ゴルフのアプローチイップスの克服方法をお探しの方へ。
「最近、上手く体が動かなくなりゴルフが楽しくなくなった。」
「スコアが伸びずに限界を感じ楽しめなくなった。」
この記事をお読み頂いている方にはその様な方もいらっしゃるのではないでしょうか。
具体的に、
- ピンに寄せようとすればするほど、オーバーしすぎたり、ショートしすぎる。
- トップで固まってしまってダウンスイングが降りてこない。
- 頭が真っ白になってしまう。
この様なイップス症状にお悩みではありませんか?
そして、様々なブログやホームページを読んで、イップスを克服する方法を試したり、ティーチングプロに技術を沢山習ったり、鍼灸院で針をうったり、マッサージをしたり、メンタルトレーナーのところにお世話になったりしても完全には治らなかったのではないでしょうか?
ここで、私たちの出番だと思い、あなたの辛いアプローチイップスを根本的に克服するべく、こちらの記事を作らせて頂きました。
私たちは、ツアー優勝プロも含めるプロゴルファーやアマチュアゴルファー、それから男子サッカー日本代表選手、バレーボール日本代表選手、陸上日本代表選手、世界で戦うプロダーツプレイヤーなどのイップス治療に携わっているイップス治療の専門家です。
その経験を活かし、イップスの克服法をシェアする事によって、あなたのイップスが根本的に改善される事を心から願っております。
イップスとは?
イップスとは、ウィキペディアで、
イップス (yips) は、精神的な原因などによりスポーツの動作に支障をきたし、突然自分の思い通りのプレー(動き)や意識が出来なくなる症状のことである。本来はゴルフの分野で用いられ始めた言葉だが、現在ではスポーツ全般で使われるようになっている。
イップスという用語は、1930年前後に活躍したプロゴルファーのトミー・アーマー(英語版)が、この症状によってトーナメントからの引退を余儀なくされたことで知られるようになった。アーマーは1967年に出版された自著『ABCゴルフ』の中で、今までスムーズにパッティングをしていたゴルファーがある日突然緊張のあまり、カップのはるか手前のところで止まるようなパットしか打てなかったりカップをはるかにオーバーするようなパットを打ったりするようになる病気にイップス(yips, うめき病、yipeは感嘆詞で「ひゃあ」「きゃあ」「うわっ」といった意味)と名づけた[1]。この症状を説明するために、ゴルファーの間では「ショートパット恐怖症 (twitches)」「よろけ (staggers)」「イライラ (jitters)」「ひきつり (jerks)」などの表現がされてきた。
イップスの影響はすべての熟達したゴルファーの半数から4分の1くらいに及ぶという。アメリカ・ミネソタ州の大病院メイヨー・クリニックの研究者によれば、すべての競技ゴルファーのうち33 – 48%にイップスの経験がある。25年以上プレーしているゴルファーにそうなりやすい傾向があるようである。
引用:ウィキペディア イップス
と記載されています。
わかりやすくまとめると、普段なら出来る事が精神的な要因などがあると出来なくなってしまう事をイップスと言います。
最初から出来ない、または一回成功した事が2回目から出来ないなどは基本的に技術不足です。
当たり前に出来ていた事が出来なくなる事を表します。
アプローチイップスとは?
アプローチは大きく分けてチップショット、ピッチショット、ロブショットとありますが、この全てがイップスになっている場合と、いずれかがイップスの場合など人それぞれイップスの症状が出る状況が違います。
アプローチイップスの原因とそのメカニズム(メンタルが原因と言われる訳)
イップスのメカニズムは、脳の異常命令による筋肉の異常運動です。
では、なぜ脳が異常命令を筋肉に送ってしまうのか?
