストライクをボール判定にされた。
また、自分自身に納得ができない場合もあります。
- 本当はもっと練習しなきゃいけないのに、できない自分が許せない。
- 成長しない自分が許せない。
これらも、自分の心の奥底が求める理想と現実にギャップがあるので脳が過敏に反応し、イップスに繋がります。
⒐虚栄心
実物よりもより良く見せるべき。実際よりもよく見せるべき。
強がりだったり、わかってない事、できない事を強がってできるフリをしたり、出来ると思い込んだりしようとしているとイップスに繋がる場合があります。
⒑猜疑心
疑うべき。
自分自身の運動神経や技術を疑っていたり、監督やコーチ、その他選手のいう事を疑っていたりしている場合です。
これも、本来自分の求める理想と現実のギャップが疑い繋がり、イップスに繋がる場合があります。
11.団結心
団結すべき。団結しなければならない。
選手間で仲良くしなければならない。などに反応する場合、本当はそこを望んでいない自分または、できない自分がいるのかもしれません。
これも理想と現実のギャップが脳を過敏に反応させ、イップスに繋がっている場合があります。
12.探究心
追求すべき。追求しなければならない。
- 綺麗なフォームを追求すべき。
- 憧れのプロ野球選手の投げ方を追求すべき。
などがあります。この場合も、自分の理想と現実にギャップがあるとイップス症状に繋がる場合があります。全体的でなく、部分にフォーカスしすぎると、イップスに繋がるケースが多い様に感じています。
13.競争心
- 勝たなければならない。勝つべき。
- スタメンに入れなかった。
- 2軍に落ちた。
- ライバルに負けた。
- ライバルに負けそう。
などの他人との競争と、自分自身の競争があります。
- 過去の自分の成績に負けた。
- 自分の理想に近づけない。
などがあります。
14.忠誠心・信仰心
こうでなければならない。こうあるべき。こうするべき。
- プロ野球選手たるもの、ミスは絶対に許されない。
- 皆、平等であるべきだ。
- 頑張っている姿を親に見せなければならない。
などがあります。
これは、本人はとても大切にしている信念です。その信念がいけない訳ではありませんが、自分がそれだけ大切にしている信念を明確に認識し、その信念と反対の出来事に過敏に反応しやすい事を自覚し、脳へ慣らす事が大切です。
15.自省心
- 反省しなければならない。反省すべき。
- 過去に自分のミスで試合に負けた。
- キャプテンとして試合に勝たせる事ができなかった。
- エースとしてしっかり抑えられなかった。
などに、反省すべき、反省しなければならないというルールが過敏に働くと脳が不安定になります。
16.羞恥心
恥ずべき。恥ずかしいと思うべき。
- エラーをした。
- かっこ悪い投げ方。
- みんなより成長できない。
- 周りにできる事ができない。
羞恥心によって、これらの出来事に過敏に反応しやすい場合があります。これも、本当の自分の理想と現実のギャップがあるから反応しています。
17.同情心
同情すべき。同情しなければならない。
これは、自分に対して同情している事がイップスに繋がっている場合もあれば、他人に対して同情していることがイップスに繋がっている場合があります。
ネガティブな出来事だけがイップスを引き起こす訳ではない。
イップスはネガティブな出来事が多いですが、実はポジティブな出来事もイップスに繋がる事があります。
とても良い結果が出ている!
良い結果が出ているのでとても、嬉しい事ですよね。しかしこれがイップスに繋がる場合、意識的には良い結果で喜んでいる反面、脳の奥底(無意識)では、
- 長続きしないだろう。
- もしこの良い結果が落ちてきたらどうしよう。
- 失敗したらどうしよう。
という形で意識とは正反対の事を無意識的に脳は捉えている場合があります。
イップスを克服した野球選手の例
実際に私たちが施術し、克服した選手たちの例をお伝えします。脳の働きの調整は全員しています。その後に、無意識的に過敏に反応する脳を反応しない脳へ再学習した例です。
1軍プロ野球選手のイップス克服例(投手)
キャッチボール、送球でのイップスに悩んでいました。
イップスに繋がる原因として、
- 試合で暴投してしまうのではないか?という不安があり、そうなる事で解雇されるのではないか?という不安に繋がり、もし、解雇されたら親が悲しむのではないか?
