野球の投手(ピッチャー)でイップスにお悩みのあなたへ。
投手はとても、試合の勝ち負けに直接関係する重要なポジションのため、とてもストレスフルな状態です。
なので、他のポジションに比べイップスになりやすい傾向があります。
この記事は、投手(ピッチャー)がどの様なイップスになりやすいのか?
そのイップスの原因は何か?
そして投手のイップスはどの様にすれば克服できるのか?
を、1軍のプロ野球選手(投手・ピッチャー)でイップスを克服した方と、
大学までずっとエースピッチャーで、その後、草野球で投球イップスを発症してしまった方の例を元にお伝えします。
こちらの記事を読んで実践していただき、あなたのイップスが克服できる事を願っています。
イップスとは
Wikipediaで引用させて頂くとイップスとは、
精神的な原因などによりスポーツの動作に支障をきたし、突然自分の思い通りのプレー(動き)や意識が出来なくなる症状のことである。本来はゴルフの分野で用いられ始めた言葉だが、現在ではスポーツ全般で使われるようになっている。
と表現しています。
野球の投手がかかってしまうイップスの種類
野球の投手(ピッチャー)がイップスになる際、いくつかのイップスがあります。どれか一つだけという方もいれば、下記の全てにイップス症状を発症される方もいます。
投球イップス
野球の投球時に思った様に体が動かない、意識した動きと本当の動きのギャップに違和感を感じます。
送球イップス
野球の送球時に思った様に体が動かない、意識した動きと本当の動きのギャップに違和感を感じます。
キャッチボールでのイップス
通常のキャッチボールで思った様に体が動かない、意識した動きと本当の動きのギャップに違和感を感じます。
イップスの原因
イップスの原因は、一言でいうと、「過敏反応」です。
ある条件に対して、脳が過敏反応してしまうと、脳の働きに異常が伴い、その結果、脳からの命令に異常が生じて、脳がコントロールする筋肉が硬くなってしまったり、または筋肉に力が入らなくなります。または、知覚神経の異常が生じると、感覚の異常を感じる様になります。
例えば、
キャッチボールのイップスの場合、
「5メートル間のキャッチボールでは普通にできるが、10メートルくらいでキャッチボールすると、イップス症状がでる。そして15メートルくらいになるとまた普通に投げれる。」という方がいますが、これは、10メートルくらいの距離に対して、脳が過敏に反応して脳機能が低下し、脳から筋肉への異常な命令が伝わっていると考えられます。
その他、投球イップスの場合、
「バッターがいなければ、ストライクに投げれるが、バッターがいると、おかしくなってしまう。他に、右バッター相手には普通に投げれるが、左バッターに対して投げようとするとイップス症状がでる。」という方もいますが、これも条件付けされた脳の異常命令です。
送球イップスの場合、
「一塁に投げる時にイップス症状が出現してしまうが、二塁、三塁だと平気であったり、オーバースローだとイップス症状が出現してしまうが、サイドスローで送球すれば普通に投げれる。」という方もいます。これも上記同様、条件づけされた脳の異常命令です。
過敏反応を脳は学習記憶する。
そして、大事なことは、毎回、同じ条件に対して脳が過敏反応してしまい、筋肉へ異常な命令が出現してしまう場合、脳がそのイップスパターンを学習していることになります。
言わば、イップスに繋がる脳の学習記憶です。
イップスを治すためには、過敏反応した際の脳の機能低下を探す検査が必要
上記で説明した通り、イップスは脳がある条件に対して、脳の機能に異常が生じ、脳から筋肉の命令に異常が伝わっている状態です。
その場合、イップスの症状が出ている時(条件)を頭の中でイメージする事で脳の過敏反応状態を引き出す事ができます。
過敏状態を引き出した状態(イップス症状イメージをした状態)で、脳の働き検査をする事で異常がある部位を特定する事ができます。
野球の投手のイップスに関連する脳の働きの検査は下記が必要です。
※必ず頭の中で症状をイメージした状態で行ってください。
検査法を動画で説明しておりますので、ご覧ください。
検査した脳の機能低下はそのまま調整できる
調整は検査法で、違和感や異常がある検査をした直後に、その検査をやめて、大きく2回深呼吸する事です。
その2回の深呼吸の後、もう一度、違和感や異常がある検査を行ってください。違和感が改善した、異常が正常に切り替わった場合は、調整が成功しています。
検査後、2回深呼吸し、再度確認しても、違和感が残る、または、異常が正常に切り替わらない場合は、過敏反応の脳の学習記憶がとても強い事を表します。その場合は下記で説明する、「イップス脳」の学習記憶を「健全な脳」の学習記憶に切り替える事が必要になります。
イップスに繋がる脳の学習記憶が強い場合、その学習記憶を健全な学習記憶に書き換える必要がある。
上記で説明した、イップス症状を頭の中でイメージした状態で脳の機能に異常がある部分を特定し、調整する事で実際にイップス症状が改善する方は症状が軽度な方です。
しかし、重症化されているイップスの方は上記の調整だけでは改善できません。
その場合、イップス症状を出してしまう脳の条件反射を、「脳が学習記憶」をしている場合です。
イップスを引き起こしてしまう脳の学習記憶を、健全な命令を送る脳の学習記憶に再学習する必要があります。
健全な脳の命令に学習記憶を書き換えるために、最初に必要なことは、ご自身のイップスに繋がる脳の学習を認識する事が必要です。