それは、脳の大脳辺縁系の情動が関係しています。
少し難しい言葉ですので、簡単に言うと、
頭の中で過剰な感情が働くと、脳が過剰に働いたり、反対に働かなくなったりします。
すると、脳は筋肉へ命令を送っている司令塔の役割をしていますので、筋肉に力が入りすぎたり、力が入らなかったりという現象が起きます。
それをイップスと言います。
そして、練習場でアプローチの練習をしてもイップスが出ずに、本番になるとイップス症状が出るというのは、本番のアプローチという条件に対して、頭の中で過剰が働く、条件付けされた脳の記憶(学習)と言えます。
別の言い方をすると、条件反射を脳が記憶(学習)したとも言えます。
参考:ウィキペディア 条件反射
イップスのメカニズムをまとめると、
条件(本番、ピンが近いアプローチなど)
↓
脳の情動(感情)が変化
↓
脳の働きが過剰または低下
↓
脳から筋肉に送る命令の異常
↓
力が入りすぎる、または入らない
↓
イップス
となります。
この無意識な感情の事を世間ではメンタルの問題と言われています。
アプローチイップスの克服法
まず、アプローチのイップスになってしまった場合、対処法は3つあります。
- 気にしないでそのままやる。
- 条件を変える
- 無意識の感情に脳が不安定にならない様に教育する。
の3つです。それぞれを説明します。
気にしないでやる。
これは、イップスであっても、何も気にしないでやるということです。
特に改善策をせずにそのままゴルフのアプローチを打ちます。
例え、オーバーしすぎたり、ショートしすぎたり、大叩きしても、気にしないで時が解決してくれるのを待つという選択です。
条件を変える(リズムに意識する、ウェッジを使わない。など)
メカニズムで説明した様に、イップスはある一定の条件によって脳が反応し不安定になります。
ですから、一定の条件を少し変えれば、イップスの症状を一過性に消すことができます。この様な事を感覚トリックとも言われています。
例えば、
- ウェッジを使わずにピッチングや9Iを使う。
- ウェッジのグリップの太さを変える。
- クラブのグリップの握り方を変える。
- グリップの握る位置を変える。(短く握る)
- アドレスの構え方を変える。
- 目線を変える。(ボールを見ないで打つ。目を瞑る。目線をボールのやや先または手前にする。)
などがあります。これは物理的に条件を変えています。
もう一つ条件を変える方法に、意識を変えるという事もあります。
例えば、
- ピンに寄せない様に考える。
- 自分の呼吸に意識を向けてアプローチする。
- リズムに意識を向けてアプローチする。
などがあります。
様々の条件を変えて見て、イップスの症状が改善される方法をいくつか保有し、イップス症状が出そうになったら、この方法を使って対処すると良いと思います。
実際にプロゴルファーやプロダーツプレイヤーもこの方法使ってイップスを対応している方もいます。
無意識の感情に脳が不安定にならない様に教育する。
無意識の感情に脳が不安定にならない様に教育するとは、ある一定の感情に脳を慣らすとも言えますし、無意識の感情が強くなりすぎない様にするとも言えます。
上記で説明した2つ(気にしないでやる・条件を変える)の対処法よりも、時間もかかりますし、とても大変です。しかし、根本的にイップスを克服する方法とも言えます。
段階としては、
- 無意識の感情を意識に引き上げる。
- 無意識の感情が湧くご自身の心の構造を理解する。
- 無意識の感情が湧く理由となっている記憶を把握する。
- 無意識の感情が湧く心の構造を変えた方が良い場合は、書き換える。また記憶の捉え方を書き換える。
という事をやると、脳が不安定にならない様になります。
一つずつ説明します。
無意識の感情を意識に引き上げる
ゴルフのアプローチイップスに繋がりやすい感情と例を6つ挙げますので、ご自身にも、そういう感情がありそうか自己に向き合ってみてください。
1、意欲
頑張ろう、一生懸命やろうなど
例:「絶対ベストスコア出すぞ!」「絶対勝つぞ!」
2、義務
責任、〜ねばならない、義理、義務感など
例:「ファンのために絶対に勝たなければならない。」「スポンサーのために使命を果たさなければいけない。」
3、期待
期待する、心待ちにする結果など
例:「このアプローチでピンに寄れば、ワンパットでいけるぞ!」「このアプローチを寄せれば、優勝できるぞ!」「このアプローチで寄せれば負けないですむぞ!」
4、連帯感
団結、チームワーク、連帯など
例:「ここでアプローチ寄せないと、一緒にラウンドに回っている人に迷惑をかけちゃう。」「この試合に勝たないと、二人三脚で頑張ったコーチに申し訳ない。」
5、恐怖
怖い、恐い、恐れ、嫌、不安、納得できないなど。
例:「アプローチでオーバーしちゃったらどうしよう。」「ショートしちゃったらどうしよう。」「ダフっちゃったらどうしよう。」「大叩きしちゃったらどうしよう。」
6、劣等
他人より劣っている、過去の自分より劣っている、自分を卑下するなど。
例:「みんなピン側に寄せてる。私も寄せないと。」「過去の自分はいつも20ヤードのアプローチは寄せていた。」「あ〜もうだめだ。」
何か、ご自身に当てはまりそうな感情はありましたか?