- 監督やコーチに求められている事をしっかりやる。でも本当はもっとこういう風にやった方が良いのでは?という葛藤がある。
- ちゃんと正確に送球できているのか?相手が取りやすい球を投げる事が出来るのか?送球もそうだけど、野球自体あまり上手い方じゃないと自分で思っている。
- 同じチームメイトの選手で羨ましいと思う人がいる。(劣等感)
- 同じチームメイトとの競争心。
- プロとして絶対にミスはしてはならない。正確でなければならない。
- 数年前、大切な試合でエラーをして、監督、コーチ、メディア、ファンに色々言われて、それを見返してやりたい。
- 学生時代、大切な試合で、自分のミスで負けてしまった経験。
- 小学生の時、コーチの送球の投げ方がとても下手で、横から投げるのはやめようと思った記憶。
- 完璧に見られたい。人に絶対にバカにされたくない。見下される事が本当に嫌。
これらがイップスに繋がる、脳を過敏に反応させていた事柄と捉え方でした。出来事とご自身の捉え方、そして、理想と現実のギャップを受け入れ、脳が徐々に慣れていき、イップスを克服し、現在1軍でご活躍されています。
草野球選手のイップス克服例(投手)
指に意思とは反した力が入ってしまう。近い距離でのスナップスローで指に引っかかってしまう。ストレートとカーブの指の感覚がない。などの症状にお悩みの選手でした。
イップスに繋がった原因は、
- チームとして昔、エースピッチャーでそこそこの成績だったため、上手いプレーをしないと恥ずかしい。
- 自分がチームの中心で引っ張らなければならない。
- コントロールへの強いこだわり。
- 前の妻は、精神的に不安定になり、この時に妻以外の女性を作った事。そして今その女性と一緒だが、本当は女性を大切にしなければならないのに、現在休日を野球に費やしてしまっている罪悪感。
野球に関係する事から、野球以外の奥様との関係もイップスに繋がる学習になっていました。そこを認識し、そしてご自身の捉え方、理想と現実のギャップを認識し、脳が安定した事によってイップスを克服しました。
草野球選手のイップス克服例(バッター・内野手)
守備で、送球する際に指に引っかからず、暴投してしまう。またはショートバウンドしてしまう選手でした。
イップスに繋がった原因は、
- 小中学生の頃、エースでキャプテンをしていたが、中々大会で勝たせてあげる事が出来なかったというネガティブな過去の経験。
- 草野球に入り、技術的にはみんなよりも上手いが、このイップスによって、みんなに迷惑かけたらどうしよう。
- 現在、仕事で覚える事が多くて辛い。
がありました。
これらが、ご自身のイップスに繋がるスイッチだと認識した事で脳が慣れていき、イップスを克服しました。
草野球選手のイップス克服例(外野手)
外野手で、カットプレーに入られると、イップス症状を発動し、体が動かなくなってしまう選手でした。
イップスに繋がる脳の過敏反応の原因は、
- 下位打線に落ちた事。
- 本当は内野手なのに外野手に変えられた事。
- 家族で母に会いたいけれど、兄弟の仲が悪く、兄が母と一緒に暮らしているので、会いに行けない。
この3つの出来事に対して、脳が過敏に反応し、イップスに繋がっていました。
3つめは野球に関係ない事でしたが、脳が不安定になる要因で大きい事だったために、野球のイップスにまで影響していました。
イップスに繋がる無意識的な出来事と捉え方、そして自分との理想と現実のギャップを認識し、脳が慣れた事でイップス症状を克服しました。
大学野球選手のイップス克服例(捕手・キャッチャー)
ピッチャーへ返球すると、ショートバウンドする。バッテイングピッチャーをすると、暴投してしまう。というお悩みの選手でした。
イップスに繋がった原因は、
- 小学校の時、キャッチャーでキャプテンであり、自分がちゃんとしなきゃという責任。でもチームが弱く中々勝てなかった経験。
- 数年前、暴投して監督に怒られた経験。
- 中学の時、決勝でよく負けた経験。
- 投げる時、肘の高さのこだわり。
- 強いたまを投げなければならない。
- 同じチームの先輩への警戒心。
- ピッチャーに気を使わなければならない。
などがありました。
これらがイップスに繋がっていた事を認識し、ご自身の理想と現実のギャップを受け入れ、脳が安定した事によって、イップスを克服しました。
高校野球のイップス克服例(バッター・外野手・内野手)
送球、バッティング、キャッチボールなどのイップスにお悩みの選手でした。
イップスに繋がった原因は、
- スタメン争い。
- 小中と全国クラスだったが、高校でスポーツ推薦で入ったのにも関わらず成績が残せず、親の期待に答えられていない。
- 最近、出場機会が減っている事。
- チームの中では、一番飛距離が出る力を持っているという誇り。
- プロ野球選手の送球フォームへの憧れと追求。
- スイングの速さへのこだわり。
がありました。
出来事、捉え方、そしてご自身の理想と現実のギャップを受け入れ、脳が安定し、イップスを克服しました。
中学野球のイップス克服例(投手)
バッターがいると、投球が安定しなくなる、投球障害の選手です。
イップスに繋がった原因は、
- 2年前に選手間でイジメられた経験
- 数ヶ月前の選抜に選ばれなかった経験
- 監督やコーチ、審判のミスや不公平が許せなかった。
これらがイップスのスイッチに入る出来事になっていました。
捉え方としては、競争心や「世の中は公平でなければならない。」という「こうでなければならない。」という捉え方の理想と現実のギャップが自分の脳は過敏反応になるという事を認識し、イップスを克服しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
野球のイップスは、脳が異常に働いた結果です。
そして脳の異常は、過去の記憶・現在の状況・未来への予想のいずれかに対して脳が過敏に反応したからです。
脳が過敏に反応するのは、ご自身の物事に対する捉え方が関係しています。
また、その捉え方に対するご自身が描く本当の理想と現実のギャップが脳の過敏反応を引き起こしています。
克服するためには、脳の働きを安定させるためにイップスの症状のイメージをしながら、体からアプローチして調整し、その後に脳が過敏に反応する出来事と捉え方、理想と現実のギャップをありのままに受け入れ、脳を慣らす事が大切です。
最後までお読み頂きありがとうございました。
あなたのイップスが改善し、更なるご活躍を心より願っております。
最後までお読み頂きありがとうございました。