自律神経失調症による胃痛や腹痛にお悩みのあなたへ。
このような症状でお悩みではないですか?
- 緊張する場面になると胃やお腹が痛くなってしまう。
- 大勢の人の前に立つと突然お腹が痛み出す。
- 人間関係がうまくいってなく考えると胃お腹が痛くなる。
- 病院で出された薬を飲んでも治らない。
- 一生付き合っていくのではないかと不安になる。
- いつまた胃痛や腹痛が起こるのか怖い。
胃がキリキリ痛んだりお腹が締め付けられるような痛みでトイレに駆け込みたくなったりして辛いですよね。
私も国家試験の前になると緊張してお腹が痛くなり辛い思いをしていました。
この記事は私たちが実際の患者様を施術する中で得た知識とそれから医学本や心理学の本を参考にして、胃痛や腹痛が起こるメカニズム、そして克服方法をお伝えしています。
この記事をお読み頂き実践することで、あなたの悩みである胃痛や腹痛が克服することができれば幸いです。
自律神経失調症とは?
自律神経失調症とは広辞苑にこの様に定義されています。
自律神経系の失調による症状。神経が原因で起こる、倦怠・のぼせ・冷え性・めまい・頭痛・肩こり・動悸・息切れ・食思不振・腹痛・便秘・下痢・多汗・無汗・不安・抑鬱など人それぞれ訴えや程度が違い内臓などには異常がない状態のこと。不定愁訴症候群。
引用:広辞苑(第四版)岩波書店
また、東京脳神経センターでは以下のように述べています。
自律神経はおもに内臓や血管、分泌腺などに分布し、消化や呼吸、循環、代謝といった、生命を営んでいくうえで必要な生理機能を調節しており、自分の意思とは無関係に働く神経です。
たとえば動悸がしたり、胃や腸の運動や消化液の分泌量を決めるのも、この自律神経のはたらきによるもので、別名「植物神経」とも呼ばれています。
自律神経はさらにその役割として「交感神経」と「副交感神経」の2種類に分けることができます。交感神経はおもに昼間の活動的なときにはたらく神経で、緊張しているときや危険を感じたとき、興奮したときなどにはたらき、心拍数や血圧を上げ、呼吸数を増やし、血管を収縮させ、目の瞳孔を開き、胃腸のはたらきを抑制したりしています。
これに対し、副交感神経はリラックスしているときや、寝ているときなどにはたらく神経で、交感神経とちょうど反対の役割を果たします。
私たちが意思の力で汗を出したり、心拍を速めたりはできません。これらは自律神経が環境に応じて身体の機能を自動的に調節しており、交感神経と副交感神経がバランスよくはたらくことで、私たちの健康と生命は支えられています。そして、このバランスが崩れた状態が自律神経失調症です。
引用:東京脳神経センター
これらをまとめると、内臓そのものには異常ないが、人間が健康に過ごしていくために必要な機能が低下し体から危険信号が現れている状態と言えます。
自律神経失調症による胃痛や腹痛が起こる原因とメカニズム
それでは、自律神経失調症により胃痛や腹痛が起こる原因とメカニズムを説明していきます。
原因はずばり、脳がストレスを感じている事です。
自律神経の中枢である脳がストレスによりうまく機能しなくなることで、体に張り巡らされている交感神経と副交感神経への命令がうまくいかず、その結果胃腸の働きが乱れます。
ではなぜストレスを受けると自律神経が乱れ胃痛や腹痛を起こすのでしょうか?
それは人間がストレスを受けるとその環境に慣れようと交感神経が働き体を活発にさせます。このとき胃腸の働きは鈍くなります。(胃腸は副交感神経で活発に働きます)
そして一定の期間で脳はストレスに慣れ交感神経の働きも戻り安定します。
しかし長い間ストレスを感じていたり、様々なストレスが積み重なることで脳は常に警戒状態となり交感神経がメインに働き胃痛や腹痛、人によっては便秘、下痢、倦怠感、のぼせ、冷え性、めまい、頭痛、肩こり、動悸、息切れ、食思不振、多汗、無汗、不安、抑鬱などの症状を引き起こします。
薬だけで治らないのは脳が原因!?