その感情が過剰に働いている時に、脳は不安定になり、筋肉へ異常な命令が出てしまい、いつも通りに打てなくなります。
無意識の感情が湧く、心の構造を理解する。
感情は勝手に湧くものではなく、価値観や信念があるから湧きます。
価値観とは、人間が求めるもの。
信念とは、「〜べき。」「〜ねばならない。」というあなたが今までの人生で学習したルールです。
これらの価値観、信念の理想と現実にギャップがあると、脳が不安定になるほどの過剰な感情が湧きます。
この場合、あなた自身がどんな価値観や信念があるのか把握し、その理想と現実のギャップを受け入れる事、そしてそのギャップがアプローチイップスに繋がっている事を認識する事で徐々に感情が安定してきます。
それでは、アプローチイップスに繋がりやすい、2つの価値観の理想と現実のギャップを例を挙げて説明します。
ご自身に「もしかしたらこれ当てはまるかも。」という視点で探してみてください。
1、存在感・重要感・特別感
承認欲求、存在意義と言われています。
例:「もし、この試合で負けてしまったら、私は無価値な人間だ。」「もし、この試合で負けてしまったら、ファンやスポンサーが離れてしまうかも。」「こんなヤードのアプローチで上手くいかないなんて、〇〇年ゴルフやっているのに他者に認めてもらえない。(バカにされる。)」
2、成長
成長したい。
例:「本当はスコア〇〇台になりたいのに、現実はまだまだ。」「本当はプロみたいなかっこいいアプローチでピンに寄せたいのに、全然上手くならない。」
次に、信念(〜べき、〜ねばならない。というルール)がアプローチイップスに繋がりやすいケースを例を挙げて、13種類説明します。
感情や価値観の時と同じ様に、ご自身に当てはまるものがないか、自己に向き合ってみてください。
1、自尊心
プライドを持つべき、誇りを持つべき。
例:「私は、運動神経が良いこと(ゴルフが上手いこと)にプライドを持っている。」という自尊心があると、運動神経が自分よりも良くない人に対して負ける事が許せないため、その人がスコアが良かったり、アプローチでピンに寄せた時に過敏に反応する場合があります。
2、犠牲心
犠牲になるべき、我慢すべき、我慢しなければならない。
例:「本当は、ゆっくり考えながらプレーをしたいのに、ラウンドに一緒にまわっている人たちに迷惑をかけちゃいけないから、急いで打たなければならない。」とか、反対に、「早く自分のペースで打ちたいのに、他のプレイヤーが遅くてイライラする。」他に、「コーチにこう打つと良いよ。と言われたけどなんか自分には合ってない気がする。」などの我慢があります。
3、警戒心
警戒すべき、警戒しなければならない。
例:「ピンに寄らなかったらどうしよう。」「パターが打ちにくところへアプローチしてしまったらどうしよう。」「トップしちゃったらどうしよう。」「ライバルに負けたらどうしよう。」などの警戒があります。
4、執着心
良くも悪くもこだわっている事。執着している事。
例:「絶対にピンに寄せなければならない。」「誰よりも綺麗にフォームでなければならない。」「美しいアプローチをしなければならない。」「必ず勝たなければならない。」などがあります。
5、慈悲心
かわいそうだなと思う事、守ってあげたいなと思う事。
例:「いくらアプローチの練習をしても、中々思ったように上手くならない自分ってかわいそうだな。」
6、復讐心
見返してやりたい。納得できない。許せない。
例:「この前の大会で負けた。次こそ絶対に見返してやりたい。」「最近勝てずに、ファン・スポンサーが少しずつ離れていってる。絶対に見返してやりたい。」「沢山練習しているのに結果が残せない。そんな自分が許せない。」などがあります。
7、虚栄心
実際よりも、良く見せなければならない。
例:実際のスキル以上を出さなければならない。
8、猜疑心
疑うべき。疑わなければならない。
