ジストニアは原因不明?脳科学からみるジストニアの本当の原因とは?

 

「ジストニア 原因」と検索されたあなた

 

『ジストニアの原因は薬の副作用だと聞いたけど本当なの?』『ジストニアはなんで原因不明なの?』また『ジストニアの本当の原因を知りたい!』

 

あなたは今、そうお考えではありませんか?

 

そんなあなたの為にこの記事を書きました。

 

この記事を読めば一般の方でもジストニアの根本的原因や病院でジストニアが原因不明だと言われている理由、ジストニアと薬の副作用の関係性が分かります。医学本や医学文献を参考にし、また、当院に来院するジストニアの患者様の内容を交えながら記事にします。

 

ジストニアの事を深く理解して、心身共に健康な身体を手に入れる為に、この記事がお役に立てば幸いです。

 

ジストニア 原因

ジストニアの原因とは?

 

ジストニアの本態は筋肉の異常運動です。

筋肉は脳からの命令で動いていますが、脳が正常に働かないと筋肉の異常運動が起こります。結果として、反復する運動、ねじれを伴う運動、持続する姿勢異常、体のふるえ、開瞼困難、声のとぎれ、又軽症として頭痛、肩こり、腰痛等が起こります。

 

ではなぜ脳が正常に働かなくなったのか・・・

 

それは脳とストレスに深い関係があります。

 

 

脳とストレスの関係性

 

脳の部位である大脳基底核は情動(感情)と関連する偏桃体との密な繊維連絡があり、心身のストレスにより大脳基底核の機能異常が生じるとされる。

参照元はこちら:公益社団法人 鳥取県医師会 HPより

 

大脳基底核は主に体の動きを制御する役割があります。つまり大脳基底核の機能異常になれば体の動きを正しく制御する事が行われず・勝手に身体が動いてしまう・思った通りの動きが出来ない・異常な姿勢で固まってしまう(首が常に左を向いている)等のジストニア(筋肉の異常運動)が出現します。

 

また一度でもジストニアの症状が出現すると脳内で学習記憶してしまい、同じ場面や同じ感情又は常に症状が出現することが多くあります。

  • テレビや雑誌を見ていると首が勝手に動いてしまう。
  • 電話に出る時だけ声が震えたり上手く話せない。
  • 目を見て話そうとするとまぶたがピクピク動く、目を空けていられない。
  • ベットで仰向けになると足が勝手に動いてしまう。
  • 字を書こうとすると手が震えてしまう。
  • 常に首が右を向いていて前を向けない。

ここまででストレスにより脳の機能異常が起こるのは理解出来たと思います。次にストレスにより脳の機能異常がある場合の、筋肉の異常運動とはどのような状態になるのか説明していきます。

 

脳の機能異常と筋肉の異常運動

 

本態性ジストニア(原因不明なジストニア)の場合、筋電図で検査を行うと関節を曲げる筋肉と伸ばす筋肉が同時に動いてしまう所見(共収縮、相反性抑制の障害)が確認できます。このことからジストニアの筋肉の異常運動の本質は筋肉の共収縮であると考えられています。

参照元はこちら:脳神経外科疾患情報ページ(社)日本脳神経外科学会

 

脳からの命令が正常であれば曲げる筋肉が興奮(収縮)する時は、伸ばす筋肉は抑制(弛緩)されます。この時に脳の異常命令があると曲げる筋肉を興奮させ過ぎたり、伸ばす筋肉が正しく抑制されなくなります。

ジストニア 原因 正常時

ジストニア 原因 興奮過剰時

ジストニア 原因 抑制低下

これらは全て脳の異常命令により起こります。

 

なぜジストニアは原因不明だと言われているのか?

『色々な検査を試しましたが脳には異常はありませんでした』

主治医からそう言われた事は無いですか?

脳の構造的な異常があれば病院での検査で異常が見つかる事でしょう。しかし構造的な異常が無い場合は心に異常があります。

心身相関という言葉を聞いたことはありますか?

心身相関とは心と身体は連携していて互いに影響し合っているという意味です。例えば、緊張すると体が動かなくなる、悲しいと涙が出る、恐怖体験をすると鼓動が早くなる。これらはすべて心と身体の繋がりから起こる反応です。

 

病院では心ではなく構造を検査します。そのため心が原因の病気であれば原因が分かりません。ジストニアは心が原因の場合が多くある為に病院では原因不明と診断されてしまうのです。

 

薬を服用する事でジストニアになる?

 

薬を服用する事でジストニアになる可能性はあります。薬が原因でジストニアになった状態を薬剤性ジストニアといいます。薬剤性ジストニアとなる根拠、薬剤性ジストニアの種類、薬剤性ジストニアの原因になりうる薬を説明していきます。

※下記で薬剤性ジストニアの事を書きますが、実際に病院で薬剤性ジストニアと診断された患者様であっても、本当は精神的ストレスの要因が強く、ストレスに対する施術をする事によって改善された方も多数います。

 

なぜ薬を服用すると薬剤性ジストニアとなる可能性があるのか?