自律神経失調症と診断され症状を落ち着かせるため胃薬や整腸剤、痛み止め、抗安定剤などを頂けるかと思います。
薬を飲むことで神経の興奮を抑えたり、低下している機能を高めたり、コントロールをかけることで脳を安定させます。
しかし薬を飲んでも一向に症状が変わらないのは、脳の回路が「治らない回路」として出来上がってしまっているためです。
「治らない回路」とはどのようなことを示すのでしょうか?
それは脳がストレスと感じたときに、ある特定の感情が湧き上がることです。
ある特定の感情が湧き上がると脳がストレスを受けたと思い、自律神経の活動が乱れ胃痛や腹痛を引き起こします。
このように「治らない回路」とは、薬で胃痛を抑えたり脳を安定させても特定の感情が湧き上がることで再び脳がストレスを受けた状態となり胃痛や腹痛を引き起こすことになります。
自律神経失調症による胃痛や腹痛を克服する為の3ステップ
では、ある特定の感情によって作られた「治らない回路」を「治る回路」へと書き換え胃痛や腹痛を克服する方法をお伝えします。
克服の方法を3つのステップにわけると、
- どの感情の時に胃痛や腹痛(特定の感情)が起きているか把握する。
- 辛いと感じてしまう自分の認知(捉え方)を知る。
- 行動を変えることで胃痛や腹痛をなくす。
となります。
次に一つ一つ内容をお伝えしていきますが、3つのステップを行う上で注意して頂きたいことがあります。
それはステップを必ず1→2→3と順におこなわなければならないと言う訳ではありません。
なぜなら人それぞれ治るきっかけが違っていたり、自分に合うやり方があります。
ある特定の感情を把握することで克服する人、特定の感情がわからなくても自分の捉え方を変え克服する人、行動を変えることで特定の感情が生まれなくなり克服する人がいるからです。
そのためあなた自身にあう克服方法を少しずつ始めることが重要になります。
ステップ1、どの時に胃痛や腹痛(特定の感情)が起きているか把握する
まずはじめに、胃痛や腹痛が起きるタイミングを把握します。
このときのポイントして
- 自分の思考や気分(感情)を把握し胃痛や腹痛のきっかけに気づく
思考や気分を作り出している自分のルールに気づく
思考や気分(感情)を作り出す価値観に気づく
と3つに分け見ていきます。
そして私の体験談も含めお伝えしていきます。
自分の思考や気分(感情)を把握し胃痛や腹痛のきっかけに気づく
私の場合は『国家試験の日が近づいてきている。今の状態で受かるのか不安だな怖いな。』と考えることでお腹が痛くなっていました。
このときにお腹の痛みを引き起こしていた「特定の感情」と言うのが「不安」や「恐怖」です。
この「不安」や「恐怖」といった思考や気分(感情)が自分の心の中で整理できないと脳がストレスと感じ胃痛や腹痛を引き起こします。
他に胃痛や腹痛を引き起こすきっかとなる感情を示しましたのであなた自身に当てはまらないか確認してみてください。
- 意欲:頑張るぞ。達成するぞ。楽しみだ。
- 義務:やらなければならい。満たさなければならない。守らなければならない。
- 期待:裏切れない。がっかりさせたらどうしよう。いい結果を望んでいる。
- 喜び:喜ばなかったらどうしよう。嬉しくなかったらどうしよう。
- 連帯感:自分のせいで…。周りに迷惑がかかるかも。一人でやらないと。
- 優越感:自分は周りよりできるんだ。自分だけよければいい。
- 恐怖:失敗したらどうしよう。怖いな。不安だな。
- 逃避:一緒にいたくない。責任を取りたくない。過去の自分から抜け出したい。
- 劣等:自分には能力がない。周りより劣っている。できるわけがない。
このような思考や気分を把握することで脳のストレスを軽減させることができます。
思考や気分(感情)を作り出している自分のルール(信念)に気づく
ではなぜ自分の心で整理できない思考や気分(感情)が生まれるのでしょうか?