例:「自分のアプローチのバックスイングの振り幅って本当に合ってるのかな?」「インパクトはこのくらいで良いのかな?」「フェイスの向きはこれで間違っていないかな?」「あの人が教えてくれた技術は本当に正しいのかな?」など誰かを疑っていたり、自分自身の技術を疑っていたりします。
9、団結心
団結しなければならない。団結すべき。
例:「一緒にまわる人たちに迷惑かけちゃいけない。」「本当は話なんてしたくないのに、合わせて話さなければならない。」などがあります。
10、探究心
追求すべき、追求しなければならない。
例:「打感への追求」「ビッグスコアへの追求」「アプローチの時のフォームへの追求」などがあります。
11、競争心
勝たなければならない。負けてはならない。
例:「あの選手・友人には絶対に負けたくない。」「とにかく優勝したい。」「過去の自分に負けたくない。」「理想の自分に勝ちたい。」などがあります。
12、自省心
反省すべき。反省しなければならない。
例:「過去、大事な試合で、ミスをしてしまい負けてしまった自分に対する反省。」
13、羞恥心
恥ずべき。恥ずかしいと思うべき。
例:「アプローチで寄らないなんて恥ずかしい。」「負けることは恥ずべき事だ。」「ミスショットが恥ずかしい。」「ボギーは恥ずかしい。」「美しくない打感は恥ずかしい。」「綺麗なフォームでないと恥ずかしい。」「バックスピンでピン側に止めないと恥ずかしい。」などがあります。
ここまでが、イップスに繋がる程の感情が湧く、ご自身の心の構造になります。
無意識の感情が湧く理由となっている記憶を把握する。
次に、無意識の感情が湧く、記憶についての説明をします。
イップスに繋がる原因として、現在の状況だけでなく、過去の記憶も関係します。
その理由は、脳(のう)は記憶という機能を持っているからです。
例えば、優勝経験があり、とてもゴルフ業界でスポットが当たるとします。これは本人の記憶の中で保存されます。
その記憶があるが故に、試合で絶対に勝たないと評価が落ちる、勝たないとファンががっかりするなど信念が働き、過度な不安が湧いてきてイップスに繋がります。
他に、「私は、できないだろう。」という予想や不安をもつ傾向の方もいると思いますが、それは過去にできない記憶があるから「できない。」と思うのであって、記憶がなければ、そう思う事はありません。
そういった事から、イップスから抜け出せない時は、過去の何らかの記憶が邪魔している場合があります。
その過去の記憶を意識に引き上げ、「あ〜!だから私はイップスになっていたのか!」とわかるだけで、脳は安定を取り戻します。
ご自身の過去にもスポットを当てて、イップスに繋がる原因を探してみましょう。
無意識の感情が湧く心の構造を変えた方が良い場合は、書き換える。また記憶の捉え方を書き換える。
上記までで説明した内容で、ほとんどの方がイップスを克服できるはずです。
しかし、それでもイップスを克服できない場合は、信念の書き換えや、過去の記憶に対する捉え方を変える必要が出てきます。
これは、とても高度なテクニックなので、自分自身では難しいかもしれません。専門家に頼っても良いと思います。
アプローチイップスを克服した選手の例
40ヤード以内、特に20ヤード以内のグリーンまわりでピンに寄せる時に、右手に力が入り、左脇が止まる感じを訴えるアマチュアゴルファーでした。
大きな大会になればなる程症状が強く、反対に、適当に打つ時(寄せようと思わない時)は症状が軽減するという、条件付けがありました。
アプローチは子供の時から大好きで一番得意だったのに、今は一番の不安要素であり、とても辛いとの事でした。
プロゴルファーの方に克服法を習ったり、メンタルと体の両面を整える治療院などに10回程通っても改善しないとの事で当院へ来院して頂きました。
目標は、
- 大会の時にスコア60台でまわりたい。
- アプローチの事を気にせず、グリーンを攻めていきたい。
- アプローチが得意になりたい。
との事でした。