 

中枢神経障害(うつ病、統合失調症‥)に作用する薬の多くはにはドパミン拮抗作用があります。ドパミン拮抗作用があると錐体外路(体の細かい動きを制御する部位)が正常に働かなくなり薬剤性ジストニアになると考えられています。

 

中枢神経に作用する薬の服用または服用歴があり、ジストニアを発症した場合に薬剤性ジストニアを疑います。

薬剤性ジストニアの種類

 

薬剤性ジストニアには主に急性ジストニア、遅発性ジストニアがあります。

 

急性ジストニア

 

原因薬物摂取から24時間以内(90%以上は5日以内)に発症される場合が多く、主な危険因子として、若年者、重症精神症状、男性、高用量の服用があります。

 

原因薬物の服用を中止することで改善する可能性が高いが、痛みが激しい場合、会話・嚥下・呼吸障害がある場合には抗コリン薬や坑ヒスタミン薬を用いる場合があります。

 

遅発性ジストニア

 

原因薬物の服用期間が3ヶ月以上、または原因薬物中止後1カ月以上持続している場合に遅発性ジストニアと診断される場合があります。(明確な規定は無い)

 

遅発性ジストニアは難治性とされており、原因薬物の中止や抗コリン薬の使用で比較的速やかに改善する急性ジストニアとは病態が異なると考えられています。

 

主な危険因子として、高齢者、服用と中止との頻繁な反復、感情障害、強迫性障害があります。

 

通常は症状が長期間持続する為、日常生活に支障をきたしている場合にはジストニアの治療を行います。ジストニアの治療について詳しく知りたい方はこちらからお読み下さい。

 

薬剤性ジストニアの原因になりうる薬

 

薬剤性ジストニアの原因薬物

  • 抗精神病薬
  • モノアミン(ドパミン)枯渇薬
  • 抗うつ薬(スルピリド)
  • 坑不随意運動薬(チアプリド)
  • カルシウム拮抗薬
  • 制吐薬
  • 坑めまい薬
  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬
  • セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
  • 三環系抗うつ薬
  • 抗てんかん薬
  • 抗ヒスタミン薬
  • リチウム
  • 坑認知症薬
  • 坑寄生虫薬(アルベンダゾール)‥

上記のように原因薬物は多くあるので、中枢神経に作用する薬物の服用者は常に薬剤性ジストニアを疑う必要があります。

 

ジストニアを治すためには?

 

ジストニアを治すには原因を知る事が最も大切です。

 

自分がジストニアかもしれないと思われたら、まずは病院を受診して検査してもらいましょう。実際に脳や神経に異常がある場合は早期の治療が必要となります。

 

病院では異常が見つからない場合は心因性の可能性があります。その場合はストレスとの関係性に対する治療をしなければいけません。

 

ストレスとの関係性についてより詳しく知りたい方は、心と体の整え方に書いてありますのでこちらのページもご覧ください。

 

当院へ通院していた患者様の症例報告

実際に当院に来院された患者様のジストニアと関係があるストレスをご覧ください。

 

①指・手首周辺のジストニア(手が硬くなってピアノが弾けない、シャンプーで髪の毛が洗えない)

 

当院での治療として関節と筋肉と脳の繋がりを整え、脳への刺激になっているストレスを検査した所、家事をしっかりと出来ていない事に対する夫への恐怖があり、そこには過去の経験として昔同棲していた彼氏の家事を出来ていなかった後悔が脳への刺激となり、脳の異常命令が起こり、筋肉の異常運動が起こっていることがわかりました。そのストレスと症状の関係性を認識し調整した結果ジストニアを改善する事が出来ました。

 

②痙性斜頸(顔が勝手に右を向いてしまう)

 

当院での治療として関節と筋肉と脳の繋がりを整え、脳への刺激になっているストレスを検査した所、仕事で外国人労働者が急に仕事を休んでしまう事、妻の両親と一緒に暮らしていて団結しなければいけないと思っている為に、妻の両親へ気を使っている事、が脳への刺激となり、脳の異常命令が起こり、筋肉の異常運動が起こっていることがわかりました。そのストレスと症状の関係性を認識し調整した結果ジストニアを改善する事が出来ました。

 

まとめ

いかがでしたか?ジストニアの原因は精神的ストレスと深い関係がある事をご理解頂けたでしょうか?

 

ジストニアは①脳の構造的異常②薬の副作用③精神的ストレスが主な原因です。この記事を読みジストニアの原因を知り、さらには担当医と相談しあなたにあった治療方法が見つかれば幸いです。

 

ジストニアの症状が出てしまうのはストレスによる心のSOSです。その事に気付く事が出来ればジストニアは改善していく事でしょう。

 

ジストニアについてさらに詳しく知りたい方は、「痛み・神経・ストレス・記憶」などの関係性に着目したプロに相談しましょう。

 

 

この記事の参考文献

  • ジストニア診療ガイドライン2018:日本神経学会
  • ジストニアのすべて:梶 龍兒
  • 体の不調は脳がつくり、脳が治す:保井志之
  • 「こころ」はいかにして生まれるのか最新脳科学で解き明かす「情動」:櫻井武
  • コーピングのやさしい教科書:伊藤絵美
  • 記憶と情動の脳科学:ジェームズ・L.マッガウ, 久保田 競, 大石 高生