それは心を作っている信念や価値観が関係しています。
まず信念について解説していきます。
信念とは「〜するべき」「〜しなけければならない」という心のルールです。
信念があることで思考や気分(感情)が生まれます。
先ほどの私の体験を例にどのような信念が関係しているか説明していきます。
『今の状態で国家試験に合格するか不安、怖い。』が腹痛を引き起こしていました。
この背景に関係していた私の信念は「警戒心(けいかいしん)、羞恥心(しゅうちしん)」です。
- 羞恥心=落ちたら、恥ずかしい。学校内でも恥ずかしい。
- 警戒心=落ちたら在学中に研修している仕事先の人に会わせる顔がなくなってしまう。
このように信念を把握した際に大切だと思うことは受け入れるようにし、理想(信念)と現実のギャップを埋めることが必要です。
もしその信念が必要ないと思うようでしたら『確かに…の自分もいるんだ』と把握することで脳がストレスだと捉えなくなります。
また、胃痛や腹痛と関係ある信念を挙げますので確認してみてください。
- 自尊心:プライドを持つべきだ。自分を優秀な者だと思うべきだ。
- 自立心:自立しなければならない。
- 犠牲心:犠牲になるべきだ。耐えなければならい。
- 利己心:自分の利益だけ優先するべき。
- 警戒心:警戒するべき。気をつけるべき。
- 執着心:こだわりをもつべき。
- 慈悲心:悲しむべき。助けるべき。
- 復讐心:やり返すべき。反論するべき。
- 虚栄心:自分を大きく見せるべき。見栄を張るべき。
- 猜疑心:疑うべき。相手や時自分を信じられない。
- 団結心:みんなでやるべき。協力するべき。
- 探究心:突き詰めるべき。追い求めるべき。
- 競争心:周りと張り合うべき。過去の自分よりできるべき。
- 忠誠心:自分よりできる人に従うべき。
- 信仰心:守らなければならない。大切にするべき。
- 自省心:反省するべき。
- 羞恥心:恥じるべき。
- 同情心:思いやるべき。共感するべき。
思考や気分(感情)を作り出す価値観に気づく
次に価値観について解説していきます。
価値観とは「大切にしている気持ち」「満足感や幸福感を与えるもの」です。
信念と同様に価値観があることで思考や気分(感情)が生まれます。
私の例でいうと『国家試験に受かるか不安、怖い。』と同時に『国家試験に合格し安心したい』という期待(幸福感=価値観)を求めていました。
このように無意識に求めていた価値観を把握し、それを満たすために現実ではどうすればよいか?とギャップを埋めることで「治らない回路」と繋がる思考や気分(感情)を脳はストレスと捉えなくなり胃痛や腹痛を起こさなくなります。
価値観も以下のようなものがありますので確認してみてください。
- 安心、安定を求める。
- 刺激や変化を求め挑戦したい。
- 自分の存在価値を大切にし、特別な人、重要な人でありたい。
- 人とのつながりを大切にし、愛情が欲しい。
- いまより成長したい。
- 貢献したい。
ステップ2、辛いと感じてしまう自分の認知(捉え方)を知る
ここでは辛いと感じてしまう自分の認知(捉え方)を知り、見方を変えることで脳のストレスをなくす方法について書いていきます。
まずはじめに、認知(捉え方)に良し悪しはありません。
ステップ1で説明したように思考や気分(感情)を含め、物事の捉え方には自分自身の信念や価値観が関係しているためです。
ですが、事実を偏って捕らえたり根拠のない憶測をもとに物事を判断するような認知が胃痛や腹痛を引き起こします。
私の体験を例にすると、『もし国家試験に受からなかったら自分はこの先ずっとダメな人間なんだ』と考えたときにも胃痛や腹痛が起きていました。
このように『自分はこの先ずっとダメな人間なんだ』と根拠のない憶測をもとに判断することで脳がストレスと感じ胃痛や腹痛が起きます。
なので物事を捉えるときは客観的に見ることが必要です。
客観的に見る方法としては紙に書くことです。
そうすることで自分の捉え方に偏りがあるか見えてきます。
また胃痛や腹痛が起きやすい人の判断には特有のパターンがあります。
どのようなパターンがあるか下記の例をもとにチェックしてみてください。
- 全か無かの法則:ものごとを白か黒かで考えるような二者択一的な捉え方。100%うまくいかなければ失敗だ。
- 一般化のしすぎ:たったひとつでもよくないことがあると、それを全ての物事に当てはめてしまう。