実際に検査をすると、大きな大会で、20ヤード以内の距離でバックスイングしている時にをイメージすると体に異常な緊張パターンが出現してきました。
イップスに繋がる原因を追求していくと、
- 執着心:近くに寄せたい、そうすれば良いスコアが出る、試合で良いアプローチが出れば勝てる。
- 執着心:キレイに打ちたい、クリーンにボールを当てたい。打感にこだわりがある。芯で打つ。
- 探究心:アプローチの時の自分の体の動かし方(フォーム)
- 利己心:アプローチ自体が厄介。なぜかと言うと、強さとか振り幅をコントロールしなけれならない。手首を使いたいけど使ってはいけない。手首を使わないで大きな筋肉を使って打ちたい。しかし、経験として、小さい頃から手首を使って色々な打ち方を使い分けていたし、とても得意だった。
- 執着心:夫として家族を大切にすると言うこだわり。最近はゴルフばかりで家族との時間がすくなっている。
というものが関係していました。
こういったご自身の緊張する無意識的な心の構造や記憶(経験)を認識し、頭の中が整理されたことによって、脳が安定を取り戻し、イップスを克服し、大会でご活躍されています。
プロゴルファーとアマチュアゴルファーでは同じアプローチイップスでも本質が違う事が多い。
上記の克服例をみてもわかる様に、プロゴルファーはゴルフの技術面やゴルフの評価だけがイップスに繋がる原因になっているケースが多いですが、アマチュアゴルファーはゴルフ以外の事とゴルフとの関係性でイップスに繋がっている場合が多いです。
多いのが、家族を大切にしなければならないという信念があると、ゴルフをばかりしすぎている自分に後ろめたさがあり、脳が不安定になります。
次に多いのが、仕事で業績をあげなればならないというのがあると、ゴルフをしている場合じゃない!と脳の中では無意識的に思っているので、イップスになる場合があります。
アプローチイップスになりやすい思考パターン
人は、生まれてから様々な人生を送る中で、色々なパターンを学習し、その自動操縦の元、生きています。
自動操縦?と思う方がいらっしゃると思いますが、約9割が自動操縦です。
歩く時、仕事に行く時、ゴルフの練習している時など全てです。
たまに、慣れない事、新しい事に挑戦する時って凄く疲れませんか?
その時は、自動操縦じゃないからとても疲れます。
実は、イップスもあなたの脳のパターンから引き起こった自動操縦ともいえます。
脳が不安定になりやすいパターンを持っている人はイップスになりやすいともいえます。
そのパターンにいち早く気づき、少しずつそのパターンの書き換えをしていくと、イップスになりにくいパターンへ変わっていきます。
それでは、アプローチイップスに繋がりやすいパターンを5つお伝えします。
ダメな自分が恥ずかしい
生まれてから親や友人に、「お前はダメだな!」「こんな事も何であなたはできないのだろう。」と言われた経験をし、脳が学習している場合、「ダメな自分は恥ずかしい」というパターンを形成します。
この様な方は、
- 他人に比べ自分は劣っている。
- 何をやっても上手く行かない。
- どうせ失敗する。
- 私は運動神経は良くない。
などと思う様になります。
その対策として、自分を必要以上に大きく見せようとする信念(虚栄心)を保有します。
そして、失敗した時は、必要以上に恥じてしまいます。
その恥じたくない気持ちが、無意識に強い感情(恐怖)を湧かせて、アプローチイップスに繋がる場合があります。
完璧でなければならない
とにかく、何でも完璧にこなさなければならないというパターンを脳が学習した場合です。
この様な方は、
- 絶対にアプローチではピンに寄せなければならない。
- 絶対にミスは許されない。
- 常に100点のアプローチでなければならない。
- 常にNO1でなければならない。
などと思う様になります。
決してそれがいけない訳ではいけません。
しかし、そのパターンを形成しているが故に、失敗を恐れて、イップスになっていたり、スコアが上がらなかったら本末転倒ではないでしょうか?