イップスに繋がる脳機能の異常を引き起こす脳の学習は本人には気づかない事がとても多いので、そこを認識する事はとても難しいです。
下記で1軍のプロ野球選手(投手・ピッチャー)と草野球でイップスを発症した投手が実際にイップスを克服した例を読みながらご自身でもイップスに繋がる脳の学習を気付こうと努力してみてください。
1軍プロ野球選手(投手)のイップスを克服した例
キャッチボール、送球、投球でイップス症状を発症、開幕前にとても不安になり、当院へ来院頂きました。
イップスの症状をイメージしながら、脳の働きをチェックスすると、小脳、脳神経、三半規管、肩関節、肘関節、手首の関節の機能低下があり、調整。
調整しても、イップスのイメージをすると、脳は過度に緊張パターンを示すので、イップス脳を発動してしまう、脳の学習記憶へアクセスしました。
イップス脳を発動してしまう、本人でも気づかなかった学習は、
- プロ野球選手であるからには、絶対にミスはしてはならない。
- 生きる上で人にバカにされてはならない。
- 過去自分の失敗で大事に試合に負けた経験。
がありました。本当はもっと沢山ありましたが、イップス症状がとても改善した内容をピックアップしました。
「ねばならない。」「すべき」という信念と過去のトラウマが本人の脳の機能を不安定にさせる要因でした。
本人がご自身のイップスに繋がる無意識的な脳の学習記憶を認識することによって、脳の学習記憶が健全な学習に書き換わり、安定した命令になりました。
開幕後、しっかりと1軍で登板しています。
大学までずっとエースピッチャーで、その後、草野球で投球イップスを発症してしまった方の克服例
キャッチボール、送球、それと投球では始めの何球かイップス症状が出てしまうとのことで来院された方です。
イップスの症状をイメージしながら脳機能の検査をすると、筋肉、関節と脳の繋がりの神経、脳神経系、小脳の機能異常があり、調整。
しかし、イップス症状を引き起こす脳の学習記憶が強いため、その学習が何なのか?というところにアクセス。
- 昔からコントロールには自信があり、絶対に狙ったところに投げなければならない。
- 過去、妻が精神的に不安定になり、救えなかった事。そして今、再婚して、今の妻と良好な関係を築きたい自分と、休日に自分の好きな野球をしたいという2面性。
こちらももっと沢山イップス症状に繋がる学習は他にもありましたが、イップスに強く関与している脳の学習をピックアップしました。
過去の経験を通じて、「絶対に〜ねばならない」という事と、妻を大事にするためには、休日も妻と一緒に過ごさなければならない、でも野球もしたい。という2面性によって、脳は不安定になっていました。
こちらも、ご自身のイップスに繋がる無意識に学習した、脳の記憶を認識した事によって、徐々に認知が変わり、今はイップス症状がない状態で、草野球のエースピッチャーをしています。
プロ野球選手と一般人(草野球や部活野球選手)のイップスの違い。
プロ野球選手は比較的、野球だけの関係性がイップスに繋がっていることが多いですが、一般人の方は、子供との関係性や妻との関係性など一見、野球に関係ないと思われることも、野球のイップス症状に繋がる脳の学習がある場合があります。
石井堂クリニカルオフィス ではたくさんのイップスにお悩みの方を施術していますが、プロ野球選手と一般人の方でのイップス改善までの期間は、プロ野球選手の方が早いです。
一般人の方の方が野球とは違う本業の仕事、家族、その他友人との関係など様々な関係性があるので、とても複雑で改善時間がかかる傾向があります。
どうすれば、良いパフォーマンスを維持できるのか?一流の選手のマインド
一流の選手は、自分の良いところ、悪いところ、クセなどしっかりと把握しています。
意識、無意識の関係性を理解し、意識ではこのように思っているが、無意識では正反対に思っている自分もいるという風に、ご自身の脳(心)の状態を把握するスキルも、安定したマインドにするためには重要な事だと知っています。
イップスは再発するのか?感覚トリックでは再発してしまう。
イップスに繋がる脳の学習記憶が健全な学習記憶に書き変われば、基本的にイップスを再発する事はありません。
しかし、イップスは脳の条件反射ですので、その条件を少し変えれば一過性に症状が改善します。
例えば、投げる時に、握り方をかえる、投げ方を変える(フォームを変える)などです。
しかし、条件づけを変えて症状を改善させた場合、本質的なイップスに繋がる本人の脳の学習記憶は残っていますので、時間がたてば、変えた条件でもイップスが発動してしまいます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
野球の投手のイップスは
- 脳の条件づけによる異常な命令がイップスの原因
- 中々イップスが治らない場合は、脳の学習記憶が関係している。
克服するためには、
- 条件づけを引き起こした状態で、脳の機能異常部位を特定し調整する。
- それでも治らない時は、無意識に学習した、イップスを発動してしまう脳の学習記憶を健全な学習記憶に書き換える。
- 書き換える方法は、まずは、無意識に学習したイップスに繋がる記憶を意識へ引き上げる。
- 無意識にイップスを発動する学習記憶には、「ねばならない」「〜すべき」という信念や、過去の記憶が関係している。
以上がまとめになります。この記事を実践していただき、イップスを克服し、さらなるご活躍を心より願っております。
また、この記事を読んで実践しても克服できない場合は、脳と心と体の関係性に着目した先生にご相談する事が良いと思います。
お読みいただきありがとうございました。