- 心のフィルター:たった一つのよくないことばかりに目がいき、実際におきた良いことに目が向けられない。
- マイナスな思考:全てのできごとにマイナスの解釈を加えてしまう。
- 結論の飛躍:根拠もないのに自分にとっては不利なことで望んでない結論をだしてしまう。
- 過大解釈と過小評価:自分の失敗や短所は過大に考え、成功や長所は過小評価する見方。
- 感情的決めつけ:理性ではなく、感情を元に物事を判断してしまう。
- すべき思考:「〜すべきだ」「〜でなければならない」と強く思い込んでしまう。
- レッテル貼り:「自分はダメな人間だ」というような極端なレッテルを貼ってしまう。
- 個人化:自分に関係ないことだとわかっていても自分に関連付けてしまう。
のように書き出すことで胃痛や腹痛の引き金となるパターンを知ることができます。
そしてもし偏りがあるとわかったときは、客観的に見るようにします。
ステップ3、行動を変えることで胃痛や腹痛をなくす
脳がストレスを感じ胃や腸に異常な命令を出した結果、胃痛や腹痛が起きていました。
しかし行動を変えることで脳からの異常な命令をなくし平常な状態に戻すことができます。
これはプロスポーツ選手が行なっているルーティーンに近いものがあります。
例えば、元メジャーリーガーのイチロー選手が現役時代よく打席入り後にバットを立て体を触るという一連の動きを一度は見たことがあるかと思います。
この動きこそ、緊張を緩和させ練習通りの力を発揮するために行なっています。
他にも、ラグビーの五郎丸歩選手の「祈りのポーズ」などがあります。
そして胃痛や腹痛も同じように行動を変えることで心と体をリセットさせる方法がリラクセーション方です。
それでは簡単にできるリラクセーション法を2つご紹介します。
2つとも胃痛や腹痛が起きそうなときに行います。
漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)
脳がストレスを感じていると筋肉はこわばります。
なのでその反応を利用して筋肉の緊張状態を自分でコントロールし落ち着かせる方法です。
全身の各部位の筋肉を1ヶ所ずつ緩めるため力を入れていきますが、力を入れる秒数は5〜6秒くらいでその後8〜10秒くらいリラックスをし力が抜ける感覚を感じます。
手順として、
右手を固く握って緊張させ緩める
↓
左手を固く握って緊張させ緩める
↓
右腕に力を入れて緩める
↓
左腕に力を入れ緩める
と行います。
呼吸法
自律神経に支配されている場所で唯一自分でコントロールできるのが呼吸です。
そのため自律神経をコントロールするうえで欠かせない場所になります。
また場所や状況に関わらず行える手軽なリラクセーション法です。
意識するポイントは腹式呼吸です。鼻から空気を吸い口からゆっくり吐き出します。
息を吸う時間としては4秒くらいで、息を吐く時間は6秒くらいと吐く時間を長くすることで心身共にリラックスします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
自律神経失調症による胃痛や腹痛を克服するためには
- 胃痛や腹痛を引き起こすパターンを把握する。
-
引き起こしてしまう認知(捉え方)を紙に書き客観的に見る。
- 行動を変えることで脳からの異常な命令をなくし平常な状態に戻す。
のように自分自身に向き合う必要があります。
自分自身と向き合ったことがない人だと難しいと思いますが、行動することで自律神経失調症による胃痛や腹痛を克服でき、さらにその後の人生に楽しみが増すと思います。
もし万が一こちらの記事を実践しても自律神経失調症による胃痛や腹痛が解決できない場合、脳と心と体の関係性に着目した専門家へご相談される事をお勧め致します。
最後までお読み頂きありがとうございます。
この記事の参考文献
- SEKI神経学勉強会配布資料
- やさしくわかる認知行動療法治療の流れと活用方法:福井至、貝谷久宣
- やさしい自律神経学命を支える仕組み:鈴木郁子
- 自律神経失調症の治し方がわかる本:村上正人、則岡孝子
- 自律神経機能検査 第5版:日本自律神経学会
- ゆっくり呼吸のレッスン 自律神経が整う 血流がよくなる:小林弘幸、末武信宏
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