理想を追い求める事は良いですが、それが上手く行かないからといって、自分に不調を作るパターンまで脳に学習させない方が良いでしょう。
どうせ上手く出来っこない
このパターンを脳が学習している場合、自分は良い方向に進む事はないと思っています。
マイナス思考の最強版ともいえます。
意識では、優勝したい!勝ちたい!と思っているのに、脳の自動操縦は、上手くいかないと思い込んでいるので、練習に身が入らなかったり、実際に試合でここぞという時に本領が発揮できません。
なぜその様な自動操縦を脳が学習してしまったのか認識し、徐々に書き換える必要があるでしょう。
自分は特別な存在だ
このパターンを脳が学習している方は、とても自己愛が強い傾向があります。
この様な方は、
- 自分は世の中で選ばれた人である。
- 自分は特別な人だ。
- 自分は他の人と別格だ。
と思う様になります。
このパターンがあると、自分の理想と現実のギャップを受け入れる事が出来ず、スコアが低い自分、アプローチが下手な自分、負ける自分が許せなかったりします。
そうすると、理想と現実にギャップが出そうな時に脳が不安定になり、イップスに繋がる場合があります。
金子みすゞが残した、「みんなちがって、みんないい」や、「自分だけでなく、みんな特別な存在だ」と思う事によって、少しずつ脳のパターンは変わるかもしれません。
もっともっと褒められたい
このパターンを脳が学習している方は、他者評価に依存しています。
常に誰かの目を気にしていますので、他者評価に過敏に反応してしまいます。
その結果、周囲と対等な人間関係を築く事が難しくなります。
そして他者評価を過敏に反応するが故に、上手くいかない現実や他者評価が下がる事に対して、過剰な感情が湧くのでイップスに繋がる場合があります。
この場合は、他者評価だけでなく、自己評価も大切にする事が大切です。
他者がどう言おうと、自己評価がしっかりしていればブレる事はありません。
他者評価と自己評価、バランスがとても大切だと思います。
ゴルフを上達するために知っておいた方が良い、トッププロゴルファーの共通点とは?
私たちがトップアスリートを施術させて頂くにあたって、常々感じる事は、とても「素直」な事です。
ありのままの自分を受け入れる勇気を持っています。
全てを受け入れた上で、自分の目標達成に必要な事は何なのか?
何をするべきなのか?
それがわからない場合、その情報を知っている専門家はどこにいるのか?
などを考え、そして何より行動に移し、その時も素直に信じて実行します。
素直な心で成長する方がトッププロとして活躍されている秘訣だと感じています。
上達の壁を越えるには、知識を入れても知識でプレーしない、感覚でプレーする事が大切
アプローチイップスになっている方の特徴として、頭でっかちになっている場合が多く見受けられます。
筋肉の運動、動作というのは、頭に考えて行うものではありません。
あなたが歩くときに、膝をあげる事を意識したり、つま先で地面をける事を意識したり、腕を振る事を意識したりしていますでしょうか?
無意識的に行っていると思います。
スポーツもバスケットでシュートする時、サッカーやゴルフで打つときに、ご自身の各関節や筋肉を全て把握しながら行っているアスリートはいないはずです。
たくさん把握しようとすればする程、脳はパンクしてしまい、安定した全身運動ができなくなります。
しっかりとイメージをして、後は、無意識に任せてやってもらう。
自分の無意識を信じる勇気を持って、スイングに望んでみてください。
体の調整法を使ってイップス脳を安定させる方法
イップスの人は、脳が不安定(緊張パターン)になっている事が多いので、体の調整をする事で脳を安定(リラックスパターン)にする方法をお伝えします。
体の状態は脳から命令を受けている結果です。
体の状態=脳の状態です。
ですから体を調節すれば、その刺激が神経を通じて脳へ伝わり脳の状態が変わりますし、反対に脳の状態が変われば神経を通じて体も変わります。
体を検査すれば、脳の状態もわかるという事です。そこで異常(不安定性)があれば、体の刺激を通じて脳を安定させます。
それでは、検査と調整の仕方をお伝えします。
筋肉・関節の検査と調節
首の検査と調節
首をあらゆる方向へストレッチする様にします。そこで、動きにくい・違和感がある・痛みがある方向があった場合は筋肉が緊張しているので、その状態で2回深呼吸して調整します。
調整後、もう一度同じ方向へ動かし柔らかくなっているか確認し終了します。
動かす方向は画像を載せますので参考にしてみてください。画像は左右どちらかの画像しか載せていない場合があります、左右行ってください。
※時計まわり、反時計回りどちらも行ってください。
肩関節の検査と調節
首と同様に、あらゆる方向へストレッチする様にします。そこで、動きにくい・違和感がある・痛みがある方向があった場合は筋肉が緊張しているので、その状態で2回深呼吸して調整します。
調整後、もう一度同じ方向へ動かし柔らかくなっているか確認し終了します。
動かす方向は画像を載せますので参考にしてみてください。画像は左右どちらかの画像しか載せていない場合があります、左右行ってください。
※画像よりも腕があがる方は、しっかりと挙げきってください。
後、肩関節を大きく内回し、外回しのストレッチをして検査もしてみてください。
肘関節の検査と調節
首や肩関節と同様に、あらゆる方向へストレッチする様にします。そこで、動きにくい・違和感がある・痛みがある方向があった場合は筋肉が緊張しているので、その状態で2回深呼吸して調整します。
調整後、もう一度同じ方向へ動かし柔らかくなっているか確認し終了します。
動かす方向は画像を載せますので参考にしてみてください。画像は左右どちらかの画像しか載せていない場合があります、左右行ってください。
手首の検査と調節
首や肩関節、肘関節と同様に、あらゆる方向へストレッチする様にします。そこで、動きにくい・違和感がある・痛みがある方向があった場合は筋肉が緊張しているので、その状態で2回深呼吸して調整します。
調整後、もう一度同じ方向へ動かし柔らかくなっているか確認し終了します。
動かす方向は画像を載せますので参考にしてみてください。画像は左右どちらかの画像しか載せていない場合があります、左右行ってください。
他に手首を時計まわり、反時計回りにストレッチをして異常があれば調整してください。
指の検査と調節
指はグーとパーをして、左右差や、力の入りにくさ、違和感などがあれば異常で、その状態で2回深呼吸して調整しましょう。
それと、指を一本ずつ引っ張り、硬さや違和感などがあれば異常ですので、2回深呼吸して調整しましょう。
腰の検査と調節
首や肩関節、肘関節と同様に、あらゆる方向へストレッチする様にします。そこで、動きにくい・違和感がある・痛みがある方向があった場合は筋肉が緊張しているので、その状態で2回深呼吸して調整します。
調整後、もう一度同じ方向へ動かし柔らかくなっているか確認し終了します。
動かす方向は画像を載せますので参考にしてみてください。画像は左右どちらかの画像しか載せていない場合があります、左右行ってください。
※画像よりもしっかり屈めてください。
股関節の検査と調節
首や肩関節、肘関節と同様に、あらゆる方向へストレッチする様にします。そこで、動きにくい・違和感がある・痛みがある方向があった場合は筋肉が緊張しているので、その状態で2回深呼吸して調整します。
調整後、もう一度同じ方向へ動かし柔らかくなっているか確認し終了します。
動かす方向は画像を載せますので参考にしてみてください。画像は左右どちらかの画像しか載せていない場合があります、左右行ってください。
膝関節の検査と調節
立位の状態から、屈伸して違和感が硬さ、痛みがあれば異常です。その状態で2回深呼吸して調整しましょう。
足首の関節と調節
手首と基本的に同じです。
足趾の検査と調節
手の指と基本的に同じです。
脳神経系の検査と調節
脳神経系とは、目玉を動かしたり、首の筋肉の運動に関与する神経の事を表します。
アプローチイップスに繋がりやすい、脳神経系の検査と調節方法をお伝えします。
胸鎖乳突筋の検査と調節
首の横側の筋肉です。検査は、顔を右に向けて、左の頭に左手をくっつけ、押し合いの抵抗運動をします。反対も行い、力の入りにくさなどが感じられれば異常です。5秒ほど抵抗運動した後やめて、大きく2回深呼吸し調整してください。
僧帽筋の検査と調節
肩こりとかをする肩の筋肉です。検査は、右左片方ずつ行います。片方の肩を耳に近づける様に力を入れます、力の入りにくさなどが感じられれば異常です。5秒ほど運動した後やめて、大きく2回深呼吸し調整してください。
眼球運動の検査と調節
眼球をあらゆる方向にしっかりと動かします。動かしにくい方向性があった場合異常です。その状態で大きく2回深呼吸し調整してください。
小脳の検査と調節
小脳とは、バランス感覚や顔と眼球の位置、運動のプログラミングなどをコントロールしている脳の事を表します。
アプローチイップスの場合、条件に対して、小脳の機能が低下している場合がとても多いので、入念に検査し調節しましょう。
※小脳のテストは目を瞑ってふらつきなどの検査をします。一人で行うと転倒し怪我をする恐れがありますので誰かと一緒に行いましょう。
片足立ち
片足で立って、目を瞑ります。ふらつきがある場合異常です。10秒ほど行ってから両足で立ち、大きく2回深呼吸して調整しましょう。
バイバイテスト(前腕回内回外テスト)
両足つけて起立し、手を前にだし、高速でバイバイをします。両方とも動かしにくい、または、左右差がある場合は異常です。10秒程行った後大きく2回深呼吸して調整しましょう。
前腕挙上テスト
両足をつけて起立し、目を瞑り勢いよく手を前に差し出します。その時に、体と腕の角度が90度まで到達していなかったり、反対に、オーバーしている場合は異常です。また左右差が均等でない場合も異常です。均等になるまでリハビリしましょう。
マン試験
一方のかかとにもう一方の足のつま先をつけ一直線上に立つ様にします。そのまま目を瞑り、ふらついた場合は異常です。10秒ほどリハビリした後に、大きく2回深呼吸て調整しましょう。
※画像は目が開いていますが瞑ってふらつきの検査をしてください。また、画像は左足が前で行っていますが、両方とも行ってください。
前庭器官の検査と調節
前庭器官とは、簡単に言うと、平衡感覚などを司っている部分です。
アプローチイップスに繋がりやすい前庭器官の異常を探す検査と調節方法をお伝えします。
頭グルグルテスト
とにかく頭をあらゆる方向に高速に動かします。そこで気持ち悪さや違和感があれば異常です。
5秒ほど動かした後、やめて、大きく2回深呼吸して調整しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
アプローチイップスの対処法は、条件を変える事が即効性があり、効果がとても高い方法です。
しかし、根本的な克服とは言えません。
根本的にイップスを克服するためには、
- イップスに繋がる程の強い無意識の感情を意識に引き上げる。
- 無意識の感情を沸かせる、心の構造(価値観・信念)を理解する。
- 無意識の感情を沸かせる、過去の記憶を把握する。
- 場合によっては、心の構造(思考パターン)を変える。
が必要です。
そうする事によって、脳は不安定になる事なく、本来の筋肉への命令が伝わり、思い通りの動きになります。
とても難しいかもしれないですが、私たちのところへご相談頂いているゴルファーたちは克服しています。
自己に向き合う勇気を持ってイップス克服のために頑張って頂きたいと思います。
もし、ご自身でこちらの記事をしっかり実践してみても、万が一アプローチイップスが克服できない場合は、心と体と脳の関係性に着目した専門家へご相談される事をおすすめします。
あなたがアプローチイップスを克服できる事を心から願っております。
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の参考文献
- ジストニア診療ガイドライン2018:日本神経学会
- ジストニアのすべて:梶 龍兒
- 体の不調は脳がつくり、脳が治す:保井志之
- 「こころ」はいかにして生まれるのか最新脳科学で解き明かす「情動」:櫻井武
- コーピングのやさしい教科書:伊藤絵美
- 記憶と情動の脳科学:ジェームズ・L.マッガウ, 久保田 競, 大石 高生
- イップスの科学:田辺規充
- コーチング・クリニック:ベースボール・マガジン社
- イップス:澤宮優
- イップスは治る:飯島智則
- イップスかもしれないと思ったらまず読む本:河野昭典
- 薬に頼らず家庭で治せる発達障害との付き合い方:Dr.ロバート・メリロ
- 心身条件反射療法研究会資料